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オりオノクリニック月報


月々の話題や役立つ情報を掲載します


2018年10月

ピーナッツ・ナッツ類アレルギーについて


ピーナッツは、食物アレルギーの卵・牛乳・小麦に続き第4位を占めています。ナッツ類は8位です。しかしアナフィラキシー発生率でみると、ナッツ類は3位、ピーナッツは5位であり、アレルギー症状は強い傾向があります。
ピーナッツはマメ科ですが、ナッツ類は別の科に分類されますので、ピーナッツアレルギーがあってもナッツ類を除去する必要はありません。また、ナッツ類の多くは分類上かけ離れているので、ナッツアレルギーの場合は個別にアレルギーがあるかどうかを判断する必要があります。
自然に治っていく確率は低く、ピーナッツ・ナッツ類アレルギーでアナフィラキシーとなった場合は制限していくこと以外にはないと思います。発症予防としては、乳児期離乳食の時から、ピーナッツ・ナッツ類を含む食品を開始することが推奨されています。





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2018年9月

魚アレルギーについて



魚は食物アレルギーの原因食品として7番目に位置しています。
魚肉は、食べることによるアレルギーだけではなく、煮たり焼いたりすることで蒸気中から魚肉成分を吸い込み喘息をおこすことも知られています。

魚肉のアレルギー性物質は、多種の魚に共通していることが多いので、魚アレルギーの約70%の人が多種の魚にアレルギーを持っています。血液検査で数種類の魚に対してアレルギー反応があるかどうかを調べることができますが、血液検査でアレルギーがあっても、実際は食べることが可能な人もいますので、症状が今までない人は少量の魚肉を食べてみて確認することになります。

特定の魚にアレルギーがある人は、自然に治ることは期待しにくいので、原因となる魚を除去することが必要でしょう。もし他に食べれる魚があれば、その魚を食べていくことでアレルギーのある魚を食べれるようになった報告があります。魚そのものは食べるとアレルギーが出るが、魚出汁はアレルギー的に低下しているので、食べることができる可能性があります。魚のアレルギー性物質は水に溶けやすいので、魚肉をミンチにして水洗いした素材を使用する竹輪・蒲鉾なら食べることが可能な人もいます。

青魚にはアニサキスと呼ばれる寄生虫がついていることがあり、青魚の刺身を食べた後でアニサキスが胃内で暴れて、胃から激痛がおこるアニサキス症は有名です。実は、そのアニサキスに対してアレルギーを持っている人がいます。たとえば、鯖を食べた後に全身蕁麻疹のアレルギーがでましたが、後日違う鯖を食べた時には大丈夫でした。その時の本人の体調にも関係するかもしれませんが、アニサキスのアレルギーかもしれません。アニサキスが寄生した魚を食べた時だけアレルギー症状がおこるのです。アニサキスは血液検査でアレルギーの有無を調べることが可能です。でも・・・この魚にアニサキスがいるかどうかなんて、わかりませんよね。




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2018年7月

イチゴ状血管腫・蒙古斑について



最近のアザ治療についての講演から

イチゴ状血管腫
最終的には自然に治ります。いままでは有効な治療もなかったので、経過観察していれば自然に治りますよと説明していました。しかしながら、長期に続いた場合は、瘢痕などの後遺症が残ることもあります。
最近はレーザー治療の発達により、将来、美容的に気になる部分については、早期からのレーザー治療が望ましいと考えられています。
血管腫が小さくなる内服薬もでてきました。βブロッカー(propranolol)といって、以前から高血圧などに使用される薬なのですが、イチゴ状血管腫にも縮小効果があることがわかりました。
現時点では、美容的に気にならない部分は経過観察・気になる部分はレーザー治療・重症例ではpropranolol内服と考えられます。

蒙古斑
通常は自然に消失しますが、色の濃いものは生涯消えずに残ることがあります。美容的に気になる部分にはレーザー治療を行います。治療年齢が低いほど効果があります。



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2018年6月

新生児期からのスキンケアがアトピー性皮膚炎の発症を予防する話


2010年に、アトピー性皮膚炎をもつ家族がおり、将来アトピー性皮膚炎になる可能性が高いと思われる赤ちゃんに対して、出生後1〜7日以内の早期から保湿剤でスキンケアを毎日実施すると、2歳児になった時には、アトピー皮膚炎になる率は低くなるという研究が発表されました(J Am Acad Dermatol 63:2010年)。

この研究の後に、アトピー性皮膚炎発症予防に関する大きな研究が2つ発表されました。
一つは、生後3週までに保湿剤の連日塗布を開始することで、生後6か月時点でのアトピー性皮膚炎発症予防につながったとする研究(J Allergy Clin Immunol 134:2014年)。
もう一つは、日本でおこなわれた、生後1週間の新生児期から全身に保湿剤を塗布した児は、しなかった児と比べて、生後8か月時点でのアトピー性皮膚炎発症予防につながったとする研究(J Allergy Clin Immunol 134:2014年)。

一方、アトピー性皮膚炎を発症した人では、皮膚の状態が悪い時はステロイド軟こうを使用し、症状が改善した後も、保湿剤を塗布し続けます。再び皮膚の状態が悪くなってくる時には、早めにステロイド軟こうを適時使用することが重要であることは明らかにされており、乳児においても、上記のスキンケアを続けることがアトピー性皮膚炎に効果があるだけではなく、将来発症するかもしれない食物アレルギーを予防できる可能性があるとして注目されています。



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2018年4月

子どもの貧血について


血液には、酸素を体の隅々にまで運搬するという大切な役目があります。肺に吸い込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して運ばれていきます。貧血とは、このヘモグロビンの量が減ったために、酸素を運搬する能力が低下している状態をいいます。
貧血になると、酸素不足を補うために、心肺に負担がかかり、体が疲れやすい、ちょっとの運動で動悸・息切れがしやすいなどの症状がでます。顔色は血色がなくなり、蒼白になることもあります。立ちくらみがしやすいことを貧血症状と誤解している人がおられますが、立ちくらみは起立性調節障害であり、貧血の症状ではありません。

子どもの貧血を判断するときは年齢によってヘモグロビンの正常値が変わりますので、大人の基準では判断しません。大人ならヘモグロビンが12g/dLより低下したら貧血ですが、乳児期は10g/dLまでは正常です。中学生からは大人と同じです。子どもの貧血は年齢によって、貧血になる原因が異なってくることも特徴です。

未熟児貧血
未熟児は造血能力が低いため貧血になる。

生まれてすぐ
血液型不適合貧血など。

乳児期前半
だれでも生後2〜3か月までは自然に貧血になるのです(生理的貧血)。

乳児期後半
母乳には鉄分が少ないので離乳食へ移行がうまくいかないと貧血になる。

幼児期
いろいろな原因があります。慢性の出血。りんご病。骨髄の病気。白血病。

思春期
体が急速に大きくなるので鉄分が不足し鉄欠乏貧血が多くなります。
無理なダイエット。月経による失血。スポーツ貧血。ピロリ菌が鉄分吸収を阻害。


原因としては、鉄欠乏性貧血が多いのですが、検査結果から鉄欠乏とは考えられない貧血がある場合は骨髄検査等を考えていく必要があります。



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2018年2月

目の下のクマについて


目の下のクマ(隈)対処について質問をうけたので調べてみました。
睡眠不足の朝や、疲れがたまった夕方などに目の下にクマがでていることがあります。
目の下にできるクマは大きく分けて3つあります。

青クマ
睡眠不足・ストレス・眼精疲労・冷えなどが原因の血行不良により発生します。対処は十分な睡眠、パソコンなどの使用時間を短縮し目を休める、入浴で血行を良くするなど。

茶クマ
紫外線を浴びたダメージでメラニン色素が沈着し、黒ズミが目立つようになったもので、花粉症などで目の周囲をかきむしったりして皮膚に炎症を起こすことも原因になります。ビタミンCの摂取、美白効果が期待できるクリームの使用が有効です。

黒クマ
黒クマは加齢が原因とされています。目の周囲の筋肉が衰えて緩み、目の下が膨らみ、その下に影ができます。顔全体の表情筋を鍛えたり、むくみの解消が有効です。



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2018年1月

心電図検査でのQT延長の話について


新年あけましておめでとうございます。今年もオりオノクリニックをよろしくお願い申し上げます。

今月号はQT延長についてとりあげました。
堺市では小学校1年生時に全員心電図検診をうけることになっています。目的は異常な心電図所見のある児童を見つけ出し、専門医療機関へ紹介し、今後の学校生活での注意点を把握することです。私も堺市南区の4つの小学校の心電図検診を担当しています。心電図にはQT時間とよばれる部分がありまして、Q波のはじまりからT波の終わりまでの時間のことです。QやTの説明は省略しますが、QT時間が異常に長い児童は、将来致死性の不整脈をおこすことがあり、精密検査を受けることが必要になります。学校心電図検診において、QT延長とされる児童の頻度は1000人あたり、小学生0.1人・中学生0.24人・高校生0.28人とも報告されていて決して稀なことではありません。

QT時間が異常に長くなる原因として、電解質異常・内服薬の影響などもありますが、最も多い原因は遺伝子異常です。1990年代から原因遺伝子が次々に発見され、現在は16タイプわかっています(これからも増えてくるでしょう)。遺伝子異常ですから当然先天性で、先天性QT延長症候群と診断します。以前は非常に高価な検査でしたが、現在は保険診療として承認されています。

同じ遺伝子異常をもっていても、生まれてまもなくからQTが異常に延長し何回も不整脈をおこす赤ちゃんから、QT延長もなく生涯にわたり不整脈を起こさない人まで様々で、人間の症状発現は遺伝子からだけではなく、修飾因子・環境因子の影響を受けています(まさに研究されているところです)。

先天性QT延長症候群の治療は一様ではありません。いままで不整脈を疑わせるような症状があったか?QT時間は何秒なのか?遺伝子異常部位はどこなのか?家族・親戚に突然死した人がいるのか?などによって、治療が個別に選択されます。



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2017年11月

2017年 小児急性胃腸炎診療ガイドラインから(日本小児救急医学会)


家人から質問される胃腸炎に関する質問に対して、医師向けに作成された上記ガイドラインからお答えします。

Q:急性胃腸炎の乳児ですが母乳栄養は継続してよいのですか?
A:母乳栄養は継続してよい。母乳を併用したほうが重症脱水が少ないという証拠があり、むしろ積極的に母乳栄養を継続すべき。

Q:急性胃腸炎の小児に対してミルクや食事を早期に開始してもよいのですか?
A:脱水が補正されていればミルクや食事は早期に開始してもよい。長時間の食事制限は推奨されない。食事内容も年齢に応じた通常の食事でよい。食事制限をしても治癒までの時間に変わりなく、むしろ体重の回復を遅らせます。

Q:急性胃腸炎の乳児に対してミルクは希釈しないほうがよいのですか?
A:ミルクは希釈しないことを推奨する。ミルクを希釈しても治癒までの経過に利点はない。

Q:急性胃腸炎の小児に対して不適切な食事はありますか?
A:証拠は十分ではないが、高脂肪の食事や糖分が多い飲料は避けることが推奨されます。

Q:急性胃腸炎の小児に対して乳糖除去乳は有効ですか?
A:乳糖除去乳の有効性を示す証拠はあり、下痢の期間を短縮します。しかし、すべての急性胃腸炎の小児に最初から使用する必要はない。

Q:急性胃腸炎の小児に対して下痢止め薬は有効ですか?
A:下痢止め薬は推奨されません。生後6か月未満は禁忌。2歳未満は原則禁忌です。

Q:急性胃腸炎の小児に対して吐き気止め薬は有効ですか?
A:有効とする報告がありますが、エビデンスレベルは高くありません。一律に使用する必要はありません。

Q:急性胃腸炎の小児に対して抗生物質は有効ですか?
A:小児急性胃腸炎の多くはウイルス性であり、一律に抗生物質を使用することは推奨されません。

Q:急性胃腸炎の小児に対して漢方薬は有効ですか?
A:判断するためのエビデンスがないため、決めることができません。



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2017年10月

頭しらみについて




保育園や幼稚園で、頭しらみが流行することがあります。

頭しらみは昆虫で、卵で約7日→幼虫(約14日)→成虫(約1か月の寿命)になり、幼虫・成虫が人の頭皮から吸血します。

頭髪の直接的な接触で感染しますが、寝具・タオル・帽子・櫛・ロッカーなど共用でも感染します。プールや風呂など水を介して感染することはまずありません。

頭髪(特に毛の根元)をくまなくさがすことで、卵・幼虫・成虫がみつかれば診断確定します。梳き櫛で毛の根元から梳くと虫は取れます。卵については虫眼鏡で拡大して、その中に虫がいるかどうか確認します。

卵の時には自覚症状はありませんが、吸血されると激しい痒みがおこります。痒みはシラミが吸血時に注入する唾液にたいするアレルギー反応です。掻きすぎて頭皮に傷をつけ、雑菌により化膿することもあります。

治療はスミスリンシャンプー・スミスリンパウダーです。
シャンプーは、ぬるま湯であらかじめ頭髪を濡らし、頭皮・頭髪全体に十分に液を行き渡らせ、5分間放置後に洗髪します。1日1回・3日に1度ずつ、3〜4回繰り返します。そして添付されている梳き櫛を用いて取れにくい卵を取り除きます。

毛髪にくっついている卵はセメント様物質で固着されていますので、虫がいなくなってもしばらく引っ付いています。しばらく毎日シャンプーしたり、櫛で梳くことは、治療・予防に効果的です。

クラスで頭しらみが出ているときには、毎日シャンプーして、髪を頻回に梳くこと。タオル・帽子を共有したり、一緒に保管することには注意してください。


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2017年9月

唾石症(だせきしょう)について




人間の体内で石ができるところ・・・

胆嚢にできる胆石・腎尿管にできる尿管結石・膵臓にできる膵石・歯にできる歯石など。
唾液をつくる耳下腺・顎下腺の中にも石ができて、炎症を起こすことがあります。
これが唾石症です。

食べ物のカス・口の中の雑菌などで唾液腺に炎症がおこり、唾液が粘調になり、だんだん固まって、小さな石ころみたいになっていきます。そして、唾液が口内にでてくる管(唾液管)に、詰まることがあるのです。唾液の流れが悪くなると、唾液がたくさん出てきたとき(食事中など)に、唾液腺が腫れてきます。自然に口腔内に石が排出されることがありますので、唾液腺を1日数回マッサージして、消炎剤・抗生物質を内服しながら経過をみると改善していきます。しかしながら、唾石が詰まってとれなくなってしまった時には、切開して摘出することになります。


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2017年8月

菌交代症について


腸の中には、細菌が無数にいます。それら細菌は、食べ物の消化・吸収に関与しており、私たちに必要な善玉菌です。私たちは善玉の腸内細菌と共存しています。

しかし、胃腸炎になったり、抗生物質を長期間内服したりすることにより、善玉の腸内細菌が弱ってしまい、消化・吸収に関係ない不要な細菌が腸内に住んでしまうことがあります。弱った善玉菌と雑菌との混在状態・・・・一般的には腸内細菌のバランスが乱れていると表現されますが、医学的には菌交代といいます。

私たちは滅菌食を食べているわけではないので、食事とともに雑菌も摂取しています(調理したての食事にも落下細菌はついています)。本来はそのような雑菌は腸内に生息することはできません(善玉の腸内細菌が雑菌の生息を阻害しています)。腸内細菌が弱ってしまうと、一時的に雑菌が住みついてしまうのです。雑菌が住みつき、腸内細菌バランスが乱れた腸では、長引く腹痛・下痢の原因になってしまいます。

雑菌を殺菌するために、抗生物質を内服したりすると、善玉菌も同時に弱ってしまいますから、再び雑菌が住み始め、悪循環になってしまいます。

整腸剤など消化を助ける薬を内服しながら、善玉菌の発育を促していくと、雑菌は住み心地が悪くなり、しだいになくなっていくのです。しばらく時間はかかりますが、気長に待っておくしかありません。


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2017年6月

小児の肥満について


肥満の定義
子供の肥満は肥満度という数値を使用して評価します。
肥満度は標準体重に対して実測体重が何パーセント上回っているかを示すものです。
肥満度 =(実測体重 − 標準体重)/ 標準体重 × 100 (%)

学童なら20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上は高度肥満とします。

子供の肥満のほとんどは単純性肥満といって、摂取カロリーが消費カロリーを上回ることで起こるものです。そのほか、病気で肥満をおこすことがあり、二次性肥満といいます。
病気で肥満を起こすときは、身長の伸びが悪くなっていること特徴で、単純性肥満の場合は身長の伸びは問題ありません。

子供の肥満は、生活習慣病とよばれる、糖尿病・高コレステロール・高血圧と密接に関係しており、動脈硬化をすすめ、将来心筋梗塞・脳梗塞などの血管障害を引き起こす危険が高くなります。動脈硬化は子供時代から始まっています。また、脂肪肝がおこり、慢性的に肝障害をひきおこし肝硬変・肝がんとも関係していきます。ひざ・腰の負担も大きくなります。

幼児期の肥満は約25%、学童前期の肥満は約40%、思春期の肥満は約70〜80%が、成人肥満につながっています。やはり、子供のころの食事・運動習慣は、大人になっても引き継がれますので、子供のころからの改善が必要となります。

小児のメタボの基準
@腹囲(中学生80cm以上・小学生75cm以上または腹囲÷身長が0.5以上)
A空腹時中性脂肪が120mg/dl以上ないしHDLコレステロール40mg/dl未満
B収縮時血圧125mmHg以上ないし拡張時血圧70mmHG以上
C空腹時血糖100mg/dl以上
@を満たした上で、A〜Cのうち2つ以上を含む場合に小児メタボと診断する。
ちょっと気にしてみてください。

じゃあ、どうすればいいの?ってことですが、簡単に痩せることができるなら、みんな苦労しませんよね。お金をかけて見事に痩せるCMもありますが、子供に無理なダイエットはさせたくありません。当然、子供自身のやる気がなくては長続きしません。家庭内でできることから始めてみてはどうでしょうか?一度、相談してみてください。


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2017年5月

日本脳炎ワクチン早期接種が可能になっています。


日本脳炎は重篤な病気であり、国内で1960年代には年間数千人が日本脳炎にかかっていました。1954年に日本脳炎ワクチンが開発され、1994年から定期接種となり、現在、国内での日本脳炎の発症患者数は年間10人未満と報告されています。非常にまれな病気になってしまったので、病院でも日本脳炎を疑わずに、原因不明の脳炎として報告されているケースも存在していることがあるので、実際はもう少し患者数は多いと考えられています。

早期接種が可能になった背景
日本では、日本脳炎ワクチン接種開始年齢を3歳からとしていましたが、2015年千葉県において、生後10か月の乳児が日本脳炎を発症しました。このことを受けて、日本小児科学会は、3歳を待たずに生後6か月からのワクチン接種推奨を発表しました。
現在、堺市では生後6か月からの日本脳炎ワクチン接種が定期接種として認められています。

毎年、日本脳炎は8月〜10月に患者報告が多いので(病気は蚊が媒介するので)、それに間に合うように日本脳炎ワクチンの接種スケジュールを設定したらいいと思います。
生後6か月になったら急いで接種ではなく、生後6か月から定期接種できると理解したらいいと思いますよ。

ただし、アジア諸国などまだまだ日本脳炎の発症患者数が多い国への転居予定がある・住居が感染リスクが高い地域である(例えば、近くに養豚場があるとか)などの場合は、早期接種を考えてください。

補足ですが、3歳を過ぎると子どもが予防接種をとても嫌がり受診できない状況になることも珍しくありません。連れていきやすい間に接種しておくのもよいかもしれませんね。


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2017年4月

尿酸についての話


尿酸という物質があります。尿酸が高いと、関節にたまって痛風をおこしたり、腎臓に尿酸結石をつくったりと、あまりよいイメージがありません。だからといって、尿酸が体内になければよいというものではありません。尿酸には強い抗酸化作用があり、体内の酸化ストレスを解毒する作用があります。血中の尿酸が少ないと、激しい運動をした時に生じる酸化ストレス物質を解毒できないために急性腎不全がおこることが報告されています。

