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 院長 黒飛 俊二 : 業績のご紹介

 小児科医になるまで

1.小児科選択の決意

 私は幼少時に大病にかかり、しばらく入院治療をしていました。リューマチ熱という診断であったと物心ついてから親から聞かされました。入院生活の記憶は全くありません。覚えているのは、1-2ヶ月に1回くらい病院を受診して、採血されるのでいやだなあと思ってたくらいです。でも当時の自分の写真を見せられると、顔がぽっちゃりしていて、たぶんステロイドという薬をのんでいたと思われます(なんでリューマチ熱でステロイドを飲んでたのかは理解できないのですが...いまとなっては自分で診断できません)。また弟は先天性に大腸に神経がない病気(ヒルシュ病)をもって生まれてきました。だからうんちが全然出なくて、親は家で毎日浣腸しながら、なぜこの子はうんちが出ないのだろう?と思ってたとのこと(早く小児科に連れていったらいいのに!)。病院にいったら直ぐ手術となりまして、おかげさまで彼は元気にしています。両親から私達兄弟の入院経験をなにかある度に聞かされた私は『またこの話か』と思う反面『僕も将来小児科医になりたいなあ』と考えるようになりました。


2.学生時代

 高津高校では演劇部にスカウトされ、俳優になろうかと思ったことがありましたが容姿に自信がなくあきらめました。高校3年の時、医学部受験は合格難しいよと担任の先生から言われましたが、必死に勉強して(たぶん10時間/日)、現役で和歌山県立医大へ入学することができました。大学ではバレーボール部にはまっていました。もちろん医学勉強もしましたし、留年なく国家試験も無事合格。


3.大阪大学小児科へ入局

卒業後、大阪大学小児科教室に入局させていただき、大阪大学病院および関連病院にて小児科修行が始まりました。


4.大阪府立急性期・総合医療センター(大阪府立病院小児科)

一般小児科診療以外に小児悪性腫瘍、喘息、小児虐待の治療に力をいれており本当に勉強させていただきました。御指導いただいた当時の小児科部長先生は、後に日本小児科学会会長に就任され、大尊敬する先生です。


5.西日本NTT病院

 環状線桃谷駅前にある病院で第一線の小児科診療を勉強させていただきました。麻酔科にも出張させてもらい、麻酔の勉強する機会にも恵まれました。


6.市立豊中病院


 豊中の市民病院というより北摂地区を代表する病院で、近隣のクリニックや病院からの紹介患者数の多い病院でした。小児神経病(てんかんなど)、筋肉の病気(筋ジストロフィーなど)、腎臓病(腎炎、ネフローゼなど)の専門の先生がおられて御指導いただきました。また新生児医療にも力を入れており、出生体重1000gに満たない超未熟児を治療していく貴重な診療を十分に経験しました。私は小児科医長として勤務し、心臓病の専門外来をしていました。


7.大阪大学医学部附属病院小児循環器グループ

 小児の幅広い病気を診療すること以外に、小児科のなかでも専門分野を勉強したくて、小児循環器診療グループに所属しました。そこで、心臓に病気のある子ども達の診療に約9年間従事し、楽しいこと辛いことたくさんの経験をしました。その間、診療以外に研究にも励み色々新しいことを知ることもできました(業績の項参照)。大学病院には、非常に稀な病気をもつ子ども達が入院してきます。心臓病以外の稀な病気も医学書からではなく実際に経験し勉強することができました。一方で、小児救急医療の改善担当の命を受け、豊能こども急病センターの立ち上げに参加し、小児救急医療の抱える様々な問題の解決について微力ながら尽力させていただきました。


8.大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター(羽曳野病院小児科)

 喘息をもつ子ども達の診療は修行してきたつもりですが、この数年で日本の小児喘息治療の方針が変化してきています。大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター小児科の先生に新しい喘息治療について御指導いただく機会に恵まれ、再修行できました。40過ぎた『おっちゃん』を受け入れて下さった先生に感謝申し上げます。


9.最後に


 大学卒業後18年間、大阪大学および関連病院の先生の御指導のもと、もちろん診察を受けにきてくれる子ども達から病気について修行することができて本当に感謝しています。その間、たくさんの小児科医師と交流を深めることができました。これは私の宝です。大阪大学医学部小児科関連病院はこのあたりでは、市立堺病院小児科、ベルランド総合病院小児科、大阪府立母子保健総合医療センターです。
 地域の子ども達のための修行はまだまだ続くものですし、自分のできる限り励んでいこうと決意いたしております。みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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 業績集

