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オりオノクリニック月報
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2019年5月

KAICAの研究の苦労話


川崎病という病名を聞いたことはありますが?川崎先生が報告されてから、もう40年以上になりますが、いまだに原因がはっきりわかっていない子供の病気です。高熱が持続し・目が充血・口唇も紅潮・首のリンパ節が腫れたり・発疹がでてきたり・BCG接種痕が紅く腫れたり等の種々の症状が出現し診断に至ります。

川崎病の問題点は、心臓の血管(冠動脈)に拡大や瘤を形成する後遺症を残してしまうという点です。冠動脈に後遺症が残ることで、将来、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患がおこる危険性が高くなります。川崎病治療の最重要点は、心臓後遺症を残さないことです。

近年、川崎病に罹った子供に対し、冠動脈後遺症を残す危険性が高いと予測する検査を、川崎病治療前におこない、リスクが高いと判断した場合には従来からの治療(γグロブリン大量治療+アスピリン)に加えて、新しい治療が追加されるようになってきました。しかしながら、新しい治療は、症例報告としての有効性は報告されているものの、明らかに医学的に証明された治療ではありません。有効であると断言するには、大規模調査が必要です。

3年前にKAICA研究がスタートしました。全国規模の研究で川崎病に対するシクロスポリンの効果を明確に証明しようとする目的です。リスクが高いと考えられる川崎病患者に対してシクロスポリンを使用した人、使用しなかった人の入院経過データが約1年かけて続々と集まってきました。有効性を判定する委員は全国で3人(札幌・千葉・大阪の小児循環器医)。大阪は私です。

各判定委員は、各々の患者にどのような治療が行われたかはまったく知らされていません。先入観を除外するためです。全国から集まってきたデータにひたすら目を通して判定します。クリニックでの診察が終わってからの仕事ですので、夜遅くまで毎日のPCに向かってのデスクワーク・・・3人の判定が一致しなかったときは、東京に全員集合し、相談会議をします。判定期限内に全て完了するために、最後は毎週日曜日に東京で会議になりました。僕は口唇にヘルペスがでてきました・・・かなりのストレスやったのでしょうね(笑)

KAICA研究は終了し、シクロスポリンの川崎病に対する効果を明確に証明することができました。医学論文にもなりThe Lancet(ランセット)という医学雑誌に掲載されました。ランセットに医学論文が掲載されることはとても栄誉なことで、そんなに簡単なことではありません。映画界に例えると最優秀アカデミー賞をとったような感じかもしれません。来年には、川崎病治療にシクロスポリンが保険治療として認められるようになることでしょう。



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