血中の尿酸が高いとおこる病気
痛風:尿酸が体内で多くなりすぎて、関節の中で溶けきれなくなり結晶となり、関節内で炎症をおこします。足の親指の付け根の関節に現れやすいことが知られています。その他、腎臓にも悪影響があり腎臓病を引き起こしたり、悪化させたりします。

尿酸が高い人は・・・
アルコールは尿酸排泄を減らしますので、飲みすぎは注意です。ビールなら500ccまで。
夏場など、大量の汗をかいたら、尿酸が高くなりますので水分摂取はしっかりと。
尿をアルカリ性にしたほうが尿酸が溶けやすくなるので、アルカリ性食品をしっかり摂取すること(野菜・海藻・干ししいたけ)。
プリン体を摂取を少なくする(お肉・干物・レバー)。
自分にとって継続可能な毎日の適度な運動をとりいれる。汗をしっかりかいたら水分補給。

薬の治療
痛風をおこしたことがある人は尿酸を抑える薬が勧められます。また、高血圧・糖尿病・メタボリックシンドロームの人は尿酸が8mg/dL以上なら薬が勧められます。目標は6mg/dL以下を。アロプリノール(ザイロリックetc)を使うことが多いのですが、腎機能が低下している場合はフェブキソスタット(フェブリク)がよいです。


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2017年2月

こどもの長引く頭痛について

今回のテーマは頭痛ですが、長引く頭痛です。風邪をひいて熱がでて頭も痛い、でも風邪が治ったら頭痛もなくなりました・・・そんな急性頭痛ではありません。慢性の頭痛です。
子供の長引く頭痛・慢性頭痛は珍しいことではありません。もちろん大人の方が慢性頭痛で困っている人は多いのですけど。

頭痛がよくおこるので心配です・・と相談に来られることがあります。
幼児が受診することは珍しく、ほとんど小学校高学年・中学・高校生・思春期周囲といっていいように思います。

二次性頭痛
まずは、二次性頭痛の検査から始めています。二次性頭痛とは、なんらかの病気があり頭痛がおこっているという意味です。血圧・血液検査・尿検査・MRI検査で脳の異常・脳血管の異常がないかを調べます。突然に始まる今までに経験したことがない強い頭痛・頭痛の回数・程度が増していく・発熱している・手足などが動きにくいなどの頭痛以外の神経症状を伴う・・・などは二次性頭痛が疑われます。

一次性頭痛は、大きく3つに分けられます。
1片頭痛
月に2〜4回くらい強い頭痛発作がおこります。日常生活ができなくなるくらいの痛みです。片頭痛といっても小児では両側のことも多く、頭痛は脈打つように痛くなるのが普通です(拍動性頭痛)。吐き気・嘔吐を伴うこともあり、光過敏・音過敏がおこったり、頭痛の前に、生あくび・視野がぼけて見にくくなったりすることもあります。家族にも片頭痛の人がいることも多いです。
2筋緊張型頭痛
頭の筋肉が緊張して、締め付けられるような頭痛です。(孫悟空が頭のリングを三蔵法師にしめられるような感じでしょうか・・)肩・首の筋肉もパンパンにこっていることも多いです。拍動性の痛みではなく、日常生活は続けられる痛みです。
3慢性連日性頭痛
1日に4時間以上、月に15回以上、3ヶ月以上持続する状態です。この頭痛はなかなか頭痛薬でコントロールすることが難しく、片頭痛のような頭痛が混じることもあり、筋緊張型頭痛が片頭痛の間を占めているようで、痛みのプールにどっぷり浸かっている状態です。学校にいっても保健室で寝ているばかり、起立性調節障害も持っていることが多く、朝は体調が悪くて起きられません。親子で悩み、学習面、学校や家庭での人間関係の葛藤、本人の性格特徴も複雑に関係し、悪循環となって頭痛はぜんぜん良くなりません。いくつかの小児科・頭痛外来・心療内科等に受診されています。解決策は一人づつ異なっており難しい頭痛です。


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2016年12月

ノロウィルス腸炎について

毎年、冬が始まる頃になると、ノロウィルスが流行します。

ノロウィルスは、カリシウィルス科に属する直径27-32nmの小型ウィルスで、小型球型ウィルスとかSRSVとも呼ばれます。汚染された食物(生カキ、サラダが多い)、感染者の便・嘔吐物を介して感染し(糞口感染)、感染力が強く、学童、成人、老人施設に集団発生することが多いです。
11月から3月の冬季を中心に流行し、潜伏期は1〜2日で、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などの胃腸炎症状をきたします。また、発症後1週間は糞便や嘔吐物中にウィルスを排出し、感染源となりますので、元気になってからも1週間くらいは人に感染力があるかもしれません。

ノロウィルス抗原を迅速に検出する検査ができるようになりましたが、欠点は現在のところ健康保険を使えないため高価なことです。そして、ノロウィルスとわかっても特別な薬はありませんので当院では検査はしていません。

ワクチン開発の研究が行われていますが、なかなか難しいようです。


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2016年11月

髄膜炎菌感染症について

髄膜炎菌(ずいまくえんきん)という細菌がいます。
日本では少ない細菌で馴染みはうすいのですが、その毒性は強く、日本で年間40〜50人が髄膜炎菌感染で入院します。

敗血症・髄膜炎をひきおこしますが、劇症型といわれる感染は数時間で死にいたります。手足の毛細血管に血栓をつくることで、血液が流れなくなってしまい、手足に出血がおこり、急速に壊死(くさってしまうこと)していきます。朝に発熱したら夜に亡くなる、こんな急速に状態が悪くなります。命を助けるために、壊死していく手足を切断することもあります。次回の東京開催のパラリンピックにむけて、手足を切断したイタリアの女性が義足・義手をつけてフェンシングで代表をめざしているCMが流れていますが、彼女は髄膜炎菌の劇症型感染で四肢を失っています。

海外では髄膜炎菌感染症は段違いに多いので、ワクチンによる定期接種をしている国が多く、アメリカでは大学入学時に全学生が髄膜炎菌ワクチンの接種をすることが必要になっています。

日本では2015年から髄膜炎ワクチン(商品名メナクトラ)が承認されました。

接種がすすめられる人としては
2歳以上の脾臓がない人(無脾症候群)
補体欠損症と診断されている人
中学・高校・大学などの寮生活をしている人
自衛隊・警察の寮生活者
海外への留学生
国内でも外国人と頻繁に接する人
アフリカなど流行地への旅行者
とされています。


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B型肝炎ワクチンが定期接種に!!

B型肝炎の主要な感染経路は母から子への母子感染なので、日本では1986年からB型肝炎に罹患している母親から出生した子どもに対して、B型肝炎母子感染予防処置が行われてきており、母子感染は激減しました。一方で父から子への父子感染、感染経路が不明な子どもが問題となってきました。
H23-25年の日本の全国調査では551人の小児B型肝炎キャリアのうち、母子感染は69%と最多ですが、父子感染は10%、感染経路不明が21%でありました。

2016年10月1日から、B型肝炎ワクチンが定期接種になります。

対象者
出生後1歳未満の子(ただし平成28年4月1日以降に出生した子)

接種回数・接種間隔
3回接種です。
生後2ヶ月から9ヶ月未満で1回目を接種する。27日以上の間隔をあけて2回目を接種し、さらに1回目から139日以上の間隔をおいて3回目を接種します。3回の接種をすべて1歳未満にしなければ定期接種としては認められませんので注意してください。

たとえば、1回目の接種をして139日たったら1歳になってしまう場合は、3回目のみ任意接種になります。



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熱性けいれんに対する診療ガイドラインから



日本小児神経学会が2015年に発刊した熱性けいれんガイドラインでは・・・・・・熱性けいれんは主に生後6〜60ヶ月までの乳幼児におこる、通常は38度以上の発熱に伴う発作性のけいれんで、髄膜炎などの中枢神経感染症、代謝異常、その他あきらかな発作の原因がみられないもので、てんかん既往のあるものは除外される・・・・・とあります。簡単にいえば、風邪をひいて発熱したときに数分間けいれんする<いわゆる発熱時のひきつけ>です。

最近うけたご両親からの質問について、日本小児神経学会の熱性けいれん診療ガイドラインにそってお答えします。

Q:熱性けいれんは繰り返すことがあるそうですが?
A:はい。約30%のこどもが繰り返します。再発危険因子は4つあります。
@両親いずれかの熱性けいれんになったことがある。
A1歳未満に熱性けいれんになった。
B熱がでたらすぐにけいれんした(1時間以内)。
Cけいれんした時の熱が39度以下であった。
いずれかの因子がある場合は再発する確率が2倍以上になることがわかっています。

Q:熱性けいれんをおこすとてんかんになりやすいのですか?
A:熱性けいれんをおこした子どもが、後にてんかんになるのは2〜7.5%と、一般人口におけるてんかん発症率(0.5〜1.0%)に比べると高いです。しかしこのことは、将来てんかんを発症する子どもがその予兆として熱性けいれんを発症したと考えるべきであり、普通はてんかんと熱性けいれんは関係ありません。しかしながら、以下のことが当てはまるときは将来注意が必要です。
@熱性けいれんをおこす前から神経に異常がある場合。
A両親・同胞にてんかんの人がいる。
B(@)部分発作(手だけとか脚だけとか部分的にけいれんすること)。
 (A)けいれんが15分以上持続した。
 (B)1回の熱でけいれんが繰り返しておこった。
上記の内、1以上がある。
C発熱してから短時間でけいれんするので(概ね1時間以内でけいれんする)予防の座薬をいれる余裕がない。

Q:熱性けいれんをおこさないように、予防的に座薬をいれる適応は?
A:座薬は熱性けいれんの再発予防に有効です。しかし、熱性けいれんをおこした子どもすべてにおこなうものではありません。
以下の@またはAを満たす子どもには座薬によるけいれん予防をおこないます。
@持続時間15分以上のけいれん。
A次の@〜Dのうちの2つ以上があるとき。
@:部分発作または24時間以内に繰り返すけいれん。
A:熱性けいれん出現前から存在する発達の遅れ。
B:熱性けいれん又はてんかんの家族・同胞がいる。
C:年齢が12ヶ月未満である。
D:発熱後1時間未満でけいれんがおこる。
E:38度未満でのけいれんである。

Q:熱性けいれんの予防の座薬はいつまでつづける必要がありますか?
A:最終の発作から1〜2年間、または4〜5歳まで続けることがよいと考えられますが、明確な根拠はありません。

Q:熱性けいれんは何歳までとするのですか?
A:熱性けいれん発症の上限を何歳にするかについては一定の見解はありません。乳幼児期から熱性けいれんをおこし、6歳以後にも熱性けいれんをおこしている場合は、熱性けいれんプラス(こんな言葉があります。熱性けいれんに何かプラスアルファがあるって感じ)のことを考えて精密検査をうけることが必要でしょう。

Q:熱性けいれんをおこしやすい子どもに解熱剤を使用すると、解熱剤がきれたら熱が再上昇することで熱性けいれんの再発がおこりやすいのですか?
A:従来から解熱剤使用後の再発熱での発作の可能性がいわれていましたが、このことを医学的に示した研究はありません。子どもが熱で苦しんでいたら解熱剤を使用しても問題ありません。




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2016年6月

扁桃肥大とアデノイド肥大


扁桃肥大
口を大きく開けてのどの奥をみてみると、左右に1こづつ梅干の種みたいな扁桃腺とよばれるリンパ腺が見えます。扁桃腺が大きいことを扁桃肥大といい、大きさの程度により3段階にわけています。
    1度:ちょっと大きい
    2度:もうちょっと大きい(幼児では2度程度は生理的です)
    3度:喉の奥がみえないくらい大きい。

扁桃腺は2〜3歳頃から大きくなりはじめ、4〜5歳くらいに急速に増大し、7〜8歳で最大になり、その後11〜12歳頃から小さくなってきます。だから扁桃肥大は手術でとらなくても自然に治るのです。扁桃腺は細菌やウイルスの喉への侵入を防ぐ役割をしているので、肥大しているからとったらいいというものではありません。しかしながら以下の場合は扁桃腺をとることも考慮する必要があります。

   @繰り返し扁桃腺がはれて熱がでるとき。
   A扁桃腺にいつも細菌がすくっており、
     発熱のたびに血尿がでて腎炎が起こる場合。
   B扁桃腺が大きすぎて呼吸がくるしくなり、夜間無呼吸がおこるとき。
納得がいくまで医師と相談してきめることが必要です。

アデノイド肥大
アデノイドは喉の奥(鼻の奥)のリンパ腺で、口からは見えないところにあります。
アデノイド肥大があると鼻づまりの原因になり、鼻と耳の交通をさまたげるために、耳に水がたまったり(滲出性中耳炎)、耳が聞こえにくくなったりします。鼻づまりがあるので口呼吸となり口臭の原因にもなります。アデノイド肥大があるかどうかは耳鼻科で見てもらう必要があります。



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2016年5月

犬に咬まれました。狂犬病は大丈夫ですか?


野良犬と遊んでいて咬まれた子供が受診されました。狂犬病にはなりませんか?

狂犬病はとても怖い病気でいったん発症すれば打つ手はなく、ほぼ100%死亡してしまう病気です。

日本では昭和31年を最後に狂犬病は発生しておりません。日本国内で犬に咬まれた場合は狂犬病にはならないとされています。破傷風など危険はあるかもしれませんが。
日本ではペット犬に対する狂犬病ワクチンの予防接種が義務付けられています。

アジア・アフリカ・南米には発生していますので長期滞在する人は予防接種をしておいたら安心です。犬だけではなく、野生のキツネ・アライグマ・ネコ・マングース・アナグマからの感染もあります。狂犬病の流行地域で働く、野生動物に接触する可能性が高い人は是非接種が望まれるとのこと。アジアの動物園での飼育員・アフリカの野生動物保護区の監視員とかな?


狂犬病のワクチンスケジュール
4週間隔で2回接種し、その後6〜12ヶ月後に3回目をします。
長期間免疫を維持し予防するには2年に1回ずつ接種します。



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2016年3月

B型肝炎ワクチンの定期接種化について


B型肝炎
は血液、唾液、汗などから感染します。日本でのキャリア(持続感染者)は150万人いると言われています。持続感染者からの予防が目的です。

2016年10月から公費接種の予定です。対象は28年4月以降に生まれた1歳未満児です。2016年3月の時点で、まだ生まれていない(来月から生まれる)赤ちゃんが対象になります。生後2ヶ月から接種できます。

0歳児が対象になると聞いていたので、2016年10月の時点で0歳児の赤ちゃんは公費でB型肝炎ワクチンが接種できるかもしれませんよと話していたのですが、残念ながら公費扱いではなくなりました。


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2016年1月

思春期到来が早い・遅いの診断基準について
思春期とは、こどもが成長し大人になっていく過程に心身ともに変化する時期といえます。何がきっかけになり思春期がはじまるのかはわかっていませんが、女児では10歳頃、男児では12歳頃から体の変化がはっきりしてきます。思春期が早く到来することを思春期早発症といいます。逆を思春期遅発症といいます。

思春期早発症の診断基準
男児では
@9歳未満で精巣・陰茎・陰嚢の明らかな発育がおこる。
A10歳未満で陰毛の発生がある。
B11歳未満で腋毛・髭の発生や声変わりが起こる。

女児では
@7歳6ヶ月未満で乳房発育が起こる。
A8歳未満で陰毛発生・小陰唇色素沈着など外陰部早熟、あるいは腋毛発生が起こる。
B10歳6ヶ月未満で初経が起こる。

思春期遅発症
男児では
14歳までに精巣容積の増大が見られない場合。

女児では
13歳までに乳房腫大が見られない場合。


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2015年12月

鼠径(そけい)ヘルニアの話

 俗に脱腸といわれ、子供の1〜3%くらいとされています。 お腹の中にある臓器(小腸・大腸・女の子では卵巣も)が鼠径部に飛び出してきて腫れてきます。

 胎児の時には、腹膜が鼠径部にむかって靴下のように伸びてきます。この伸びてきた腹膜を腹膜鞘状突起といいます。胎児期に、男の子ならば精巣がお腹の中から陰嚢の中に降りてきます(降りてこないときは停留睾丸です)。この時に腹膜鞘状突起は形成されます。女の子は卵巣は降りてはきませんが腹膜鞘状突起は形成されます。突起は出生前に自然閉鎖してしまいますが、原因不明に開存したままの状態になりますと、鼠径部とお腹の中との間に交通路が残ることになります。その通路を通って、お腹のなかの臓器が入り込むことで、鼠径ヘルニアになるのです。

 飛び出した臓器が締め付けられてしまい、臓器の血流が悪くなることがあります。この状態をヘルニア嵌頓といいます。痛みが強く、泣いたり、吐いたり、ぐったりしたり。嵌頓が疑われる場合には、昼夜関係なく医療機関に受診することが必要です。

 交通路が自然に治癒することはなく、治療は手術で閉じることになります。

 臓器が突出する場合はヘルニアですが、水が貯まる場合は水腫といいます。
男の子なら、鼠径部に水がたまると精索水腫、陰嚢に水がたまると陰嚢水腫です。女の子なら、鼠径部に水がたまるとヌック水腫といいます。呼び方は変われど、腹膜鞘状突起が閉じないで開存することが原因です。水腫の場合は1歳までに自然治癒することが多いです。


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2015年9月

海水浴皮膚炎についての話

海水浴にいった日の夕方から体がチクチクしはじめて、翌日になるとブツブツが出てきましたと子ども達が受診するようになりました。
今月号は海水浴皮膚炎について話します。

クラゲ皮膚炎(写真@)
お盆がすぎて海水浴にいったらクラゲに気をつけなあかんよって、僕は子供のころに祖母からよく言われた記憶があります。クラゲの種類によっても異なりますが、何も感じないが触るとチクチクするものから、激痛になったりするものまで様々です。
クラゲに刺されたら、手袋をしたり、タオルなどを使ってクラゲの触手を取り除きます。素手で除去しようとすると、手も刺されるかもしれません。海水or食用酢で洗浄。真水はダメです。真水で洗うとクラゲ細胞から毒針が出てきてもっと痛くなります。洗ったあとに、氷水で冷やしたり、ステロイド軟膏を塗っておきます。


   写真@

サンゴ皮膚炎(写真A)
サンゴは石ではありません。イソギンチャクと同じ仲間の生き物です。サンゴは毒針を持っています。サンゴの種類によるのですが、刺されると数時間以内に痛くなってきて、蕁麻疹みたいに腫れてきて、水膨れになって潰れて汁が出てきます。
まずは海水でしっかり洗浄し(真水はダメですよ)、さらに食用酢を塗ってサンゴの細胞の活動を抑えます。そのあとにステロイド軟膏を塗っておくのがベストです。


   写真A

プランクトン皮膚炎(写真B)
海中に浮遊するプランクトンのなかで、かに・エビなどの甲殻類の幼生であるゾアエとの接触で生じます。チクチクした痛みと・かゆみを伴う小さな赤いブツブツが、水着で隠れているところや、こすれやすいところに出てきます。海水から上がったら、シャワーで流し落とし、とくに水着の中も流水で洗い流しておくことが大切です。冷やしたり・ステロイド軟膏を塗ったりします。


   写真B


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2015年8月

ちょっと豆知識

突発性発疹にかかった乳児が突然不機嫌に?
突発性発疹は、生後6〜12ヶ月くらいの間にかかる3日間高熱がつづく病気です。高熱が続くわりには元気がよく・食欲があり・機嫌よく笑ったりするのも特徴です。しかし、熱が下がり、体に発疹がでる時期には、人が変わったように不機嫌になります。なにかイライラするみたいです。突発性発疹は俗称として不機嫌病といいます。解熱後にとても不機嫌になるからです。

治ったと思ったりんご病が再び?
りんご病は最近(H27年7月)このあたりで流行しています。ほっぺがりんごのように赤くなるのでりんご病というのですが、米国では平手打ちされた頬(slapped-cheek)と表現します。もちろん平手打ち病ではなくて、伝染性紅斑(erythema infectiosum)といいます。手・足にも発疹がでます。1週間ほどで発疹は消えますが、数週間たってから日光・運動・発熱・精神的ストレスなどをきっかけにして、発疹が再燃することがたまにあります。発疹が出ているときは感染性はありませんから登園しても大丈夫です。