 他人から、わたしが今まで小児科医として具体的にどのような経験を積んできたのですか?と問われたとき、なかなか説明しにくいように思いました。また、言葉の説明では本当なのかどうなのか?客観性に乏しいようにも思いました。そこで、客観性のある手段のひとつとして私が発表した主著論文を列記させていただこうと思いました。


日本語論文

1.右冠動脈瘤閉塞による広範な下壁梗塞、重症僧帽弁閉鎖不全、肺高血圧を呈した川崎病の1例. Prog.Med.,12:1430-1438,1992

2.心エコーにて腫瘍を認めた結節性硬化症3例についてのMRIを用いた検討. 小児科臨床,47:22-30,1994

3.MRSA carrierの小児先天性心疾患患者に対する術前管理 -最近3年間の対策とその効果について-. 日本小児循環器学会雑誌, 10(3):401-405,1994

4.興味ある左室-右室短絡を示すファロー四徴症術後の1例. 小児科臨床,49:51-54,1996

5.Cibenzoline投与にて良好にコントロールできた上室性頻脈の2症例. 小児科臨床,51:65-68,1998

6.当院での川崎病に対するウリナスタチン療法の経験. Prog.Med.,19(7):1682-1686,1999

7.川崎病に対するウリナスタチン療法の経験. はばたき 60:1-5,1999 川崎病友の会編集

8. 先天性心疾患における右室心筋重量の測定と新しい右室収縮機能指標について. 日本小児循環器学会雑誌16:717-724,2000

9. 最近経験したコクサッキーウイルスにより急性心病変を呈した3例について. 小児科臨床54;240-244,2001

10. 冠動脈障害なしと診断された川崎病児の冠動脈径についての検討 ー冠動脈正常径と比較してー. Progress Med 21:1640-1642.2001

11.当院で施行したガンマグロブリン超大量療法(1g/kg/day)について. Progress Med 22:1644-1647,2002

12.小児看護学 循環器編執筆

13.三尖弁閉鎖にPHACES症候群を合併した1例 小児循環器学会雑誌 2005


英語論文

1.Accelerated ventricular rhythm in the newborn. Acta Paediatr Japonica, 37:701-702,1995

2.Quantitative, non-invasive assessment of ventricular septal defect shunt flow by measuring proximal isovelocity surface area on colour Doppler mapping. Heart,78:305-309,1997

3.Regional ventricular systolic abnormalities caused by a rudimentary chamber in patients with univentricular hearts. American Journal of Cardiology,82:86-92,1998

4.Left ventricular regional systolic motion in patients with right ventricular pressure overload. International Journal of Cardiology,67:55-63,1998

5.Deletion of the long arm of chromosome 2 (2q22-q24.2):Case report and review of the literature. Pediatrics International 42(5):582-584,2000

6. Regional left ventricular motion during early filling phase in patients with right ventricular pressure overload. Japanese Heart Journal,40:755-764,1999

7.Bidirectional cavopulmonary shunt with additional pulmonary flow: The impact on pulsatility on pulmonary endothelial function, Circulation 100(18)I-735,1999

8.Clinical impact of two-day course of high-dose intravenous gamma-globulin in treatment of Kawasaki disease. Pediatric Research 47:565:2000

9.Bidirectional cavopulmonary shunt with right ventricular outflow patency: The impact of pulsatility on pulmonary endothelial function. J Thoracic Cardiovascular Surgery 121;1161-1168,2001

10.Coronary diameter in normal infants, children and patients with Kawasaki disease. Pediatrics International 44;1-4,2002

11.The serum KL-6 level in newborns with meconium aspiration syndrome. Pediatrics International 45,517-521,2003

12.Determination of timing for re-operation in patients after right ventricular outflow reconstruction. American Journal of Cardiology. 2005

13.Impaired vascular endothelium-dependent relaxation in Henoch-Schonlein purpura. Pediatric Nephrology 19,138-143,2004

14.B-natriuretic petide as a hormonal marker of ventricular diastolic dysfunction in children with Kawasaki disease. Pediatric Cardiology 2005

15.A Case of Chaotic Atrial Tachycardia and Noonan Syndrome. J Echocardiography 2,58-60,2004


受賞歴・その他

2002年度日本小児循環器学会Young Investigator Award受賞
Bidirectional cavopulmonary shunt with right ventricular outflow patency: The impact of pulsatility on pulmonary endothelial function

これからも地域の子供たちに役立つように励んでいきたいと思います。

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