また手足口病に?
手足口病は大流行です(H27年6・7月)。今年の手足口病は高熱がでるこどもが多くきつい印象があります。いくつかのウイルスが手足口病をおこしますので、一度かかっても、またかかることがあります。6月、7月と連続して手足口病にかかるこどもがいました。大流行のうらには、2種類の手足口病が流行ってるんだと思います。


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2015年7月

堺市こども急病診療センター


堺市こども急病診療センターが平成27年7月1日よりはじまりました。

いままで泉ヶ丘の竹城台にありました泉北急病診療センターと、宿院にありました宿院急病診療センターは小児診療を行わないようになりました。
泉北急病診療センターは内科のみの診療をいままで通りに行い、宿院急病診療センターは廃止となりました。

堺市こども急病診療センター
診療科目     小児科(中学生以下)
診療受付時間  平日 20:30〜翌朝4:30
           土曜日 17:30〜翌朝4:30
           日・祝日 9:30〜 翌朝4:30
           お盆(土日以外) 9:30〜16:30 と 20:30〜翌朝4:30
           (土日) 9:30〜 翌朝4:30
           年末年始(12/30〜1/4) 9:30〜 翌朝4:30(午前診は11:00まで)

JR津久野駅から徒歩約5分 (新しく建設された堺市立病院のとなりです)
           堺市西区家原寺町1-1-2
           TEL 072-272-0909
           FAX 072-272-5959

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2015年6月

成長痛について


3歳〜小学校までの子どもが夕方くらいから夜になると、足・膝・ふともも etc をとても痛がります。あれほど痛がっていたのに朝になると痛みはまったくなく、はしゃぎまわっており、昨晩のことはなんだったのか…と思います。

これが成長痛の症状なのですが、厳密には成長痛という病気はありません。 成長痛といっても骨が伸びる痛みでもありません。

子どもは筋肉や骨・関節が未熟なのに、非常に活発に動きます。そのために、疲労がたまって痛くなってくるのだろうとされていますが、医学的に証明されたものではありません。 疲れがたまっただけで、激痛になるものでしょうか?僕は疑問に感じています。

家庭環境の変化(たとえば弟が生まれたり・母親が仕事をはじめたり)がある時に、成長痛がでやすいこともあり、周りからの注意をひきたいという心因的要因もからんでいるようです。子どもの訴えを聞いてあげて、シップをしたり、マッサージをしたりしてもよいと思います。

頻回に痛みを訴えたり、昼間も痛がったり、痛みがどんどん激しくなったり、歩き方がおかしくなったり、そのような場合は股関節が痛くなるペルテス病、足の甲が痛くなるケーラー病、膝の下がいたくなるオスグッド病というのがありますので整形外科に受診して下さい。


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2015年5月

カポジ水痘様発疹症


アトピー性皮膚炎の人がヘルペスウィルスにかかると、アトピー性皮膚炎の上に小さい水疱が急速に広がっていくことがあります。アトピー性皮膚炎では皮膚の免疫能が低下しているので、ヘルペスが急速に広がりやすいとされています。高熱や全身のリンパ節が腫れることも多いです。治療にはヘルペスの薬を内服したり点滴したりします。1〜2週間で治ります。

(写真は体幹を中心に一晩で広がっていったカポジ水痘様発疹です)





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2015年4月

果物アレルギーと花粉症との関係について


果物を食べると、口の中がピリピリしたり、むずむず痒くなる人がいます。口腔内アレルギー症候群とよばれ、原因となる果物は様々です。

この果物アレルギーは花粉症と関係することが分かっています。草木に対して花粉症になったあとで、その花粉とよく似た構造のたんぱく質(交叉抗原といいます)を含む果物を食べることで生じるのです。

たとえば、シラカバ花粉症の人はキウイ・リンゴ・桃・サクランボ・イチゴ・マンゴーに、ブタクサ花粉症の人はメロン・スイカ・バナナに、カモガヤ花粉症の人はトマト・オレンジにアレルギー症状をしめすことがあります。杉花粉症はトマトです。

ゴム製品にかぶれやすいヒトはラテックスアレルギーの可能性があります。ラテックスはゴムの木から採取される白い樹液です。ラテックスにアレルギーがある人はバナナ、アボガド、キウイ、クリ、メロン、トマト、ジャガイモ・パパイヤ・マンゴーなどです。

通年で、ある果物がダメな人もいますし、花粉症の時期だけ症状があらわれる人もいると言われています。



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2015年2月

夜尿症(おねしょ)の話

新学期が近づいてくると、増えてくる相談内容があります。 それは、おねしょ。うちの子は毎晩なのですが、大丈夫でしょうか?という相談です。 今は冬。寒い時期は、トイレが近くなるので連日の大失敗で、いっそう心配になってくるのかもしれません。

夜尿症について
@ 人は、昼間におしっこを出すもので、夜にはおしっこを出さないように、つまり尿をあまり作らなくなるのです。
A 人の膀胱は、昼間より夜の方が、おしっこを貯めることができるようになるのです。
B 睡眠中でもおしっこがしたくなったら、大人は普通起きますよね。パンツや布団が尿でずくずくになったら気色悪くて、朝まで熟睡できること自体が不思議です。

夜尿症とは、脳が未熟なために昼間と夜の区別がきっちりと出来ずに、夜中にも尿をたくさん作って、そして睡眠の質が未熟であり、赤ちゃん様の睡眠をしているといえるでしょう。(赤ちゃんはおしっこしてもグーグー寝ていますよね)

おねしょは誰でも経験するものです。6歳児ならは6〜7人に1人はおねしょをしているでしょう。なかには、毎晩失敗していると自信がなくなり、自己嫌悪からすべての物事に積極的にとりくむようなことがなくなり、どうせ自分はあかんねんから・・・みたいなネガティブ志向な性格になる子がいるかもしれません。本人が気にしている様子なら治療のタイミングかと思います。

夜尿症の原因をしらべて、その病態にあったお薬があります。半年間くらい治療して、毎晩成功!自分に自信がついてくると、お薬をやめてもおねしょはせずに大丈夫になっちゃうんですよね。やっぱり、自分への自信は脳の発達に必要なんだなあと思います。過信はわかりませんが(笑)


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2015年1月

B型肝炎に対してのワクチン(B肝ワクチン)が来年度(2016)から定期接種になる予定になっています。

1985年から母親がB型肝炎患者である場合は、母から子への感染を防ぐために、母子感染防止として子へのB肝ワクチン接種が公費として行われてきておりました。その結果、母子感染のほとんどが予防可能になり、効果は十分に満足できるものでした。しかしながら、母子感染防止以外ではB肝ワクチンは任意接種でした。

どうしてB肝ワクチンが定期接種になるのでしょうか?

子どもにB型肝炎患者が増えているのではありません。実は20〜30代の成人に男女問わずに感染者が増加してきています。年間約2000人が新たにB型急性肝炎を発症していると推定されています。B型肝炎は血液から感染する以外に、体液(汗・尿・精液)から感染し、性的接触による感染が増えてきています。性病としての側面が強くなってきたのです。そして、感染しても肝炎をおこさずに無症状なのですが他人へは感染をひきおこす、キャリア化しやすい新しいB型肝炎が増えてきているのです。この状況を放置しておくと、日本国内でB型肝炎に感染者が急増する危険が強いのです。

現在。世界中のほとんどの国でB肝ワクチンは全ての子どもたちに接種されています。このように全世界のすべての子どもが接種することを目指すワクチンをユニバーサルワクチンといいます。ようやく日本も加わり、世界からのB型肝炎の撲滅を目指す、グローバルな目的もあるのです。

接種すると少なくとも30年は予防効果が持続するデータがでており、安全性も非常に高いワクチンで、対医療費的に考えても効果があるでしょう。

現在のところ0歳時に対してB型ワクチンが行われる予定です。詳しく分かりましたらまたUPします。

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2014年12月

インフルエンザの説明

ヒトがかかるインフルエンザにはA型とB型があります。
毎年12月から1月はA型が主に、2月からはB型が主に流行します。

症状
インフルエンザに感染すると(飛沫感染)、潜伏期1〜3日くらいで発病します。突然の高熱、関節痛、筋肉痛・全身倦怠感からはじまり、2〜3日たつと咳・痰・鼻水がしつこくなってきます。お腹をこわして下痢をおこす時もあります。症状は4〜7日間くらい持続した後に回復に向かいます。

*飛沫感染とはくしゃみ・咳など唾液や鼻水が飛び散ることにより感染する。

インフルエンザの危険な合併症
インフルエンザ肺炎

インフルエンザによって肺炎がおこる状態です。
呼吸困難が強く顔色は不良。呼吸数が増加し努力呼吸です。
皮膚から測定する酸素飽和度の値は低下し、レントゲン写真では肺が白っぽく濁っていきます。早期に医療機関に受診して下さい。

インフルエンザ脳炎・脳症
意味不明の言動・意識低下・痙攣等が出現します。
高熱で一時的に意味不明の言動をとったり、熱でひきつけたりすることもありますが、持続するようなら医療機関に早期受診してください。 1〜5歳児に多いとされており、成人に用いる解熱剤との関係が指摘されていますので、解熱剤の使用は必ず医師が処方したものを使用してください。

治療
できるだけ安静にし、十分な栄養と睡眠はしっかりととってください。
食欲がなくても水分摂取だけはしっかりと補給してください。
内服についてはインフルエンザのお薬についての項を参照。

登園・登校のめやす
個人差もありますが、熱が下がって48時間以上は経過していることが最低限必要です。インフルエンザになったら、約1週間は登園・登校は控えて自宅で安静にすると思っといて下さい。

予防
マスク・うがい・手洗いの基本的なことになります。 インフルエンザワクチンを接種しても罹ることはありますが、軽症化が期待できて、肺炎・脳炎・脳症などのこわい合併症をおこしにくいと考えられているためにワクチン接種を薦めています。
私は、病院勤務時代にインフルエンザ脳症になった2人のお子さんの主治医になりました。2人ともワクチンはしていませんでした。一人は治療の甲斐なく亡くなりました。もう一人は助かりましたが、1週間くらい自分の名前がわからない、両親の顔がわからない、認知機能がなくなってしまいました。ここはどこ?わたしは誰?状態でした。今後どうなるのだろうと思っていたら、ある日突然すべてが治りました。頭の中の線がつながったみたいに・・この経験だけではなんとも言えないのはわかっていますが、その当時はもしワクチンをしていたら経過が変わっていたかもしれないと思いましたので・・ワクチン接種は薦めています。

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2014年9月

コリン作動性蕁麻疹について
汗をかくとでてくる蕁麻疹のこと、または汗をかくような行動(入浴・運動・精神的緊張など)により出現する蕁麻疹のことです。発汗に関係のあるコリン作動神経がかかわっていると考えられるために、コリン作動性蕁麻疹といいます。季節的には夏に多いことになります。

通常は、発汗後2〜10分で出始めて30〜60分くらい持続します。冷やすとさらに速やかに消えて行きます。

治療は汗をかかないことですが、そういうわけにもいきません。涼しい時期には改善傾向がありますし、抗ヒスタミン剤を内服することでコントロール可能です。


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2014年7月

肺炎球菌ワクチンの補助的追加接種について
2010年2月から世界にかなり遅れてようやく日本にも肺炎球菌ワクチンが導入されました。

肺炎球菌は爽膜(そうまく)とよばれる膜をもっていまして、その膜構造の違いから93種類の肺炎球菌がいます。日本でワクチン接種が開始されたのは、もっとも重症化しやすい7種類の肺炎球菌に対してのワクチンでした。PCV7といいます。当然のことながら、その他の肺炎球菌には効果がないために、現在は13種類をカバーするPCV13とよばれる肺炎球菌ワクチンへと2013年11月から変更になっています。

PCV7からPCV13になって、肺炎球菌の18C・19F・23F・6A・7F・19A の6つの肺炎球菌にも効果があるわけです。PCV7だけで予防接種をおこなったお子さんに対してはPCV13も接種しておいたほうが理想的です。これがPCV13の補助的追加接種なのです。

とくに19A型肺炎球菌の重症感染が相対的に増えてきているので(PCV7でカバーできる肺炎球菌感染は激減していますから)、アメリカでは定期接種化し、税金を投入して無償で補助的追加接種をうけることを徹底しています。

日本では、補助的追加接種は定期接種として認められませんが、任意接種として接種しておいたほうが望ましいことはいうまでもありません。

接種を薦めたいお子さんは
まず6歳未満であること。6歳以上は接種対象にはなりません。
PCV7しか接種しておらず、PCV13は未接種であること。
2013年11月から国内の肺炎球菌ワクチンはすべてPCV13に変更されています。2013年10月までに肺炎球菌ワクチン接種が終了しているお子さんはPCV7だけを接種していることになります。


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2014年6月

ロタウイルスのワクチンの話
最近、月報UPしてないなあ・・・って思ってたらじぇじぇ!(もう古いですね)ずいぶんさぼってる・・・

ロタウイルスワクチンについてお話しします。
ウイルス性胃腸炎の代表的なウイルスです。胃腸炎をおこすウイルスは、他にもノロウイルス、アデノウイルス、サポウイルス、アストロウイルスなどがあります。

ロタウイルスは1種類ではありません。A群からG群に分類されていて、ヒトに感染するのはA、B、Cの3群です。

ロタウイルスのワクチンは2種類のワクチンがあります。

ロタリックス
接種可能期間は、生後6週から24週までの間です。
初回接種は生後6週〜14週6日(生後3カ月半)までの間に1回接種を受け、4週間おいて、2回目を接種します。

ロタテック
接種可能期間は、生後6週から32週までの間です。
初回接種は生後6週〜14週6日までの間に行います。
その後、4週間おいて2回目、3回目を接種します。

どちらのワクチンが優れているかということで、市販後の比較研究がおこなわれていますが、ロタリックス、ロタテックとも同等の有効性が報告されています。当院では2回接種のロタリックスを使用しています。これら2つのワクチンの混合使用は認められていません。

安全性について
初代ロタワクチンであるロタシールド接種後に腸重積がおこる危険が指摘されました。 腸重積は嘔吐・腹痛・血便がおこる病気です。ロタシールドは現在使用されていませんが、ロタリックス・ロタテックともに腸重積の発生の上昇傾向があると指摘されています。腸重積の自然発生時期を考慮すると、早期接種が望まれます。


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2014年3月

ヒトメタニューモウイルスについての話

毎年3〜6月くらいに流行する風邪の原因の一つにヒトメタニューモウイルスと呼ばれる風邪のウイルスがあります。2001年に発見されたウイルスで、僕が医学生時代には存在していませんでした(まあ、発見されてないだけで、ずっと昔からあったのでしょうが)。

子どもの風邪の5〜10%、成人の風邪の2〜4%くらいはヒトメタニューモウイルスが原因と考えられています。潜伏期間は4〜6日で、小児では、生後6カ月くらいから感染しはじめ、2歳で50%、10歳までにはほぼ100%感染すると言われています。何度も感染しますが、感染するたびに免疫が強くなり、軽症になります。症状は、咳・鼻水からはじまり熱がでてきます。気管支炎をおこすことがあり、ゼーゼーといった喘息様の呼吸音を伴ったりすることがあります。

治療において、ヒトメタニューモウイルスの特別な薬はありません。
安静にし、水分をしっかりとり、咳・鼻水を押さえる薬を内服したり、小さい子では鼻水を吸ってあげたり、熱が高い時は熱を下げる薬を使ったりします。しかしながら、熱が4日以上持続する時は、肺炎をおこしていたり、中耳炎をおこしていたりすることがあるので再診が必要です。

ヒトメタニューモウイルスは、咳・くしゃみで感染する飛沫感染と、手についてしまったウイルスが口にはいる接触感染がありますので、うがい・手洗いをしっかりすることが大切です。


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2014年1月

フィラグリンの話 〜アトピー性皮膚炎の原因のひとつです〜

アトピー性皮膚炎は、家族・親戚内にもアトピー性皮膚炎の人がおられ、遺伝的要因が関係する体質と考えられています。しかしながら、その体質っていったい何なのでしょうか?最近の研究でアトピー性皮膚炎の原因となるひとつの物質が明らかにされてきました。

それはフィラグリンといいます。ヨーロッパで乾燥肌が非常に強い家系が研究され、その家系ではフィラグリンをつくりだす遺伝子がうまく働いていないために、フィラグリンの機能障害をおこしていることがわかりました。 さらにアトピー性皮膚炎の人にも研究がおこなわれ、アトピー性皮膚炎の人の一部にもフィラグリン機能障害があることがわかりました。

フィラグリンは、皮膚の細胞を支持する、いわば皮膚の骨格の働きがあります。また、天然保湿因子となって肌のうるおいを保ちます。つまり、フィラグリンが働かないと、肌は乾燥し、肌がめくれやすくなるのです。肌がめくれると、二次的に痒みやチクチクした痛みを伴い、掻いてしまってさらに悪化することになります。

小麦入りの石鹸を使っていたことにより小麦アレルギーになり、小麦食品を摂取したときに重篤なアナフィラキシーが出現した事件が報道されていたことは記憶にありますでしょうか?このことは、人体においてアレルギー体質には皮膚からの物質の吸収が関係していることを示している証拠です。

肌の状態が悪いと、そこに付着したダニ・ほこり・動物の毛etcが徐々に体内へ吸収されてしまい、それらに対してアレルギーを獲得する・・さらにそのことは、気道のアレルギーにも関連していき、ホコリを吸い込んだときの喘息症状となって現れる・・いままでは、<体質ですね>と抽象的な言葉でしか説明されてこなかったことが具体的事実として医学的に解明されてきています。もしかして、数年後にはフィラグリン含有の保湿クリームが開発されるかもしれません。ステロイドのクリームを塗るよりも根本的な治療となりえるかもしれませんね。

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2013年10月

肺炎球菌ワクチンが2013年11月からバージョンアップです。

肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチンが乳児期より接種されるようになり、小児期の重症感染症が2012年には激減していることが疫学調査で証明されました。 2008年から2010年の間は、日本の5歳未満の人口10万人に対して約40人がどちらかの菌による重症感染をひきおこしましたが、2012年では約15人と激減しており、その理由としては、両ワクチンの日本への接種導入が効果を上げていると結論されています。

2013年11月から、改良された肺炎球菌のワクチンの接種がおこなわれます。

Q:どう改良されたのですか?

A:肺炎球菌にはいくつかの種類があります。現在、接種されている肺炎球菌ワクチンは7種類の肺炎球菌に対して効果があります。それに対して、13種類の肺炎球菌をカバーできるようになったのが改良されたワクチンです。世界同様に日本でも現行の7種類だけではカバーできない肺炎球菌による小児重症感染症が相対的に増えてきたので、13種類をカバーするワクチンに変更になったのです。残念ながら、全ての種類の肺炎球菌をカバーするワクチンは開発されてはおらず、現在では13種類のカバーが最大です。

肺炎球菌ワクチンはアフリカの一部の国を除いたすべての国で接種されています。日本・中国・パプアニューギニアが7種類をカバーするワクチンで、他のすべての国はすでに13種類のカバーなのです。だから、ようやく日本もビリから3番目に13種類のカバーへの変更になったということです。

数年前までには、日本はアフリカ同様に接種を認めてなかったのです!この数年のワクチン行政にはスピード感を感じています。でも、決して先走っているわけではありません。ようやくゆっくりと世界と同様になろうとしているのです。日本ほどの大国がなんでなんでしょうね〜。

Q:接種スケジュールについてはどうなのですか?

A:現在施行されている肺炎球菌ワクチンと同じスケジュールです。スケジュール途中のお子さんに対しては、途中で変更していくことになります。副反応は現行のワクチンと変わらないデータがでています。まあ、日本ではじめて導入されるのではなく、世界中で導入された後、ようやく日本も導入ということですから。未知なものではなく、既にデータはそろっておりますので安心してください。

Q:うちの子どもは肺炎球菌ワクチンの予防接種はすでに終了しています。13種類をカバーするワクチンを追加して接種した方がいいのでしょうか?

A:理想的にはYES! 接種した方がいいでしょう。
その接種について、日本では、「個人にとってはメリットがあると考えられるが、社会全体としてのメリットがあるかどうかの確証がないために任意接種とする」となりました。だから自費になります。(他国はそれも公費として行っている国が多いですが、、、)そして、6歳未満の子どもに対して接種ができることに決められています。6歳以上のお子さんには接種は認められていません。

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2013年8月

【過敏性腸症候群】

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)という概念があります。

たとえば、わかりやすい例をあげますと、極度に緊張したり、心配事や悩み事が続いたりするとお腹がしだいに痛くなってきてトイレにダッシュする、、、そんなことを誰しも一回は経験したことがあるのではないでしょうか?

過敏性腸症候群の病態は明らかになっていませんが、もともと胃腸が敏感な体質であることや、腸の神経を動かす物質がうまく作動しないこと、他に心理的要因などが複雑に絡み合っているとされています。小児では、しばしば、いじめや虐待、友人関係などの子どもをとりまく社会的要因がストレスとして影響を及ぼしています。

朝、学校にいく途中でお腹が痛くなってきて、トイレから離れられず、登校できない。登校拒否なのでは?と学校に行くように強く促すと、さらに症状は悪化傾向になりやすい。本人は学校に行きたいのに行けない。しかし、周囲に理解してもらえない。本人はとても辛いと思います。

診断
下痢の時もあれば、便秘の時もあります。排便すると腹痛・腹部不快感が軽快することは重要な所見です。もちろん、腸に潰瘍性大腸炎やクローン病のような異常はないかどうか、一通り検査します(血液検査・尿検査・便検査・レントゲン・エコー検査など)。起立性調節障害を合併していることがあるので、自律神経テストをすることもあります。いろんな病気の可能性を除外していきながら、最終的に過敏性腸症候群が残ってくる、いわゆる除外診断になります。

治療
一般的に高繊維食・低脂肪・乳酸菌・ビフィズス菌含有食品が推奨されます。香辛料・冷たいものなどは控え、暴飲暴食に気をつけます。規則正しい生活、十分な睡眠、適切な運動など生活リズムも大切とされています。

薬の内服は個々の病態によって異なってきます。便秘型の人と下痢型の人では薬も異なります。ビオフェルミンなどの乳酸菌製剤はよく使用されます。ときには抗うつ剤・抗不安剤の処方を重ねることもあり、決して一律ではありません。心理的カウンセリングが必要な場合もあります。家族や学校の正しい理解と協力も不可欠です。

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2013年7月

【虫垂(ちゅうすい)炎について】

虫垂炎は、腹痛で受診されるお子さんの鑑別すべき疾患のひとつなのですが、その診断に苦慮することがあります。一般的に、小学生以上のお子さんに多い病気ですが、乳幼児期に発症することもあります。

症状について
やはり腹痛です。診察室に入ってくるときの表情で、かなり痛そうだなと思うほど苦悶しています。通常、右下腹部が痛くなります。みぞおち・おへそ周りが最初に痛む時もありますが、最終的には右下腹部へと痛みは移動していきます。歩くと痛みは倍増するので、みなさん前傾姿勢でゆっくり歩いて診察室に入ってこられます。片足でジャンプすると、着地した時に右下腹部がズンと痛みます(jumping pain)。
お腹を触ると、痛みがある部分を圧迫した時よりも離した時の方が痛みが増強したり(Blumberg徴候)、お腹を圧迫すると腹筋が硬く緊張する(defense musculaire)ことなども診断の参考になります。
 しかしながら、小さいお子さんは泣くだけで、自分の症状を説明することができません。痛みがどこにあるのか的確には表現できないことが多いですから。さらに、お腹が痛くて歩けないので抱っこされているし、そのためジャンプもできないし、泣いているので最初から腹筋は緊張しているし・・・。
また、体温は37〜38度と発熱しています。

検査について

血液検査
白血球は正常値より増加し、CRPも上昇しています。
しかしながら、血液検査の数値は経時的に変化します。私も、血液検査では正常な値なのに、実は虫垂炎であったお子さんの診察を何人も経験しました。そのようなこともありますので、血液検査が正常だからといって安心はできません。

腹部レントゲン検査
右下腹部のガス像で虫垂炎を疑わせるパターンになっていないかを見ています。しかしながら、この検査ではよほど典型的でないとわからないですね。もし、糞石(ふんせきといいまして虫垂の内の石です)ができていれば、まず虫垂炎といって間違いないでしょう。

腹部超音波検査
エコー検査で虫垂の形を見ています。子どもでは、直径6mm以上あれば虫垂炎で腫れていると思います。虫垂の壁構造の欠如・腹水の有無も参考になります。この検査の弱点は、虫垂がいつも明瞭に見えるとは限らないところです。時に、虫垂は大腸の裏に隠れるように位置したりするので、エコーで見つけることがなかなか困難になります。

CT検査
超音波検査でもわからなければCT検査をします。造影剤を使用したCT検査によって、ほぼ確実に虫垂炎の診断は可能です。それなら最初から全員CTしたらいいやんかとの意見も実はありますが、レントゲン被爆や医療コストの問題、また体動があれば撮影できないので子どもには鎮静剤を使って眠らせる必要があることなど、さまざまな問題があることを考えると、少々乱暴な意見です。

上記をいろいろと総合して診断をしているのですが、それでも診察時にはっきりできないことがあります。その時には6〜12時間くらい後に再診していただくこともあります。それから再検査をします。痛みが12時間以上持続することも診断に重要な症状の一つなのです。子どもの場合は、家に帰ってうんちしたら治っちゃったよ!なんて笑い話みたいなことが現実にあるのですから。

治療法はもちろん手術です。抗生剤点滴でいったん抑え込むことは可能かもしれませんが、再発の危険が高いので小児外科へ紹介しています。

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2013年5月

【砂かぶれ様湿疹について】

 両手のひらが赤くなり、ブツブツがでてきて、少し痒くなったり、ムズムズしたりします。ブツブツの中には水を内包したものもあります。また、手の甲にプツプツした小さな丘疹がでたり、指の間が赤くなることもあります。2〜3週間くらい症状は続き、最後に手のひらの皮が細かくめくれてきます。これがいわゆる『砂かぶれ様湿疹』で、乳幼児期に、季節的には冬に多い印象があります。

 砂遊びをした後に手がかぶれる『砂かぶれ』と似ていますが、厳密には違うものです。手のひらにウイルス感染をおこしたものと考えられていて、もちろん砂遊びとは関係ありません(砂かぶれは、肌を荒らす物質をさわったことによる接触性皮膚炎になります)。いくつかのウイルスが砂かぶれ様湿疹をおこすと考えられており、EBウイルスはその代表的なウイルスとされています。子どもさんを連れてきたお母さんの手も赤くなっていることがあり、大人でもかかります。また、手だけではなく、足の裏にもおこります。。

自然に治りますので、特に治療は必要ありませんが、痒みがあったりするときは炎症を抑える軟膏を塗ります。



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2013年4月

【スキンケアについて】

 健康な皮膚にはバリア機能があり、水分の蒸発や外からの刺激を防いでくれています。ところが、皮膚が乾燥した状態になると、皮膚が細かくはがれてきて、外からの刺激を受けやすくなります。痒みがでてきますので、爪で引っ掻いてしまうと、皮膚のバリアがやぶれてしまいます。入浴後はとりわけ痒くなるので、さらに引っ掻いてしまうと、皮膚のバリアがよりいっそう壊れてしまい、ますます痒くなるという悪循環になります。

 また、皮膚がめくれると、真皮がでてきますが、そこにほこりやダニがひっつくと、体内にその成分が吸収されてしまいます。動物の毛がつくこともあるでしょう。そうなることにより、徐々にほこり・ダニ・動物に対するアレルギー体質が強固になってしまう可能性が考えられています。したがって、皮膚のバリア機能を整えておくことは、アレルギー体質への進行を防ぐことに関係しているのです。

体の洗い方のポイント

 お湯で洗うだけでは、皮膚の表面の雑菌や汚れが十分に落ちません。石鹸をよく泡立てて洗うと、十分な洗浄効果が得られます。また、スポンジや目の粗いタオルなどでゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけてしまいますが、素手でなら適度な力で洗うことができます。爪を立てずに指の腹をつかって洗いましょう。最後にお湯でよくすすぎ、皮膚に石鹸の成分が残らないようにします。

保湿剤の塗り方のポイント

 入浴すると皮脂が洗い流れて、皮膚が乾燥しやすくなります。乾燥肌の場合は、入浴後に保湿剤を塗ります。入浴後、できるだけ早めに塗りましょう。5分以内が効果的です。むらなく塗って、くびれなどに塗り残しのないようにします。

  保湿剤の選択は、季節によって夏はローションタイプ、冬は軟膏タイプがいいと思います。使用量の目安は、手の平約2枚分の面積ごとに、軟膏・クリームなら人差し指の先から第一関節までの長さの量を、ローションなら1円玉大の量を塗るのがいいでしょう。
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2013年2月

【乳児湿疹について】

 生後1カ月くらいの赤ちゃんに、ほっぺた・耳の周囲・首から胸にかけて、すこし痒みのある赤い発疹がでてくることがよくあります。

乳児湿疹の説明です。

 赤ちゃんは、お母さんのお腹のなかにいるときに、胎盤を通して性ホルモン(男性ホルモンや女性ホルモン)をもらって生まれてきます。

 子どもの時期に、体内に最も性ホルモンが多くなる時期は思春期です。男の子は男性らしく、女の子は女性らしい体型になっていきます。思春期に性ホルモンによって皮脂腺が活発になり、にきびが頬にでてくることは皆が経験済の悩みでしょう。

 実は、二番目に性ホルモンが多いのは、生後まもない赤ちゃんなの時期なのです。したがって、赤ちゃんでも性ホルモンが多いと、にきびが出ます。これが乳児湿疹です。

 生まれたばかりの女の子に月経がおこったり(新生児月経といいます)、赤ちゃんの乳腺から分泌物がでる(魔乳といいます)ことも、胎盤を通して母親の性ホルモンが移行することによっておこる生理的な現象です。

 もちろん、赤ちゃんが自分では性ホルモンをつくっていませんので、性ホルモンは生後2カ月くらいまでには分解され、体内からなくなります。だから、生後2カ月をすぎてくると乳児湿疹は治ります。もし、生後3カ月を過ぎても湿疹が改善しない時は、アトピー性皮膚炎など他の原因を考える必要があります。

乳児湿疹の対処について

 基本は思春期のにきびケアーと一緒です。湿疹がでているので、石鹸を使った洗顔をやめていましたと家人から聞くことがありますが、それではかえって逆効果です。泡立てた石鹸で手洗いをして、充分に洗い落とすだけでも効果があります。さらに、洗顔後に炎症を抑えるクリームを、1日2回くらい塗っておけばいいでしょう。

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2013年1月

【今年もよろしくお願いいたします】

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

インフルエンザはほとんど出ていませんが、去年からのノロウイルスの流行、RSウイルス感染はまだ続いている印象です。3学期が始まるとインフルエンザが流行し始めます。冬休み中は全国的に学級閉鎖をしていることと同じなので、インフルエンザは拡大しないのです。

ステロイド軟膏の分類表です。
強さによって5群に分類されています。子どもにはTやU群は使用しません。参考にしてください。


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2012年12月

【インフルエンザの治療薬】
寒くなってきました。
毎年12月あたりからインフルエンザが流行します。
インフルエンザの治療薬についてまとめてみました。

タミフル
1日2回、内服する経口薬です。5日間、服用します。タミフルは、10代の未成年では異常行動との関連が懸念されており、使用を差し控えることとされています。10代を除いて、1歳から幅広い年代で使用が可能です。自費診療になりますが、予防のための内服も認められています。

リレンザ
1日2回、吸入する吸入薬です。5日間、使用します。吸入するので、血中への薬物の移行は少なく、10代の小児でも使用が可能です。小児においては吸入がうまくできるかどうかが重要で、5歳未満の小児では使用が難しそうです。自費診療になりますが、予防のための吸入も認められています。

イナビル
1回吸入するのみで終了です。上手く吸入できる人には適しているかもしれません。1回の吸入だけなので、もしその1回の吸入がうまくできなければ効果はでません。薬を吸入した経験がない小児に対して、1回勝負ではちょっと使用しにくい印象があります。

ラピアクタ
乳幼児から高齢者まで使用が可能です。15分以上かけて1回点滴すれば終了です。この薬の使用は重症な人に限られます。内服や吸入で十分対応できる状態であれば、安易に使用することは差し控えるべきとされています。小児においては、十分な理由もないのに安易に針を向ける必要性もありません。点滴したらすぐに治ったという認識が拡大してはいけないと考えられています。腎機能が低下している人には薬量調節が必要です。

麻黄湯
インフルエンザに使用される代表的な漢方薬です。もちろん葛根湯も使用されます。そのほか、扁桃腺や頸のリンパが腫れてきたら小柴胡湯、回復期のだるさには補中益気湯が使用されます。当院では、乳児期にタミフルを使用しにくいので麻黄湯を処方しています。
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2012年11月

【C型肝炎について】
 前回(9月号)の月報でB型肝炎について話したので、今回はC型肝炎です。
私の大学生時代には、C型肝炎は、A型でもB型でもない肝炎は確かにありましたが、まだ発見されておらず、講義では非A非B(non A non B)肝炎という名前でした。その後に、C型肝炎となったのです。肝炎ウイルスは発見された順にA、B、Cと名づけられ、いまはG型肝炎まで発見されています。

C型肝炎の感染経路
C型肝炎にかかっていると、血液中のみならず、唾液、精液、尿中にもC型肝炎ウイルスの存在が証明されるとわかっています。しかしながらウイルスの量は血液中が一番多く、まず血液以外の体液からうつることはないと考えられています。
C型肝炎にかかった人の中には、どのようにして感染してしまったのか不明な人もおられます。過去の輸血、血液製剤の使用、感染者との剃刀や歯ブラシの共用、刺青やピアスで消毒ができていない針を使ったなど、直接または間接的に血液を介して感染している状況が考えられています。

症状
わかりやすいように図で示します。急激に肝機能が悪化する急性肝炎になることは稀で、ほとんどは慢性肝炎といって、ゆっくりと肝臓が悪くなってきます。慢性化すると20年〜30年で肝硬変になり、肝硬変になると年率1割弱が肝癌になります。


現在、日本では約150万〜200万人のC型肝炎感染者がいると考えられており、慢性肝炎・肝硬変・肝癌患者の75%はC型肝炎によるものです。

C型肝炎にかかっているかどうかは血液検査をしてC型肝炎抗体を調べます。もし陽性ならばRNA定性という検査を追加します。RNA定性が陽性ならばC型肝炎に感染しています。

残念ながらB型肝炎のような予防ワクチンは開発されていません。

治療はインターフェロンの点滴、リバビリンの内服がおこなわれます。
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2012年9月

【B型肝炎とB型肝炎ワクチンについて】
 B型肝炎ウイルスにより引き起こされる肝炎がB型肝炎です。B型肝炎ウイルスにかかっても無症状(不顕性感染・ふけんせいかんせん)で肝炎をおこさずに治ってしまう人・一生持続感染しキャリアになる人・急性肝炎になる人・慢性肝炎になる人は肝硬変から肝がんを発症するのが一般的な経過です。治癒しても悪性腫瘍などにより免疫状態が低下すると再活性化といって再び肝炎を引き起こしたりするのです。
 B型肝炎に感染をうけた後の経過について図にまとめました。感染は一過性感染と持続感染(キャリア)があります。小児期に感染するとキャリアになることが多く、1歳未満では90%、1〜4歳では25〜50%、5歳以上では1%以下と考えられています。


感染経路
 血液を介する感染が主になります。B型肝炎ウイルスに感染しているヒトの血液にはB型肝炎ウイルスがいます。感染しているヒトの血液が自分の血液に混入することにより感染するのです。最も代表的なのは輸血による感染です。輸血による感染は予防されてはいますが100% 防げるものではありません。その他、珍しいことになりますが、子ども同士の喧嘩による出血・皮膚炎からの出血・蚊にかまれた後、掻きすぎての出血も感染源にはなりえるでしょう。成人では性交による感染が問題視されており性感染症とも捉えられています。
 子どもが感染する場合の多くは、母親から赤ちゃんへの出産時におこる感染です。出産時は出血しますから。現在、母親が感染している時には、病院で必ず赤ちゃんにワクチン接種がなされており母子感染は激減しています。その他、家族内の人やよく接触する人からの感染がありえるでしょう。

B型肝炎ワクチン
 4週間隔で2回、さらに20〜24週後に1回します。どの年齢からでもかまいません。家族・よく会う人がB型肝炎に感染している場合は是非予防接種をしてください。また、医療関係など血液・針を扱う仕事、お客のひげを剃ったりする理容師、介護関係に携わる人、とにかく他人の血液と接する機会があると思っている人は接種すべきでしょう。
 乳幼児に対しても、保育所での集団発生の事例が報告されていますので、接種しておいた方がよいと思っていますが、任意接種なので自己負担になります。みなさん是非接種しましょうとは声を大にしては言いにくい現状です。
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2012年8月

【チックについて】
チックは子どもでは高率に認められ、5〜10人に一人の割合で認められるとされています。目に見える症状だけに、周囲の人に気づかれて心配されやすいものです。

チックとは
突然の反復する運動や発声で、通常の運動や会話とは異なっており、頻度や強さがひどくなくても周囲に気付かれやすいもの定義されます。特別な検査で証明されるものではありません。

運動チック
よくある症状は、目をパチパチする動きなどで顔面におこりやすい動きです。

音声チック
咳払いが多いです。意味のない単音を発声することもあります。

部位・種類・頻度が変動し、不安や緊張が増大していく時、楽しくて興奮している時などに増加しやすい一方で、集中して作業している時には減少します。本人とは無意識で起こっているのではなく、やらずにはいられないという抵抗し難い感覚に引き続いてチックがおこります。自分の意思で抑制が可能ですが、やらずにはいられない感覚があるのです。

親から、育て方が悪かったのでしょうか?と相談されたことがありますが、全く関係ありません。僕は、チック症状の多くは、人間として一人前になるための、社会性・協調性を身につけていく過程に生じる、子どもなりのストレスの積み重ねがチックという形で一時的に現れていると思っています。おそらく本人は、おとなしく、ナイーブな、傷つきやすい性格の子どもなのではないでしょうか。チック症状を友達にからかわれたり、理解がない大人から叱責されたりして、自己嫌悪、自信消失からの悪循環にならないことは心配です。
社会にでると、自分自身で乗り越えなければいけない壁がいろいろとあるでしょう。乗り越えていくための精神的準備をしているんだなと思い見守っていくことが必要です。あまりチックを注意することやめて、いつもと同じように対応していくことがいいと思います。自然になくなりますよ。

ただし以下の場合には専門的なアプローチが必要です。
強迫性障害といって自分の体を傷つけたり、物品を壊したりする症状があるとき。対人的な反応やコミュ二ケーションが自閉症を疑わせるような時。このような場合はチックが合併することがあり、チック単独の問題ではありません。専門的なアプローチが必要となります。

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2012年7月

【臍(さい)ヘルニアについて】
生後間もなく臍帯がとれたあとに、赤ちゃんのおへそが飛び出してくる状態が臍ヘルニアで、俗称 <でべそ>と呼ばれます。

胎児期は、おへそはへその緒とつながっており、当然お腹のなかとつながっています。へその緒がとれたあと、おへそ周りの閉鎖が遅れるために、腸がおへその中に脱出してきます。泣いたりして腹圧が加われば膨隆し、寝ていて腹圧が低下すると消失するなど、サイズに変化があります。皮膚は伸展され光沢を帯びます。

嵌頓(かんとん)することはまずありません。

嵌頓(かんとん):腸が脱出してもどらなくなり、腸の血流障害をおこしてしまうこと。緊急手術の対象になります。ソケイヘルニアでは嵌頓することがあります。

治療について

なにもせず経過観察する方法
自然治癒します。1歳までに80%、2歳までに90%が自然治癒するので経過観察のみでいいとする考えです。当院では経過観察しています。  

絆創膏固定法
少数派であった絆創膏固定法がふたたび注目されています。絆創膏をはって、おへそを押さえておく方が、はやく治る報告があるからです。24時間、数か月間にわたり、絆創膏をはっておへそを押さえます。そのまま入浴もします。欠点は絆創膏でおへそのまわりがかぶれてかゆくなったりすることで、おへそのまわりのかぶれがひどくて中断することもよくあります。一長一短です。

手術方法
かわいいおへそに仕上げる美容意識をもった手術が行われています。赤ちゃんの時に手術する必要はまったくないのですが、本人が大きくなったら考えてあげていいと思います。特に女の子では。

尿膜管遺残
おへその話をしたついでに尿膜管遺残についても説明します。
胎児期はへその緒は胎児の膀胱とつながっています。おへそと膀胱をつなげているのが尿膜管です。尿膜管は自然に消失しますが、もし、尿膜管が残ってしまうと、赤ちゃんのおへそから尿がでることになります。尿膜管が部分的消失する場合は、おへそから細菌がはいりこみ、おへそから膿がでてくることがあります。よくおへそから膿がでてくる子は、おへそを触りすぎるのではなく尿膜管遺残かもしれません。手術でとることになります。  

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2012年6月

【乳房腫大の話】
まだ小さい子どもなのに最近になって乳房が大きくなってきています。なにかホルモンの病気でもあるのでしょうか?もしかして乳がん?とお母さんが子どもさんを連れて受診されることが時々あります。 乳房腫大について話します。

乳房腫大には、3つのパターンが多いです。  

@ 生後6カ月から3歳までの女の子
 原因ははっきりわかってないのですが、一時的に卵巣から女性ホルモンが放出されることがこの時期に生理的におこるとされています。もともと卵巣内に女性ホルモンが含まれている小さな袋のようなものがあり、その袋がたまたまつぶれてしまい女性ホルモンが放出されるのではないかと考えられています。一時的に女性ホルモンが血中に増えた結果、その子の乳房が大きくなります。乳房が大きくなった時に血液検査をしても、放出された女性ホルモンは既に分解されているので異常値はでません。乳輪には色素沈着は伴わないのも特徴です。経過観察だけで心配は普通ありません。自然に治ります。

A 6〜8歳までの女の子
 アメリカの女の子は思春期が始まるのは平均10歳、月経は平均13歳、日本人はもう少し遅いでしょう。この時期の乳房腫大は思春期早発と考えられ、性ホルモン検査、骨の成熟度、頭のMRI検査など受ける必要があるので、小児内分泌専門医に紹介することになります。

B 思春期にはいった男の子の乳房腫大
 男の子でも思春期になると約半数に乳房腫大があるのです。実は私も思春期に経験しました。なんか恥ずかしくて親にも相談できずに、もしかして悪い病気かもと一人で不安になっていた時期がありましたが、友達と話していた時に実は僕も俺もといったように不安は解消されました。自然に治っていきます。


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2012年5月

【食物アレルギーとアレルギー性湿疹・アトピー性湿疹との関係について】
『生後1〜2カ月ころから、ほっぺ・くび・肩・耳のまわりなどにカサカサした湿疹がでてきてかゆそうにしています。乳児湿疹として様子をみていましたが湿疹はなかなかよくなりません。もしかしてアレルギー性湿疹・アトピー性なのでしょうか?』
 このような赤ちゃんにアレルギー検査(特異的IgE検査)をしますと、70%以上で卵白・卵黄・牛乳・小麦などに反応します。

Q:食物アレルギーはどの程度くらい湿疹に関係しているのでしょうか?
A:たとえば検査で卵白に陽性であったとしても、湿疹の原因がすべて卵白にあることではありません。だから厳密に卵白を除去しても(お母さんも卵白を完全に食べないようにしても)、赤ちゃんの湿疹があまり良くならないことがあります。原因は単一なものではなく、すべて明らかにするのは難しいのです。しかしながら強い陽性反応を示す食物が、湿疹の悪化に関係していると示す研究は多数あり、除去食を行うことは意味のないことではありません。
 アレルギーマーチ(アレルギーの行進)という言葉があります。赤ちゃんの頃は食物アレルギー・アトピー性皮膚炎と診断をうけ、幼稚園のころから喘息へと変わっていき、小学校になるとアレルギー性鼻炎や結膜炎も重なってくる。アレルギーの病態が年齢に依存して症状変化していく、または重なっていくことを意味しています。人生のスタートである赤ちゃん時代のアレルギー性の症状をできるかぎりコントロールして安定させることが、長期的にみてアレルギーマーチを止める可能性が十分にあると考えられるので、必要に応じて除去食について指導しています。

Q:食物除去期間はどのくらいですか?
A:個人差はあるのですが、食物アレルギーのガイドラインでは卵・牛乳・小麦・大豆は12〜18カ月、ピーナッツ・魚・ナッツは3年を目安としています。卵・牛乳・小麦・大豆については、3歳までに大部分の赤ちゃんが制限なく摂取できるようになってきます(耐性獲得といいます)。 耐性獲得の検査として6〜12カ月間隔で血液検査をし、検査数値が下がってきたら耐性獲得している可能性が高いとして、食物制限を緩和していきます。

Q:食物除去をおこなわずに食べていく方法もあるのですか?
A:近年、計画的にアレルギーとなる食品を食べていく治療法が注目されています。まだ確立された治療法とはいえず、危険性と効果について慎重に判断していくことになります。これは次の質問にも関係します。

Q:血液検査をするといくつかの食物にアレルギーがあります。全部除去すべきですか?
A:卵と牛乳それに小麦も制限してください。言葉でいうのは簡単ですが、実際にするのは大変です。赤ちゃんの離乳食のメニューが制限され、栄養バランスにも支障をきたす心配もあります。個別の相談が必要ですが、血液検査は絶対的なものではないので、実際に食物を摂取してもらい、どの程度なら食べても支障がないかを判断したうえで(食物負荷テストといいます)今後対応していくことになります。


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2012年4月

【ラテックス・フルーツ症候群について】
天然ゴムの原料となるゴムの木に傷をつけると白い樹液がでてきます。これがラテックスで多くのたんぱく質がふくまれています。この樹液をさわると手がかぶれる人はラテックスアレルギーで、天然ゴム製品の手袋や絆創膏にかぶれます。このラテックスアレルギーがある人の中にはバナナ・アボガド・キウイを食べるとアレルギー反応をおこす人がおりラテックス・フルーツ症候群と呼ばれています。血液検査で特異IgE抗体を測定することで診断できます。

【咳喘息(せきぜんそく)の話】
長引く咳の原因の一つに咳喘息とよばれる病態があります。喘息の亜型であり、就寝時、深夜、早朝に咳が悪化することが多く、症状の季節性があり、風邪のあと咳が長引いたり、気温・湿度の変化などが誘因となります。運動すると咳がしつこくなるのも特徴です。咳はタンがからまない乾いた咳のことが多いです。

診察してもなかなか特徴的なサインがないのですが、アレルギー体質であることが関係しており、アレルギー検査をすると血液中のIgEが増えていたり、ダニやハウスダストにアレルギー反応が認められることがあります。子どもでは性差はありませんが、成人では女性に多い傾向があります。呼吸機能検査をしても、胸のレントゲン写真を撮っても異常は認めません。長引く咳の原因として検査を受けていただき、他の原因を除外し、喘息の治療を開始してから咳が治まっていくようなら咳喘息と診断します。

治療は気管支拡張剤、吸入ステロイド、抗ロイコトリエン剤を使用します。咳が治まっても、治療をすぐに中断すると再発することがありますので、長めに続けることも大切です。


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2012年1月

【ポリオワクチンについて】
明けましておめでとうございます。昨年は心臓手術・胆嚢摘出術と大きな手術を2回うけた私ですが体調も戻ってきています。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。

最近、お母さんたちからオりオノクリニックでは不活化ポリオワクチン接種はしてないのですか?どうしてしないのですか?と時々きかれるので1月号にとりあげました。

ポリオワクチンの背景について
ポリオウイルスによって引き起こされる病気で、神経がやられて筋肉が麻痺してしまいます。一生にわたり手足が動かなくなります。治療法はありません。かつては日本でも大流行しましたが、ポリオワクチンのおかげで、この30年間は日本ではポリオ患者がでていません。しかし世界ではポリオが流行している地域があります。(最近も中国での流行が報告されました)ワクチン接種をやめると必ず日本でもポリオが流行するので定期接種として今も続けられています。

日本では生(なま)ワクチンでのポリオワクチン接種が行われています。生ワクチンは約500万回に1人の割合でワクチンによりポリオを発症してしまい麻痺がおこることがあります。欧米では不活化ポリオワクチンを使用しており、不活化ワクチンでは麻痺がおこることはありませんのでより安全です。日本でも不活化ワクチンに切り替えることを準備中ですが数年先になりますので、最近では不活化ポリオワクチンを個人輸入して接種する医療機関がでてきています。

Q:なぜ全ての医療機関が不活化ポリオワクチンを個人輸入しないのですか?
A:日本が不活化ポリオワクチンを現在は認めていないからです。ワクチンで重い副作用がおこった場合、承認されたワクチンには保障制度があるのです。障害の程度に応じて医療上・生活上の保障があります。承認されていないワクチンなら、接種をうける側の自己責任において接種することになります。

話は変わりますがヒブワクチンの話をします。ヒブ菌により毎年約600人の乳幼児が髄膜炎にかかり、亡くなった子や重い後遺症と戦っている子がいます。ヒブワクチンは20年以上前から世界で広く使用されており、多くの国々で定期接種化されています。日本でヒブワクチンが承認されたのは3年前からですが、それ以前はヒブワクチンについて日本国民はそんなに知りませんでしたし、ヒブワクチンを個人輸入して接種する医療機関はなかなかありませんでした。国内でその病気に苦しむ子がいるヒブワクチンの個人輸入が注目されずにきたのに、30年間患者が国内にでないポリオワクチンの個人輸入が今になって注目される・・・なにか奇妙に思いませんか?

さらに、昨年の報道でヒブワクチン接種後に突然死!とあり、一時接種を控える措置がとられました。20年以上前から世界中で接種されているワクチンにそんなことあるのかと大いに疑問には感じましたが、もし仮に不活化ポリオワクチンを接種した後に突然死がおこったら大変なことです。赤ちゃんには乳児突然死症候群と呼ばれる原因不明に突然死する病態があり、突然死の前日にワクチン接種していたらどうでしょうか?自己責任として扱われ、因果関係を究明する調査はなく・保障もなく・接種を受けたご家族・個人輸入し接種した医師など全てが苦しみ、日本での不活化ポリオの切り替えは後回しなり、結果的に日本の子どもたち全体の不利益につながる危険を含んでいると私は思っています。

Q:オりオノクリニックでは今後どうしますか?
A:国の承認がないワクチンは接種しません。私は、不活化ポリオワクチンへの切り替えは大賛成なので、それに対して個人レベルでできる活動は行いたいと思います。最後に言いたいことは、よくわからないからポリオワクチンを接種しないとする選択だけはしないでください。

これだけのことを、質問を受けたお母さんに説明していると時間が長くなってしまいますので、待ち時間がさらに長くならないように月報にしました。



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2011年12月

【ロタウイルスのワクチンについて】

乳幼児の胃腸炎の原因となる代表的なウイルス感染にロタウイルスがあります。 ロタウイルスに感染すると胃腸炎をおこし、下痢・嘔吐があり、重症化すると脱水症状で入院することもあります。(ロタウイルスの説明はこちらをクリックしてください)

ロタウイルスワクチンが日本でも承認をうけ使用可能になりました。

接種対象
生後6週間から24週までの赤ちゃんが接種できます。25週以後の赤ちゃんは接種できません。

ワクチン接種方法
ワクチンを内服します。注射ではありません。
4週間以上の間隔をあけて2回内服します。1回目の接種を生後20週までに済ませないと2回目の接種ができないことになります。

ロタウイルスワクチンは生ワクチンなので、接種後4週間は他のワクチンは接種できません。

くわしくは説明させていただきますので受診してください。


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2011年10月

【アレルギー性紫斑病について】

アレルギー性紫斑病はHenoch-Schonlein紫斑病ともよばれ4歳から10歳くらいの子どもにおこることがある病気です。

どんな病気ですか?
全身の小さな血管に炎症がおこります。血管は全身にありますから炎症のおこった血管がある部分の症状がでてきます。

皮膚の血管に炎症がおこると ⇒ 点状出血・内出血、たんこぶのようなむくみ。
関節の血管に炎症がおこると ⇒ 関節が痛くなって腫れる。
お腹の血管に炎症がおこると ⇒ お腹が痛くなる・嘔吐・血便がおこります。
腎臓の血管に炎症がおこると ⇒ 腎炎がおこります。(紫斑病性腎炎といいます)

どうして血管に炎症がおこるのですか?
はっきりした原因はわかっていません。風邪にかかったりすることが引き金になったりしますが、どのように風邪ひきがアレルギー性紫斑病をおこすのかわかっていません。

治療
原因がわかっていないので根本的な治療はありません。腹痛・関節痛など痛みが強い時は、鎮痛剤やステロイドを内服や点滴をします。血しょう第13因子が低下している時にはフィブロガミンを点滴することがあります。いずれにせよ対症的な治療法で、アレルギー性紫斑病が自然に治っていくまで安静にしておくことになります。紫斑病性腎炎がおこっても大部分は一過性ですが、慢性化する時は腎炎の治療がおこなわれます。

経過
ほとんどは2〜3週間で自然に治ります。でも少数ですが、数カ月〜数年にわたって再発し繰り返すことが報告されています。


蛇足ですが私はアレルギー性紫斑病にかかったお子さんの血管の働きを研究していた時期がありました*。

*Impaired vascular endothelium-dependent relaxation in Henoch-Schonlein purpura. Pediatric Nephrology 19,138-143,2004

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2011年9月

【亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)について】
 頸のリンパ節が腫れて2〜3週間くらいは38度以上の熱が続く病気で亜急性壊死性リンパ節炎という病気があり、菊池病とも呼ばれます。子どもから大人まで幅広くおこる病気で(20歳〜30歳の女性に多い、子どもでは中学生くらいからでしょう)、頸のリンパ節が腫れて痛くて抗生物質を内服しても治りません。熱もずっと続くので悪性腫瘍かもしれないのでリンパ節をとって検査しましょう という経過になります。

原因:亜急性壊死性リンパ節炎のはっきりした原因はわかっていません。細菌によるものではありません。組織球と呼ばれる細胞がリンパ節のなかで炎症をおこし熱の原因になることがわかっています。

診断:すぐに診断がつかないことが多いです。最初に診察をうけたところでは、細菌が喉にはいって頸のリンパ節が腫れているのでしょうと言われると思います。しかし、抗生物質を内服してもいっこうに良くなりません。経過中に悪性腫瘍が疑われることもあります。血液検査で白血球の減少、異型リンパ球の出現、LDH・フェリチンの上昇・CRPはさほど高くならないなどは診断に役立ちますが、最終的にはリンパ節を採って細胞を顕微鏡でみて診断することになります。

治療:原因がはっきりしないので、特別な治療がありません。ステロイド剤を内服しいったん炎症をおさえてから、ゆっくりと量を減らしていくことが行われています。一般的には自然に治っていき予後は良好です。


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2011年8月

【細菌性腸炎について】
 夏は、食品はいたむのが早いので、カンピロバクター菌やサルモネラ菌で腸炎をおこす機会が多くなります。

カンピロバクター腸炎

牛・ブタ・ニワトリなどの家畜、イヌ、ネコなどのペット、野鳥などの腸の中にいます。加熱しないお肉などを食べることで感染します。潜伏期間は2〜7日くらい。発熱・腹痛・下痢が主な症状です。1週間くらいで治ります。稀なことですが、手足の神経が障害をうけて動かなくなる、ギランバレー症候群という病気を合併することが知られています。
消化の良い食事、水分補給をしっかりすること、必要に応じてホスホマイシンなどの抗生物質を内服します。

サルモネラ腸炎

 ネズミ、蠅、ゴキブリ、イヌ、ネコなどで汚染された食品、生肉、生卵などを介して感染します。感染したら8時間から48時間後に発熱・腹痛・下痢がでます。消化の良い食事、水分補給をしっかりすること、必要に応じてホスホマイシンなどの抗生物質を内服します。



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2011年7月

【サイトメガロウイルスの話】
 ヒトに感染するウイルスの一つにサイトメガロウイルスと呼ばれるウイルスがいます。どこにでもいるありふれたウイルスなので、結果的にほとんどのヒトが生涯のなかで感染します。ヒトからヒトへの感染です。唾液・鼻水・涙・尿・血液・母乳・精液・膣分泌液など様々な原因で感染していきます。そして、ヒトは一度感染すると生涯にわたってサイトメガロウイルスと共存し、他のヒトへの感染源になるのです。だから、サイトメガロウイルスの感染するのを予防することは現実的にかなり難しいことです。
 ほとんどヒトはサイトメガロウイルスに感染しても無症状です。発熱もなく元気です。知らないうちに感染しているのです。でも、ある場合に限りサイトメガロウイルスがヒトの健康を害するのです。

@ 先天性サイトメガロウイルス感染症

 妊婦の胎内で赤ちゃんが生まれる前から感染をうけます。1000人の赤ちゃんのうち4〜6人は胎内で感染をうけています。胎内で感染をうけると10人のうち1人くらいの割合で病気がおこります。赤ちゃんに肝炎・難聴・網膜炎・知能障害を引き起こしたりするのです。

A 生まれた後にサイトメガロウイルスに感染する場合

 前述したように、生まれた後で感染しても大部分のヒトは無症状です。しかしながら稀に、熱がでたり、肝炎を引き起こしたりすることがあります。なぜヒトによって症状がでるのかはわかっていません。

B 免疫力低下しているヒトの場合

 たとえば臓器移植をうけて免疫を抑制する薬を内服しているヒト、なんらかの病気で体調が悪化し抵抗力が弱っているヒトでは、サイトメガロウイルスが体中を襲い多臓器不全になることがあります。これはとても重篤な状態です。

治療

 医師が治療が必要と判断した場合には、サイトメガロウイルスの増殖を抑えるために、サイトメガロウイルス高力価γグロブリン・ガンシクロビル・ホスカルネットと呼ばれる薬が使われます。もちろん入院しての治療です。


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2011年6月

【こどもの遠出や旅行について】
帰省するのですが、車がいいですか?新幹線のほうがいいですか?
旅行した時には喘息発作がでやすいので心配ですが気をつけることは?
いろいろご質問をいただきます。

あかちゃんはいつから外出してよいのですか?

赤ちゃんの外出時期には医学的に確かな根拠があるものはないと思います。外出の目的が何なのか? 冠婚葬祭・ショッピングの付き添い・テーマパーク? 産科から退院した赤ちゃんは医学的には外出は問題ないでしょうが、 頸がすわるまでは外出を控えたらどうでしょうか(外出目的によりますよね)。 交通手段は、使い慣れているものでと話しています。

マイカーでの移動

チャイルドシートはもちろん必要!こまめに休憩をしてください。シートに固定されお尻も動かせない不快感はつらいものでしょう。夏の直射日光は当てずに、エアコンの風は体に当たらないように。車中には子どもだけにしない。渋滞状況を把握してください。お盆に高速道路渋滞50Km!なんてよくTVに流れますが、なぜあの場所・あの時間に移動するのか僕には理解できないのですが・・・

長距離電車での移動

子どもが小さければ、できたら指定席の方がいいと思います(でもグリーンは贅沢かな)。乳幼児は通路側ではなく窓側に、水回りの近い座席がいいと思います。東海道新幹線は11号車に多目的室と多機能トイレが常備されています。でっかい荷物は前もって郵送しておいた方がバギーを操作しやすいでしょう。

飛行機での移動

生後1週間までは航空会社提出用診断書がなくては搭乗できません。(ちなみに妊婦は分娩予定日1か月前まで)上空での気圧は1.0気圧から0.7気圧まで低下し(富士山の5合目に相当するとのこと)、動脈血中の酸素分圧は98mmHgから55mmHgへ低下します。血の酸素濃度がうすくなるので、心臓・呼吸器障害のある小児は担当医に相談しておくことが必要です。離着陸にさいしては気圧変化から耳がつまることがあります。離着陸におしゃぶりをくわえさせるとか、飴やお菓子を口にすることで予防できます。

喘息をもっていますがなにか注意点はありますか?

旅行中は環境がかわり、運動、疲労、花火、線香、温泉では硫黄、排気ガス、黄砂etcにより、喘息が誘発されやすいことがありますので気をつけてください。旅行するまえから、喘息のコントロールを良好に保っておくことは大切です。喘息発作が起こった時の吸入や内服薬などの処置については担当医と相談しておきましょう。できれば旅先での緊急時医療機関(急病センターなど)を調べておいたほうがいいでしょう。

食物アレルギーがありますがなにか注意点は?

宿泊施設での食物アレルギーに対する認識レベルを確認することは大切でしょう。有名なホテルや旅館であるといって認識レベルが高いわけではありません。やはり宿泊先の担当者は食物アレルギーについて知識が乏しいことを前提にして、保護者がくわしく説明しなければならないでしょう。エピペンが処方されている児は、旅行中は忘れずに携帯してください。




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2011年5月

【高脂血症についてのお話】

血液中にはコレステロールや中性脂肪などの脂質が含まれています。これらが多すぎる状態を高脂血症といいます。高脂血症は、動脈硬化の原因になり、心臓・脳・腎臓・手足などの動脈硬化が進行することで、血管が狭くなったり詰まったりしてさまざまな病気を引き起こします。男性では50歳以上の2人に1人、女性では60歳以上の3人に1人が高脂血症といわれています。


善玉コレステロールと悪玉コレステロールについて

コレステロールには動脈硬化を予防する働きをもつ善玉コレステロール(HDLコレステロール)と、動脈硬化を促進する働きをもつ悪玉コレステロール(LDLコレステロール)があります。だからコレステロールが高いといっても、HDLコレステロールが高い人は安心で、LDLコレステロールが高い人が危険ということになります。LDLコレステロールは直接血管内に沈着し動脈硬化を進行させていきます。
中性脂肪は、それ自体が直接に動脈硬化を引きおこすものではありませんが、中性脂肪が多いとHDLコレステロールが減ってLDLコレステロールが高くなるので、最終的には動脈硬化の原因になります。

食生活・運動について

 コレステロールのおよそ7割は体内で作られています。一番大事なことは食べすぎないことです。カロリーを摂取しすぎると、体内でコレステロールがどんどん合成されてしまいます。残りの3割は食事から体にはいります。コレステロールを多く含む食品を好んで摂取することは控えてください。マヨネーズ、鶏卵、魚卵、レバー、たこ、えび、いかなどを控えるようにします。甘いものも控えて、アルコールも控えめに、煙草はやめましょう。肥満はいけません、適正体重を維持しましょう。
 毎日30分以上の運動が目安、散歩、エアロバイク、水泳などでからだを動かしましょう。
 食生活・運動だけでは高脂血症をコントロールするのはなかなか難しいので薬を内服することが必要となるでしょう。



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2011年4月

【ようやく元気になりました。 春の特別号です】

3月から体調を崩し休診しておりました。受診していただきました皆様には、大変御迷惑おかけし、また御心配もおかけしましてすいませんでした。ようやく元気になってきたので診察を再開させていただきます。

僕の病気は心臓の病気でした。心臓の中には弁が4つありまして、そのなかの僧帽弁(そうぼうべん)と呼ばれるかなり大切な弁の働きが急に悪くなりました。僧帽弁の働きに非常に重要な役割を担う腱索(けんさく)と呼ばれる組織が突然に切れてしまったのです。その結果、僧帽弁の重症逆流がおこり、急性心不全がおこり、肺には水がたまり(胸水)、肺高血圧がおこり、息ができなくなってきて、生死の境をちょっとだけさまよいました。こうなっては、心臓の手術をして僧帽弁の逆流をなおすしかありません。
大阪労災病院に入院させてもらい心臓手術をうけました。全身麻酔下に、胸を開け、人工心肺を装着後、僕の心臓が止まりました。そして心臓を切り開き僧帽弁を修復し、縫い終わったら心臓を再鼓動させ、人工心肺を取り外す。たった2行の説明ですが、1日かけた大手術でした。一昔前なら、僕はこれで生涯を終えているのでしょう。医学の進歩と執刀していただいた先生たち(大阪大学で一緒に勤務させていただいた先生たち)に、生かしていただけたことをとても感謝しています。
テレビでは東北大震災の衝撃的なニュースがながれ、体の中に何本ものチューブが入っている状態でいろんなことを考えてました。術後の痛みは軽くはありませんでしたが日々改善!輸血をせずに手術していただいたので、術後早期は貧血でくらくらしていましたが、もう大丈夫です。

診察を始めるにあたり、いきなりフルパワーで診察すると体調が再び悪化する心配があるので当分の間は診察時間を変更し診察していきます。詳細は受け付けで確認していただけますし、HPにもアップします。最後に、重ねて御迷惑をおかけしたことをお詫びし、入院中にサポートしてくれたスタッフ・家族に深謝します。




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2011年2月

【副鼻腔炎(ふくびくうえん)についての話】

副鼻腔炎って聞きなれない言葉かもしれませんが、俗に蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれるもので聞いたことはあると思います。副鼻腔炎は子どもにも大人にもおこります(子どもの方が多いでしょう)。鼻の奥は副鼻腔と呼ばれる数個の空洞とつながっています。副鼻腔は鼻から吸った空気を加温・加湿する役割をしています。副鼻腔炎には急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎のふたつがありますので分けてお話します。


急性副鼻腔炎について

急性副鼻腔炎は菌が鼻の奥から副鼻腔に侵入・感染し、副鼻腔の中に膿(うみ)がたまっている状態です。症状は、鼻がつまり、鼻をかむと黄色〜緑色をした汚い鼻水が出てきます。頭・目の奥・はっぺた・歯が痛くなったりすることもあります。汚い鼻水は喉の奥へと流れ込みしつこい痰がらみの咳の原因になります。寝る頃になるとしつこい咳がではじめ、咳き込んで吐きそうになるという症状は副鼻腔炎を疑わせる症状です。
副鼻腔炎の診断は、副鼻腔の中に膿がたまっているかどうかを判断することになります。鼻の中を覗いただけではわかりません。副鼻腔に膿がたまっているかどうかはレントゲン写真を撮って判断しますが、繰り返して行うには被爆量の影響もあり、当院では繰り返し簡便におこなえるエコー検査にて判断しています。
治療は鼻の粘膜が腫れているので点鼻薬で粘膜の腫れを沈め、抗生物質の内服をします。鼻をよくかんでおくことも必要ですね。

慢性副鼻腔炎について

慢性副鼻腔炎の原因には大きく分けてふたつあります。ひとつ目は、菌が副鼻腔に入り込んで膿がたまっている状態を無治療または不完全な治療にしておくと慢性化してしまうのです。近年、薬の進歩により、菌の感染から慢性副鼻腔炎にまでなってしまうことはかなり少なくなりました。アレルギー性鼻炎をもっている人は風邪をひくと副鼻腔炎になりやすく、慢性副鼻腔炎ですか?と聞かれることがあります。これは風邪をひいた時に急性副鼻腔炎を繰り返しており、ず〜っと持続する慢性副鼻腔炎ではないことが多いですよ。
ふたつ目の原因は、菌の感染とは関係のないアレルギー性の副鼻腔炎です。これは副鼻腔自体がアレルギー反応をおこしていることに原因しています。副鼻腔の粘膜がアレルギー反応をおこして腫れあがり、でこぼこしてきます。ポリープと呼ばれる過形成をおこしたり、鼻たけができやすいのも特徴です。大人の喘息体質(IgEを介さない型の喘息)の人に合併しやすいのも特徴です。一般にアレルギー性慢性副鼻腔炎は難治です。蓄膿症は治るものですか?と時に質問をうけるのですが、アレルギー性副鼻腔炎のことを聞かれているのだろうなと思っています。

手術治療

菌の感染を放置しすぎて薬だけでは良くならなくなった場合、アレルギー性副鼻腔炎がかなり悪い場合には手術治療の適応があります。歯ぐきを切って手術する方法(コールドウェルルック)が行われていましたが、近年は内視鏡で鼻の中から手術する方法が行われています。手術適応・方法については耳鼻科医と相談することが必要です。




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2011年1月

【インフルエンザ感染対策のおはなし】

今年になってからインフルエンザにかかる人が増えつつあります。大気の冷え込みや冬休みが終わり、集団生活がふたたび始まったこととは関係があるようです。

インフルエンザに対する感染予防について話します。


マスク

マスクは口・鼻を覆いインフルエンザの侵入を防ぐ!と理解しやすい予防法ですが、実は予防としての効果は微妙であることがわかっています。日本ではマスクを着けて街を歩く人の光景はよく見ますが、実は海外ではマスクをつけて歩く人の姿は非常にまれなことなのです。 素材ガーゼのマスクは通気性が良く、着け心地はよいでしょうが、ガーゼではインフルエンザの捕捉は不十分です。マスクを着けると息が苦しくなるくらい繊維の目が細かいマスク(N95と呼ばれる医療用マスクなど)は捕捉可能で効果があるでしょうが、長時間着けるのはかなりしんどいものです。ガーゼのマスクでも着けておくと喉の乾燥を防ぎ、喉の抵抗力低下を防ぐので予防効果があるとする考えもありますが限定的でしょう。 しか〜し、マスクは既にインフルエンザにかかっている人は絶対に着けてください!咳やくしゃみをしてインフルエンザを周りに飛び散らかさないようにするには効果があります。


手洗い

手洗いは感染防止の基本です。手は多くの人が触る物に触れますから、外出時など手にインフルエンザが付いてくるかもしれません。その手を口に持っていったらインフルエンザが入ってしまうわけです。インフルエンザは石鹸やアルコールで容易に破壊されます。石鹸と流水がベストですが、アルコールの手消毒剤もある程度は有効です。外出から帰った時、食事前、トイレの後などの手洗いは基本です。外出後に衣服もアルコール消毒剤をシュッシュとかけておくと効果があるとされています。


うがい

うがいについては実はあまりわかっていないのです。インフルエンザが喉に着くとすぐに細胞内へ入ってしまいます。10分毎にうがいをすれば、喉にはいったインフルエンザを洗い流すことができるかもしれませんが非現実的です。マスクと同じように、喉の潤いを保ち、喉の防御能力低下を防ぐとの考え方がありますが、実は科学的な根拠は明らかではありません。しかしながら、うがいを頻回にしたグループは、うがいをしなかったグループより風邪にかかりにくかったとする報告もでてきていますので僕はうがいを薦めます。


薬での予防

インフルエンザに罹っている人と同居している人で
1)高齢者の方(65歳以上)
2)慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患の方(気管支喘息、慢性気管支炎、慢性肺気腫、肺線維症、肺結核、心不全、心弁膜症、心筋梗塞など)
3)代謝性疾患の方(糖尿病等)
4)腎機能障害の方
に対しては、予防として10日間インフルエンザの薬を使用することが認められています。これは自費診療になります。


仮にもし、鳥インフルエンザの強毒性インフルエンザが流行したとすれば、僕は毎日薬を飲んで診療することになるのでしょうか???そのような状況が現実になるのなら、外出制限・日用品・食糧の備蓄も必要ですね。




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2010年11・12月

【ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・子宮頚がんワクチンが全額公費負担になりました】

堺市では平成23年1月から平成24年3月の期間において、ヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチン子宮頚がんワクチンの接種費用の全額助成がはじまりました。


以前から接種が薦められているワクチンですが、任意接種なので積極的には薦めにくい点がありました。全額助成されるのであれば、なんのためらいもなくお勧めします。
是非とも接種してください!
接種スケジュールについては受診時に相談させていただきます。

いずれのワクチンも1回接種で終了しないことがあります。たとえばヒブワクチンなら4回接種することがあり接種完了に約1年かかり、公費負担実施期間を超えてしまうこともありますのでお早めに受診してください。接種スケジュールはワクチンQ and A を参照してください。


対象者
堺市民であること。
ヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンでは年齢が2カ月から5歳未満であること。
子宮頚がんワクチンでは中学1年から高校1年生の女子であること。


Q:平成24年4月からはどうなるの?
A:平成24年4月からは、どうなるのか正式に決まっていません。予算の関係上そこまで決定できないのかもしれません。現時点では、とにかく実施期間内に接種してくださいとしか言えません。




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2010年10月

【子どもの便秘について】

一口に便秘といっても人それぞれで、毎日便が出なければ体調が狂うという人もいれば、3〜4日に1回便がでれば快調という人もいます。食生活や生活環境も人それぞれですから、便秘の定義はむずかしいものです。でも、いつもいきんでいる赤ちゃんやお腹が痛くなったり、お腹がはってきたり、食欲が落ちたり、排便時におしりが痛くなったり、おしりから血がでたりした場合は便秘として治療したほうが良いでしょう。

子どもの便秘のほとんどは、病気などの明らかな原因がないのにおこってきます。


赤ちゃんの便秘

ミルクだけの頃は毎日便がでていたのに、離乳食が始まると便秘になってくることがあります。離乳食を食べるようになると食物残渣(のこりかす)が増えるので当然便の性質が変わってきます。便を出すのには、う〜んとふんばる、すなわちお腹に力をいれて腹圧を高める必要があります。まだ一人で立つこともできない赤ちゃんは腹筋の力が弱いので、大きな便ができると出すことができなくなり、しだいに糞づまりになり便秘になってしまいます。


幼児期の便秘

排便トレーニング中のAちゃんは、急に便がしたくなったのですが、パンツの中で失敗しないよう我慢していました。その時、砂場でおもちゃを発見し、夢中で遊んでいるとだんだん便意がなくなりました。便はがまんし続けると便意は薄れてくるものです。さらに便がたまると便意がでてきますが、くりかえし我慢していくとだんだん大きな便になってきて、直腸が便で引き延ばされていきます。ず〜っと直腸が引き延ばされてくると、便がたまっていても便意を感じにくくなるのです。 大きなウンチをした時、おしりが切れてしまって血がでたBちゃんは、お尻が切れた時の痛みが忘れられず、ウンチをだすのを怖がるようになりました。このような場合も同じように便秘体質になってしまいます。


学童の便秘

不規則な生活は便のリズムを狂わします。朝ごはんを食べずに登校したり、学校で大便をしたら友達に見つかってからかわれては嫌だと校内では便をがまんしたり、夜更かしなどがリズムを狂わす原因としてあげられると思います。


便秘に対するアプローチ

綿棒浣腸と <の>の字マッサージ
赤ちゃんには効果的です。肛門から綿棒の先を1cm弱突っ込んで肛門の穴を広げるような感じで丸を描くように刺激します。 寝る前や起床時におへそから<の>の字書くようにやさしくちょっとお腹を押しながらマッサージします。

便秘薬
子どもの便秘薬は大人に使用する便秘薬の量を調節して使用します。便秘の原因はお腹の中に大きくて硬くなった便の塊がいくつかあることが考えられるので、当院では最初の1〜2週間はグリセリン浣腸をしっかりしてもらいお腹の掃除をしっかりします。宿便がなくなった後で、酸化マグネシウム・ラキソべロンなどで便を軟らかくして排便がスムーズにできるようにしています。




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2010年8・9月

【日本脳炎ワクチンについて】

日本脳炎ワクチンの接種方法が2010年9月から一部変更になりました。


まず日本脳炎という病気の説明です。

日本脳炎は蚊が媒介する日本脳炎ウイルスによって起こる感染症で、発症すると死亡率15%と恐い病気です。助かっても脳障害が45%〜70%に残ることが知られています。

日本では、発症した人は1966年の2017人をピークにして減少し、1992年以後は毎年10人以下になっています。しかしながら、東南アジア・南アジア一帯には流行地域があり年間3〜4万人が発症しています。

日本では患者数が少なくなっていますが、西日本を中心に日本脳炎ウイルスを増幅させる動物であるブタには日本脳炎ウイルスが証明されており、日本脳炎ウイルスが日本にも存在していることがわかっています。また海外に行くことで感染する危険もあります。そのことよりワクチンの必要性が認められています。


日本脳炎ワクチンの接種方法の説明

1期(2回)・1期追加(1回)・2期(1回)の3つがあります。計4回接種することになります。すべて新しい日本脳炎ワクチンで接種します。


1期: 3歳から7歳6か月未満に1回目を接種し、1〜4週間あけて2回目を接種します。

1期追加:1期の2回目を接種したあと、概ね1年後にもう一度接種します。


2期: 9歳以上13歳未満でもう1回接種します。


副反応について

新しい日本脳炎ワクチンは生後6か月から7歳6カ月未満の123人の小児に対して臨床試験が行われました。

発熱(18.7%)・咳(11.4%)・鼻水(9.8%)、注射部位が赤くなった(8.9%)。これらの副反応はほとんど接種3日後までに認められました。

*日本脳炎ワクチンを接種したら咳・鼻水??ってどういうことなのかしら?と僕は思うのですが・・・ 接種した小児がたまたま後日風邪にかかったのかもしれませんが・・・そのことについては詳細不明です。


よく質問をうける内容にお答えします。


Q:旧型日本脳炎のワクチンで途中まで接種しました。 一時中断状態になったので、再開された時には旧型日本脳炎ワクチンを接種した児は途中から新型日本脳炎ワクチンへ変更できませんといわれました。

A:旧型から新型への変更が認められました。


Q:旧型日本脳炎のワクチンを途中まで接種しました。 一時中断状態になったので、再開された時に7歳6カ月を超えていたので接種できないといわれました。

A:7才6カ月をこえている児に対しては、9歳から13歳未満の間に接種することが認められました。もちろん公費負担です。


Q:新型日本脳炎ワクチンで接種を始めたのですが、7歳6カ月までに1期の2回・1期追加が全て終了できませんでした。

A:9才から13歳未満の間で引き続きの接種が認められました。


Q:3最から7歳6カ月の間に日本脳炎ワクチン接種をまったく接種しませんでした。

A:9歳から13歳未満の間で始めてください。


Q:13歳を超えてしまいましたが、日本脳炎ワクチンの接種を終了できていません。

A:13歳を超えている場合は、現時点では定期接種としては認められていません。


Q:堺市ではどこの医療機関でも新しい日本脳炎ワクチンが接種可能なのですか?

A:可能です。




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2010年7月

【百日咳について】


中学生以上になったら百日咳にかかることがあります。

百日咳(ひゃくにちぜき)と呼ばれる感染症は百日咳菌が感染しておこる病気です。潜伏期間は7〜10日くらいです。咳がしつこく出て、咳き込みがおこり息がしづらくなることがあります。生まれてすぐから感染する危険性があり(母体からの免疫が十分ではないのです)、もし赤ちゃんがかかると咳をしすぎて息がしにくくなり大変危険な状態になることがあります。三種混合ワクチンを接種することで百日咳には感染しなくなるのです。三種混合ワクチンのおかげで百日咳にかかる赤ちゃんはかなり少なくなっています。

しかし、三種混合ワクチンで作られた免疫は10年くらいしか持続しないのです。だから中学生以上になってくると(もちろん成人も)、ワクチンをしていても百日咳にかかることがあるのです。


<症状について>

最初は軽い咳・鼻水からはじまり、熱もあまりでないので、軽いかぜにかかったなと思います。でも、だんだん咳はしつこくなってきて、咳き込みがおこり、夜になると余計に咳はひどくなります。咳がしつこくてたまりません。咳をしすぎて顔がむくむことを百日咳顔貌といいます。


<診断検査について>

血液検査をして白血球数が多い・リンパ球数が多いことは百日咳の特徴ですが、これは乳幼児がかかった時の所見で、中学生以上は異なることが多く、過去に三種混合ワクチンを接種した人は白血球数・リンパ球数もまったく正常なのです。百日咳抗体を測定することが信頼性のある診断法です。ワクチン未接種の人や10歳以上の人が40倍以上の抗体(東浜抗体・山口抗体)が証明されれば百日咳と考えられます。10歳未満の子どもは320倍以上を百日咳と考えていきます。さらに3週間後に抗体を再検査して4倍以上に増加していたら間違いなく百日咳であると診断します。


<治療について>

マクロライド系抗生物質を内服することで百日咳菌を消失させることができます。でも、実は病院に受診する時には、咳が出始めてからすでに3週間くらいたっていることも多くあり、その時点では、すでに百日咳菌はほとんど消滅しています。抗生物質を内服しても効果が少ないということになります。のど・気管が敏感になっており、咳止め薬・吸入薬も併用することになります。


<家庭での注意点について>

百日咳菌は、咳により唾液が空気中にばらまかれて、それを吸い込むことによって感染してしまいます。マスク・うがい・手洗いが大切になります。




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2010年5・6月

【手足口病について 】

手足口病について 6月ごろから手足口病が流行し始めます。今月は手足口病について説明いたします。


<流行する時期>

6月〜8月頃に流行するウイルスによる夏の病気です。でも冬にも時々流行することもあります。

<症状>

手足口病のウイルスに感染すると3〜7日くらいで発症します。手のひら・足の裏・足の甲・膝・お尻のまわりに赤い直径1〜2mmの発疹がでます。発疹は水ぶくれになっています。口の中・舌にも水ぶくれができて、つぶれると口の中が痛くて食事を取れなくなる時もあります。よだれが多い時には、きっと口の中が痛いのでしょう。熱は半分以上のお子さんがでませんが、38度までの発熱が1〜2日くらい、約30%のお子さんにでることがわかっています。下痢気味になることが時々あります。1週間くらいでなおります。


<原因ウイルス・どのようにうつるのでしょうか?>

手足口病にはいくつかの原因ウイルスがあることがわかっています。だから、何回もかかることもあるわけです。コクサッキーA16ウイルス、エンテロウイルス71などは代表的です。唾液や便を介して人に感染することがわかっています。同じコップやスプーンを使ったりすることはやめましょう。お手洗いのあとにはしっかりと手をあらいましょう。


<治療について>

手足口病に効果のある薬はありません。自然に治るのを待つ病気になのです。1週間くらいで治りますよ。


<家庭での注意点について>

手足口病はまれながら髄膜炎(手足口病のウイルスが頭にいってしまう)を合併することがあります。経過中に、すごく頭が痛くなったり、けいれんしたり、吐き気が強くなってきたら医療機関を受診してください。エンテロウイルス71により手足口病になると髄膜炎になりやすいことがわかっています。平成22年はエンテロウイルス71が増加していることが報告されています。 口の中が痛くなると水分も取れなくなるお子さんがいます。食事はのどごしが良くてしみないものを、飲むタイプやゼリータイプの栄養剤なんかを薦めることもあります。


<登園について>

熱がなく、食事もきちんと食べれるなら、手足に発疹が出ていても登園してもかまいません。




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2010年4月

【滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)の説明 】

鼻をつまんだ状態で鼻から空気を出そうとすると耳に空気が抜けますよね。耳と鼻は耳管(じかん)という管でつながっています。もし鼻がつまった状態がつづくと、鼻と耳の交通が悪くなり耳の中(中耳腔)に液がたまってきます。これが滲出性中耳炎です。


Q:どんな症状になりますか?

A:耳の中に水がたまるので、音の伝導がわるくなり耳が聞こえにくくなります。耳の奥がつまったような感じがします。子どもが返事しない、テレビの音が大きすぎるなどは耳が聞こえにくいサインの時があります。耳が痛くなったり発熱したりしないのが特徴で、細菌性中耳炎と異なるところです。


Q:原因はどのようなものですか?

A:子どもでは多くが鼻づまりによるものです。すなわち鼻炎があって鼻水がズルズル・鼻がつまる状態が続いていると滲出性中耳炎がおこってきます。


Q:治療はどのようなものですか?

A:鼻づまりを治していくことになります。鼻炎の治療で鼻づまりが治ると、耳と鼻の交通が回復するので滲出性中耳炎はよくなっていきます。耳の治療よりも鼻の治療を行うわけです。滲出性中耳炎がひどい場合は鼓膜を切開し中耳腔にたまった液を出すことがあります。


鼻すすりの多い子どもは滲出性中耳炎をおこしやすい傾向があります。鼻はすするのではなく鼻をかむようにしていくことが必要です。水泳は水の中にはいるので鼻への刺激になります。鼻の状態が悪く滲出性中耳炎をおこしているときにはスイミングはお勧めしていません。




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2010年3月

【新型インフルエンザの話題 (近畿小児科学会から) 】

3月14日に、近畿小児科学会が滋賀県で開催されました。昨年から今年にかけて猛威をふるった新型インフルエンザについて、数病院からの報告がありました。


急速な呼吸器障害が特徴のひとつです。

新型インフルエンザでは、季節性インフルエンザに比べて急速に進行する呼吸器障害が特徴であることが報告されました。当院においても、受診時に呼吸困難が強く、低酸素状態であり、すぐに入院してくださいと説明した患者さんが数名おられました。他の病院でも同様であり、明らかに新型インフルエンザは急速に気管支炎や肺炎を引き起こし重症化してしまうリスクが高いと思われました。

急速に呼吸状態が悪化する理由については、気管支・細気管支・肺胞にすぐに到達しやすいこと(肺のすみずみまで早くまわりやすいということです)、痰が粘調になりやすく気管支につまりやすいこと(気管支がつまった領域では酸素を体内にとりいれることができません)、感染をうけた人の中にはサイトカインという物質を過剰に産生してしまうことが挙げられていました。喘息を持っている人は呼吸状態が悪くなりやすいとの報告もありました。

その他、新型インフルエンザ感染に伴う、熱性けいれん・幻覚・幻聴・意味不明な動き・嘔吐・下痢についても報告されていましたが、大部分の報告は、呼吸器障害に注目をおいていました。


入院する率が高いのではないかと思われます。

新型インフルエンザに感染すると入院する率が高い可能性があります。病院毎に率は異なりますが、新型インフルエンザにかかったら、4%から20%の患者さんが入院したことが報告されていました。




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2010年2月

【小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)が接種できるようになりました。】


肺炎球菌とは?

文字とおり肺炎の原因になる細菌です。それだけではなく、中耳炎、扁桃腺炎などの原因にもなりますが、一番怖いのは血液の中に混ざることで脳内に侵入する細菌性髄膜炎です。


細菌性髄膜炎とは?

脳に細菌が侵入すると発熱・嘔吐・頭痛などの症状が出てきます。もちろん入院治療が必要になります。しかしながら、治療しても死亡することがあり、助かっても脳に障害をのこすことが多いのです。さらに最近は、抗生物質が効きにくい菌(耐性菌)が増加しており治療が難しくなってきています。


以下の円グラフを見てください。細菌性髄膜炎の原因となる細菌について示しています。

小児細菌性髄膜炎の原因菌
(砂川ら)



ヒブ菌が半分以上で、肺炎球菌が2番目に多いのです。


肺炎球菌にかかりやすい年齢は?

以下の棒グラフを見てください。年齢が横軸です。全年齢を通して感染するのですが、子どもでは1歳前後にピークがあります。


生方公子: 日医雑誌138


日本では肺炎球菌ワクチンは接種できなかったのですか?

日本では成人用として肺炎球菌ワクチンが接種できます。このワクチンは乳幼児に免疫ができにくく不適切であることがわかっていました。小児用に新しく開発されたのが小児用肺炎球菌ワクチンです。プレベナーと呼びます。実は10年前から開発されており、ようやく日本の乳幼児も接種できるようになったのです。すでに100カ国近い諸外国で接種されており、38カ国では公費負担の定期接種になっています。安全性・有効性は世界からの成績が証明しています。


接種方法 : 
年齢によって接種スケジュールが異なります。


生後2カ月から7カ月未満 : 
初回3回(27日以上の間隔をあけて)
+追加1回(生後12〜15ヶ月のころ)


生後7カ月から12カ月未満 :
初回2回(27日以上の間隔をあけて)
+追加1回(60日以上間隔をあけた生後12ヶ月のころ)


1歳から2歳未満 :
2回接種(60日以上あけて)


2歳から9歳 : 
1回接種のみ


接種料金 : 
日本は任意接種になるので自己負担となります。1回1万円程度になるでしょう。 クリニックへ連絡していただき接種する日時を決めていただきます。




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2010年1月

【子宮頸がん(しきゅうけいがん)ワクチンについて】

 子宮頚がんは子宮の入り口にできる癌のことです。日本では毎年約7000人の女性が子宮頸がんと診断されており、約2500人が亡くなっています。女性のがんでは乳がんについで2番目に多いがんです。

子宮頚がんの大部分は、ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスに感染することが原因であることが解明されています。ヒトパピローマウイルスは性交を介して感染します。ヒトパピローマウイルスに対して免疫があれば感染しませんので子宮頚がんになる危険性が非常に少なくなります。

ヒトパピローマウイルスに対するワクチンが開発され、日本でも接種できるようになりました。10歳以上の女性に適応が認められており、副作用はないと報告されています。

子宮頚がんにならなくなることは素晴らしいことですが、ワクチンは自費負担で高価なものです。医療機関によっても異なりますが、1回接種に15000円以上はするでしょう。3回接種することが必要であり、最低でも45000円は負担することになります。しかしながら、本当に子宮頚がんになったら負担金額どころではないということは明白な事実です。 子宮頸がんになってから、ワクチンで予防できたのに!と後悔するなんてことがないように今回の月報で取り上げました。。

子宮頚がんワクチン接種は初回接種・1ヶ月後・6ヶ月後の3回接種です。 肩の三角筋と呼ぶ筋肉に筋肉注射します。



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2009年12月

【蕁麻疹(じんましん)について】

 蚊にさされた時のように、皮膚が盛り上がり、赤くなり、形もさまざまです。掻いているとどんどんひろがっていきます。2〜3時間経過するとおさまりますが、また別の所に新しく出てきます。


蕁麻疹ってなぜおこるのでしょう?

蕁麻疹の原因はいろいろあります。合わない食べ物や薬もあるでしょうし、動物の毛・昆虫・気温が急に寒くなったり逆に急に温まったりするとき(温度差)にも蕁麻疹がでることがあります。蕁麻疹の原因となる物質にさわったり・体調不良・過労・精神的ストレスも蕁麻疹の原因となります。

蕁麻疹が出た時には1〜2時間前に何を食べたか?何をしていたのか?何をさわったか?を思い出す事で原因がわかる場合があります。気になることを繰り返した時に再び蕁麻疹が出現するならばその原因が確定できるでしょう。血液検査で証明することも可能です。

しかしながら、実は原因がわからないことが大部分なのです。同じ原因であっても、その時の体調(疲れている・風邪ぎみ・下痢をしてるなど)で蕁麻疹は出たり出なかったりするのです。


慢性蕁麻疹について

蕁麻疹が出たり消えたり2週間以上は続いている場合(何年も続くことさえあります)、慢性蕁麻疹が考えられます。なぜ、こんなに長く蕁麻疹が続くのかほとんどわかっていません。内科的な病気(肝臓、糖尿病、悪性疾患)が潜んでいる場合がありますので、なにか病気はないかどうか一度は検査を受けてください。


蕁麻疹の治療

蕁麻疹の程度にもよります。ひどい場合は点滴でステロイド、抗ヒスタミン剤を投与します。軽い場合は、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服を行います。


蕁麻疹が出ている時に日常生活で気を付けること

疑わしい原因がある場合は、その原因を避けていくことが必要です。 体を温めること(激しい運動・長い風呂)は蕁麻疹を悪化させることが多いので控えてください。規則正しい生活・睡眠不足にならないようにすることも必要です。




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2009年11月

【新型インフルエンザワクチン接種について】

新型インフルエンザワクチンの接種を始めます。

希望者全員数にはほど遠い数なのですが、1回目の新型インフルエンザワクチンが配られることになりました。クリニックでは届けられた人数分の新型インフルエンザワクチン接種を開始いたします。

まず、国が決定した優先順位にしたがって希望された方々への接種を開始いたします。希望した先着順番ではありませんのでご了解おねがいいたします。
もし優先順位が同じならば、予約希望した先着順番を考慮いたします。

最優先は基礎疾患(心臓・喘息など)がある1歳から小学校3年生までの子ども・妊婦さんになります。
クリニックから直接お電話さしあげ、ワクチン接種日時を予約させていただきます。


接種の手順

指定日時にクリニックに集まっていただいて接種になります。新型インフルエンザワクチンは1つに10ccはいっています。残りの余ったワクチンはすべて廃棄になるからです。

クリニック内にてインフルエンザワクチン問診票を記入してください。体温の測定もお願いいたします。
新型インフルエンザワクチンについての説明を受けていただき、体調チェック後にワクチン接種をいたします。 接種は2回接種です。間隔は1〜4週間空けてください。

*希望者全員には接種できない、数に限りがあるワクチンです。
 当日キャンセルは絶対にしないようにしてください。


連絡なくキャンセルされた場合、その方のワクチンは廃棄せざるをえませんので、今後新たな接種には対応できません。

2回のワクチンも確保したうえで1回目のワクチン接種をしますので、1回で済まさないようにお願いいたします。


接種料金

新型インフルエンザワクチンは全国一律で価格が決められました。どの医療機関でも同一価格です。

1回目 3600円
2回目 2550円

2回接種することで6150円になります。
ただし、1回目と2回目を異なる医療機関で接種した場合は、2回目も3600円になります。



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2009年10月

【新型インフルエンザについて】

新型インフルエンザについて 新型インフルエンザが本格的に流行してきました。今回は新型インフルエンザについて述べてみます。


Q:そもそも新型インフルエンザって何?

:わかりやすく言うと、今までに存在していたインフルエンザが突然変異し、まったく新しいインフルエンザが誕生したということです。医学的に言えば、抗原性(こうげんせい)が大きく異なるインフルエンザが誕生したのです。人類はこの新しいインフルエンザと遭遇するのは初めてのことで、免疫が全くないので非常にかかりやすく、かつ急速に人から人へと広がっていきます。新型インフルエンザの抗原性はH1N1と名付けられています。


Q:新型インフルエンザの症状は?

:突然の高熱・のどの痛み・咳・だるさ・頭痛・ふしぶしの痛みなど季節性インフルエンザと似ています。季節性インフルエンザに比べて、吐いたり下痢をしたりすることが多いと報告されています。残念なことに国内でも子どもの死亡例が報告されました。脳症・肺炎の発症により急激に悪化することもあるので油断はできません。


Q:熱がでたらすぐに受診したほうがいいのでしょうか?

:以下の場合はすぐに受診してください。 ・呼吸がはやい・息苦しそう ・顔色が悪い ・嘔吐・下痢が続く ・落ち着きがない・遊ばない ・反応が鈍い、呼びかけに答えない、意味不明の言動が見られる ・症状が悪化してきた


Q:新型インフルエンザはどのように診断されるのですか?

:鼻の穴に綿棒をいれて数秒間ごそごそして鼻汁を採取します。新型インフルエンザがいるかどうかを15分で判定可能です。ただし、発熱してから最低でも12時間経過していないと検査してもわかりません。熱が高いのでインフルエンザの検査をしてくださいと希望されても、発熱後最低でも12時間たっていないと意味がありません。痛いだけです。あらためて、翌日にインフルエンザの検査を受けていただくこともあります。


Q:新型インフルエンザが重症化する心配がある人はどのような人ですか?

:以下の持病をもっている人。 呼吸器が悪い・心臓が弱っている・糖尿病がある・腎臓病がある・ステロイド内服などによる免疫が抑制されている人は重症化する危険があります。  乳幼児・妊婦・高齢者も重症化する危険があります。


Q:新型インフルエンザワクチンはどうなっていますか?

平成21年10月4日の現状です。厚労省は優先順に従って新型インフルエンザワクチン接種を開始すると発表しましたが、具体的にどうしていくのかまだはっきり分かっていません。堺市では、各医療機関において季節性インフルエンザワクチンと同様に、新型インフルエンザワクチン接種を行うとしています。ワクチン希望者数をあらかじめ把握したうえで新型インフルエンザワクチンが届けられます。ワクチンを予約していただく必要があります。ワクチンの数にも限りがありますので予約人数にも制限が必要です。オリオノクリニックでは詳しいことがわかりしだいホームページにアップします。




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2009年9月

【男の子の<おちんちん>についての相談事
 (包茎と陰嚢水腫について)】

包茎

 皮がおちんちんを覆ってしまってむき出すことができません。包茎(ほうけい)なので治してくださいとお願いされることがあります。

 包茎は病気ではありません。子どものおちんちんの皮(包皮)は、おちんちんの先端(亀頭)とひっついているのです(包皮癒着)。思春期とともに包皮癒着も徐々にはがれていきますので自然とむけるようになってきますよ。

 健診などでおちんちんの皮をむくようにと指導されたり、その場で無理やりむかれたりすることがありますが、そのようなことをする必要は普通ありません。無理やりむかれた時の痛みは想像を絶する痛みではないでしょうか。無理やりむくと元に戻らなくなってしまうことがあります(かんとん包茎といいます)。そうなるとおちんちんへの血流障害がおこって腐ってくることもありえますので大変危険です。

 包茎は思春期まで待っても普通問題ありませんので心配しなくて大丈夫ですよ。

 ただし以下の場合は治療を考えることがあります。

 完全に包皮に覆われているので、おしっこをするとおちんちんの先端が風船のように膨れる場合は、おしっこが出にくくなっている証拠です。力まないとおしっこが出てきません。そこまでの包茎ならじわじわとむいていきます。


陰嚢水腫

 お母さんのおなかのなかにいる時に、赤ちゃんの睾丸(こうがん)は赤ちゃんのおなかの中からおちんちんの袋(陰嚢)へと移動してきます。睾丸が陰嚢に到達すると、睾丸が通った道は自然に閉鎖するのですが、その閉鎖がうまくいかなくなると陰嚢水腫がおこります。

 陰嚢の部分がはれて大きくなっています(焼き物の狸みたい)。痛みはありません。大部分は弾力があり、波動感があります。光を当てると、光が透けて見えます。 

 乳児では自然に治りますので生後2年までは経過を見ます。2年を越えると自然治癒が難しくなるので、手術をすることがあります。時に、鼠径ヘルニアを合併しているときがあり、その場合は早めに手術をします。  

 陰嚢を注射器で刺して液を吸い出す方法は治癒を遅らせることがあるといわれ、現在は行われなくなりました。




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2009年8月

【蚊(か)アレルギー】

 蚊にさされると、少ししか腫れない子から、びっくりするくらい腫れあがり水ぶくれまでできる子まで反応はさまざまです。蚊に刺されるということは、蚊の唾液腺から物質を皮内に注射されることです。強く腫れあがる子は、蚊が皮内に注射した物質にアレルギー体質をもっているからなのです。これが蚊アレルギーです。  

 蚊にさされると、直後から赤くなって・腫れて・かゆくなる反応を即時型反応といいます。翌日に腫れが強くなったり・水ぶくれができるのが遅延型反応といい、2種類の反応を起こします。  

 残念ながら、蚊アレルギーをすぐに治す方法はありません。蚊に刺されないようにする予防が一番でしょう。良い虫よけ方法はありませんか?と相談を受けます。特別な方法はありませんが、虫よけスプレー・両手両足に虫よけリング・真夏も長袖・長ズボン(涼しい衣服素材で)といったところでしょうか。  

 蚊アレルギーが強い子には、刺されたところに軟膏をぬったり、腫れやかゆみをおさえる目的で抗ヒスタミンを内服してもらいます。  

 幼児期は蚊アレルギーが強くても学童期には徐々に腫れにくくなり、体質は変わっていくのが普通です。


特殊な蚊アレルギーについて

 慢性活動性EBウイルス感染症と呼ばれる病気があり、症状のひとつに異常なほどまでに蚊に刺されると腫れあがる症状があります。足を刺されると数日間は靴がはけないくらいに腫れあがるレベルです。非常に蚊アレルギーが強い子はEBウイルスとの関係を調べる必要があります。




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2009年7月

【乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)の説明】

 あまり聞きなれない言葉ですが、赤ちゃんの長引く下痢の原因として代表的なものです。
母乳・人工乳・牛乳には乳糖という物質が含まれています。乳糖は糖質です。乳糖があるからお乳は甘いのです。乳糖は腸内でラクターゼという酵素により分解されます。もしラクターゼで分解されないなら、腸内の乳糖は下痢の原因になるのです。

 もし、下痢便が酸っぱい臭いがしたら乳糖不耐症が考えられます。

 腸が弱ると、腸粘膜で作られるラクターゼの産生が減ってしまいます。ラクターゼの少なくなった腸に乳糖が多量にはいってくると、腸は乳糖を分解しきれずに、分解されない乳糖により下痢になってしまいます。さらに乳糖が腸内に入り続けた結果、下痢がおさまらなくなってしまう悪循環を作ります。下痢している時には乳製品は控えたほうがいいですよと説明する理由はここにあります。

 でも、授乳中の赤ちゃんはミルクを中断することはできません。ミルクをやめると栄養がとれません。だから、赤ちゃんは乳糖不耐症によって下痢が長引くことが多いのです。

治療

1.下痢用ミルクとして乳糖が除去されているミルクに変更してみる。(薬局で販売しています)

2.乳糖を分解する薬(乳糖分解酵素)を母乳やミルクを飲む前に服用する。


下痢がおさまり、腸が回復すると腸はラクターゼを十分産生できるようになります。そうなれば、いままで通りのミルクに戻しても大丈夫です。




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2009年6月

【りんご病についての説明】

 園や学校で流行しやすい病気にりんご病があります。りんごのようにほっぺが赤くなるのが特徴です。りんご病の原因はパルボウイルスB19という名のウイルスです。



 ほっぺだけではなく、太ももや腕にも赤い発疹がでてきます。よく見ると赤い発疹はつながっているように見えてレース模様に似ているところがあります。手足の発疹は、ほっぺが赤くなるのと同時に出たり、ほっぺが赤くなってから1〜2日後に出てきます。

 ほっぺはかゆくなることがあり、お風呂であったまったり、外で日光を浴びたりするとかゆみが強くなります。熱はほとんどでません。ほっぺが赤くなった頃は、すでに感染力はなく人にうつすこともありません。園や学校に行っても大丈夫です。ほっぺが赤くなる前に(りんご病とわからない頃に)人にうつしてしまうのです。

 1週間ほどで治ります。1度かかると2度とかかりません。ほとんどの人は子どもの頃にかかりますが、大人になってかかることもあり、大人では関節が痛くなったり、熱がでたりもします。大人ではほっぺが赤くならないこともあって、他の病気を疑われてしまうことがあるかもしれません。  

 家庭で気をつけることも特にありません。ほっぺが痒かったら、かゆみ止をぬっておきます。元気がないようならもう一度受診してください。

 予防法は残念ながらありません。りんご病のワクチンは開発されてはいません。


りんご病の稀な合併症

 りんご病は骨髄(骨の中)にある赤血球をつくる細胞をこわす病気です。健康な骨髄なら全然心配ありませんが、もともと血液の病気を持っている場合(遺伝性球状赤血球症など)では急速に貧血が進行する危険があります。

 妊娠中にりんご病にかかると、胎児の赤血球もこわされて胎児が貧血になり、流産の原因となることが知られています。妊婦がりんご病に子どもの頃にかかっていれば大丈夫です。




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2009年4月

【ヘルペスについての説明】

 風邪をひいたり、疲労が蓄積してきたら、くちびるや口の周りに小さな水ぶくれができてピリピリ痛いことを経験したことはありませんか?俗に<熱の華><風邪の華>とかと呼ばれます。これがヘルペス感染症で単純ヘルペスと呼ばれるウイルスによるものです。

 人はヘルペスウイルスに感染せずに一生涯を送ることはまず不可能でしょう。なぜならどこにでもいるウイルスなのです。50〜60歳までにはほぼ100%がヘルペスウイルスに既に感染しています。20歳では半数がヘルペスウイルスに感染しています。


初めてヘルペスウイルスに感染したときの説明


 ヘルペスウイルスに感染すると潜伏期4〜5日で高熱がでてきて、口の中に口内炎が数個できてきます。歯ぐきも腫れてきます。これがヘルペス性歯肉口内炎(しにくこうないえん)です。物が食べられないくらい口が痛くなることがあり、水も飲めないくらい痛いときは脱水になる危険があるので、点滴や入院することさえあります。食べ物は熱いもの・かたいもの・すっぱいもの・辛いものは痛みを強めますので、柔らかいもの・甘いものを工夫して食べていきましょう(豆腐・プリン・ゼリーなど)。飲むタイプの栄養剤も良いと思います。

 でも、ヘルペスウイルスに初めて感染しヘルペス性歯肉口内炎になる人は一部の人と考えられています。多くの人は無症状なのです。自分でも知らないうちにヘルペスウイルスに感染しています。なぜ高熱を出す人から無症状の人まで様々なのかはわかっていません。

 ヘルペスは目にいくことがあります。口内炎ができている時に、目が充血してきたり、眼脂が多くなってきたりすればヘルペスが目に侵入したのかもしれません。眼科医の診察を受けてください。


ヘルペス性歯肉口内炎が治ったあとは・・・・

 口内炎や歯ぐきの腫れもひいてやれやれ治りました。でもご用心!ヘルペスウイルスは口の周りの神経の中に潜んでいます。いいかえれば、その人と一生共存していくのです。普段はなにも症状を出しませんが、風邪をひいたりして体力が低下すると、口の周りに小さな水ぶくれを出してきます。これが<熱の華>なのです。

 ヘルペス性歯肉口内炎になっている人や熱の華がでている人の唾液にはヘルペスウイルスがいっぱいいます。その人の唾液が自分の口に入ることで感染が成立するのです。ヘルペスに未感染の人ならば4〜5日後に高熱とともに口内炎がでるかもしれません。


治療について

 ヘルペスウイルスに対する薬があります。この薬を内服したり、軟膏として塗ったり、または点滴したりすることで早く治すことができます。


追加として

 ヘルペスの水ぶくれが、アトピー性皮膚炎の部分にできるとひどく悪化することがあります。この悪化した状態をカポジ水痘様発疹症とよびます。 今回は口内炎をおこすヘルペスについて説明していますが、性器に感染する場合もあります。口の周りに感染するヘルペスは1型性器に感染するヘルペスは2型と呼びます。でも1型でも性器に感染しますので特異性はありません。性器ヘルペスは主に性交感染です。



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2009年3月

【自家中毒(じかちゅうどく)についての説明】

 自家中毒ってあまり聞いたことのない名前だと思います。3歳から7歳くらいまでのお子さんに多い病態で、別名として周期性嘔吐症とかアセトン血性嘔吐症とも呼ばれます。

 さきほどまで元気に遊んでいた子どもが急にぐったり、何回も吐き始めます。お腹が痛くなったり、頭も痛くなったり、突然に何がおこったの?という状態です。吐いても吐いても吐き気が続き水分も摂取できません。


Q:なぜ起こるのでしょう?

A:人間はエネルギーを作るのにブドウ糖や脂肪を利用します。ご飯を食べなければ体にためている脂肪をエネルギー源として利用します。ダイエットをすると皮下脂肪が減るのと同じですよね。脂肪が分解されるとアセトンと呼ばれる物質が必ず産生されます。このアセトンには毒性があり、吐き気をもよおし、腹痛・頭痛もおこすのです。

 子どもが良く遊んでくたくたになって、ご飯も食べずに寝てしまいました。起きたら吐いてばかりいます。これは運動してエネルギーを消費したのに、ご飯を食べなかったので脂肪が一気に分解し血の中にアセトンが増えすぎているのです。


Q:でもご飯を食べていても起こるのはなぜですか?

A:実はそこのところはまだよくわかっていません。精神的なストレス・興奮・睡眠不足等いろいろな要因が関係していると言われています。家族でディズニーランドに遊びに行って喜んで遊びまくりました。子どもがホテルに帰ってから、突然にゲェ-ゲェ-吐いて苦しそうです。たぶん興奮しすぎたために、急に体内脂肪の分解がおこり、血の中にアセトンがいっぱいになっているのでしょう。  

 体質的に起こしやすい子どももいます。疲れたり・風邪をひいたら吐くことが多い子どもは自家中毒になりやすい体質なのかもしれません。やせ型で神経質な子に多い傾向があります。


Q:治療はどうするのですか?

A:脂肪の分解をやめさせればよいのです。ブドウ糖を点滴します。すると体はブドウ糖を分解するので脂肪の分解はおさまります。アセトンは徐々に減っていき気分が良くなってきます。


Q:大人には自家中毒はないのですか?

A:ありませんね。聞いたことがありません。小学校に行くようになると自家中毒はおこさないようになってきます。その理由のひとつとして、成長し体の筋肉量が多くなると、筋肉の中にブドウ糖のかたまり(グリコーゲンと呼びます)を十分に蓄えることができるので、脂肪の分解よりもグリコーゲンの分解で十分なエネルギーをつくることができるのです。グリコーゲンを分解してもアセトンは産生されません。大人になっても自家中毒のような症状を起こすならACTH-ADH放出症候群と呼ばれる吐き気をおこすホルモンの分泌異常があるかもしれませんので検査が必要でしょう。



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2009年2月

【ノロウイルスについての説明】

 ノロウイルスは胃腸炎をおこすウイルスです。冬になると流行します。 症状のはじまりは突然であることが多く、激しい吐き気がおこります。吐いても全然すっきりせず、横になっても吐きそうでトイレのそばから離れられないほどです。吐き気は1〜2日でおさまっていきます。下痢・腹痛もあり、下痢は3〜4日続きます。

 もちろん症状には個人差があり、少しお腹が痛くなるだけとか、1回下痢しておしまいとか。なかには風邪のように咳・鼻水がでたりする人もいます。


Q:どこからもらうのでしょうか?

A:2通りあります。まずは、食べものがノロウイルスに汚染されている場合です。貝を生で食べることで感染することが多く、牡蠣(かき)は代表的です。スーパーで生食用の牡蠣として販売されていますが、生食用は細菌の量で決めているのでノロウイルスに対しては全然意味がありませんので、新鮮なものでも生で食べるとノロウイルスをもらう危険性があります。

 次に、すでにノロウイルスにかかっている人から感染する場合です。糞便や嘔吐物がわずかに混入した飲食物を摂取したり、汚物を処理したときに手・衣服などに付着し、そこから食品を介して再び口にはいる場合です。感染すると24〜48時間で発症します。


Q:ノロウイルスを診断する検査はあるのですか?

A:糞便中のウイルスを直接見たり、検査でノロウイルスがいることを証明する検査法ができています。しかしながら現時点では手軽にクリニックで検査できるものではありません。だからノロウイルスにかかっていますと診断された大部分の人はノロウイルスの検査を受けたのではなく、症状からみてたぶんノロウイルスにかかっていますと言われています。


Q:家庭ではどのように対処したらよいでしょうか?

A:ノロウイルスに特効薬はありません。嘔吐・下痢がきつい時は脱水に注意する必要があります。水分摂取ができないときは点滴して水分補給することになります。下痢をするということは、言いかえればノロウイルスを体外に放出する生体の防御反応です。体外に放出しなければ治りませんので、当院では下痢止めは処方していません。吐き気を止める薬・整腸剤を内服して、しっかりと水分補給をして脱水を予防することになります。下痢の時の食事については別紙に記載していますので参考になさってください。

 食品は十分加熱することはノロウイルス予防に効果があります。ノロウイルスに感染した人はトイレのあとはしっかりと手洗いしてください。


Q:いつから登園してもかまいませんか?

A:学校保健法では登園・登校については明記されてはいません。本人の体調によって判断されますが、発熱がないこと・食事がきっちりとれること・下痢が落ち着いていることで集団生活に戻って良いと思います。症状がなくなっても、約1週間は便の中にノロウイルスが出ていますので、トイレの後は手洗いを励行することが大切です。



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2009年1月

【インフルエンザの治療薬についての説明】

 インフルエンザの治療薬であるタミフルを飲んだ後に異常行動を起こす危険性があるといった情報について、一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。タミフルを中心にインフルエンザ治療薬について説明します。


Q:タミフル ってどうしてインフルエンザに効果があるの? なぜ、インフルエンザになってから48時間以内にタミフルを内服したほうがいいのですか?

A:インフルエンザが増殖するためにはノイラミニダーゼと呼ばれるたんぱく質が必要です。ノイラミニダーゼを阻害するとインフルエンザは増殖することができません。ノイラミニダーゼ阻害薬がタミフルなのです。インフルエンザにかかると48時間でインフルエンザはどんどん増殖します。増殖が終わってからタミフルを内服しても効果が乏しいのは当然です。増殖させない薬がタミフルなのですから。

 また、新型インフルエンザであったとしてもインフルエンザであるかぎりノイラミニダーゼは必要です。だから新型インフルエンザにも効果があるので日本は備蓄政策をとっています。


Q:こどもに対するタミフルの安全性はどうなのですか?とくに異常行動との関係は?

A:タミフルの副作用として腹痛・下痢などが報告されてはいますが、最も注目されているのは異常行動との関係です。報道でビルから飛び降りた等のショッキングなニュースは耳にされたことがあると思います。
 
 残念ながら、現時点では医学的に関係があるとは証明されていないので私にもわかりません。異常行動が現れたこども年齢が10代に集中していたため、そして10代のこどもが異常行動をとった場合、親が体力的に制止できないかもしれないということで、10代のこどもにはタミフルの処方は控える勧告がだされています。1歳未満の乳児も原則的に控えることが加えられています。また授乳をしているお母さんはタミフル内服中の授乳を控えてください。


Q:インフルエンザの吸入薬(吸い込む薬)があると聞きましたが?

A:リレンザといいます。わかりやすく言うとタミフルを飲むのではなく、口から吸い込むのです。タミフルは内服薬なので腸から吸収され血中にまわり脳を含め体全身へと運ばれます。リレンザは喉に直接作用し、喉からの吸収は極わずかです。タミフルと比べると血中に入りにくいので、安全性が高い可能性があります。効果はタミフルと同等。しかしながら、薬を吸い込むということは、こどもにとっては難しいことで、上手にできない子が多いのです。


Q:他の薬はないのですか?

A:パーキンソン病という脳の病気があります。パーキンソン病の患者さんがパーキンソン病治療薬を飲んでいるとインフルエンザにかからないことがわかってきました。なんと!インフルエンザにも効果があることがわかったのです。薬の名前はシンメトレルと言います。インフルエンザA型のみに有効でB型には無効です。ただし、この薬はもともと脳の病気に使用されていた薬です。脳に作用し幻覚・幻聴・異常行動を引き起こす副作用があると医学的にわかっています。ある意味、タミフルより内服しにくいのではないでしょうか?


Q:漢方薬があるのですか?

A:タミフルが乳児・10歳代のこどもには原則として使用しないことになり、注目されてきたのは漢方薬です。麻黄湯(まおうとう)といいます。発熱・頭痛・首・肩・腰の痛み・動悸・息切れ・寒気・喉の痛みなど、さまざまな症状に効果ありとのことで中国漢方医は処方してきました。インフルエンザに対して日本で使用されています。漢方薬ですからどうしてインフルエンザに効果があるのか理論的に説明はできません。どの程度の効果があるのかも十分なデータはでていません。


Q:オリオノクリニックの方針はどうなのですか?

A:インフルエンザの薬としては1歳未満なら麻黄湯を処方します。1歳以上からはタミフルの処方をしますが、吸入ができるお子さんにはリレンザの吸入指導をさせていただきリレンザを処方しています。成人にはタミフルまたはリレンザを処方します。ただし、お子さんがタミフル内服する場合、内服開始後48時間は家族と一緒に過ごし、決して一人にはさせないようにしてください。これが守れない場合は処方できません。ご両親の考え方も重要です。私たちの子供のころはインフルエンザの薬なんてなかったのです。みんな安静にして、栄養をとって治していたのです。薬にたよらずに治す!これも選択枝の一つなのです。



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2008年12月

【水イボはとったほうがいいの?】

 水イボができましたので、とってくださいと受診される子どもさんがいます。本当にとったほうが良いのでしょうか?

 水イボは皮膚に寄生するウイルスが原因でイボができます。伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルスと呼ばれます。直径1mmから3mmくらいの盛りあがったイボが体のあちこちに、時には集まってできます。痛み・かゆみはありません。(写真)
     


Q:水イボはどうなっていくのですか?

A:自然に治ります。その期間は約半年くらいです。もちろん個人差がありますので、長ければ2〜3年ということもあります。


Q:水イボがあるとプールにはいってはダメなのですか?

A:体と体が接触するので、水イボがあればプールに入ってはお友達にうつすかもしれない・・・確かにあるかもしれませんが、可能性は非常に少ないと考えられています。医学的にプールを禁止する根拠はまったくありません。学校保健法では水イボは原則としてプールを禁止する必要がないと明記されています。しかし個人経営のスイミングスクールなどでは水イボがあるとプール禁止にしているところがあります。これは医学的な理由ではなく、万が一にも水イボが生徒に流行したら困るという個人的理由によるものでしょう。


Q:水イボをとるってどうするのですか?

A:水イボを一個ずつ丹念にピンセットでつぶしていきます。当然痛いです。皮膚麻酔用のシールが使われることもあります。その他、硝酸銀を水イボに塗ってとる方法や液体窒素で凍らせてとる方法があります。当院ではピンセットでつぶしています。


Q:水イボに効果のある薬があると聞きましたが?

A:漢方薬のヨクイニンを内服することです。水イボが治るという医学的根拠はないと思われます。またとても苦くて飲みにくい。医学的に言って現時点では民間療法といわれても仕方がないと思われますので僕はお勧めしていません。


Q:先生は水イボをとる方針ですか?

A:基本的にとらない立場です。泣き叫ぶ子ども押さえて、水イボをピンセットでつまみとるのは、子どもを虐待してるのかと思ってしまいます。どうしても水イボをとる必要があるときは相談に乗らせていただきます。



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2008年11月

【血管運動性鼻炎(けっかんうんどうせいびえん)について】

 秋になり、昼間はポカポカ陽気、でも夜は冷えて朝は寒い。1日の中でも温度差がはっきりしてきました。この時期になると、咳がしつこくて止まりませんと来院する子どもたちが多くなります。

 よく聞いてみると、昼間には咳はあまりでませんが、走った後では咳込みます。夜になって寝る頃になると咳が増えてきて、いったん寝つくのですが朝方には咳がしつこくなり咳こんで吐いてしまいます。吐くとすっきりしてまた寝るのですが・・・熱はありませんし、食欲もあります。市販の風邪薬をのんでも良くなりません。秋から冬にかけていつも風邪にかかっています。お子さんの症状と一致してませんでしょうか?

 これは風邪ではありませんよ!血管運動性鼻炎の疑いがあります。思い出してみてください。スキー場にいったり、熱いラーメンを食べたりしたら鼻水がいっぱい出てきてティッシュを探した経験はありませんか?急激な温度変化には鼻粘膜は敏感に反応します。鼻が温度変化に対して、より敏感な人は、お風呂に入って鼻が温まった後に急に冷えたら鼻水が出てきて、また朝方急に冷え込んでくると鼻水が出てきて、その鼻水が喉に垂れこむと窒息しそうになるので連続してしつこい咳が出てきます。鼻水・鼻づまりで寝苦しくなり睡眠が浅くなり眼の下にくまがでてきます。昼間はポカポカ暖かくなるので鼻水・咳はあまり出ないわけです。

 赤ちゃんにも起こります。一般的に赤ちゃんの鼻は敏感なのです。元気で機嫌も良いが鼻が詰まってミルクが飲みにくいなども血管運動性鼻炎の疑いがあります。気温の変化以外にも精神的ストレスも関係していますが子どもでは圧倒的に気温変化です。したがってアレルギー検査をしてもわかりません。

 治療はアレルギー性鼻炎(花粉症など)と同様に治療します。抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤が用いられます。抗ヒスタミン剤には眠気を起こす副作用があるのですが、最近に開発された薬では眠気の副作用は非常に少なくなっています。

 血管運動性鼻炎をもっている人は花粉症を重ねてもっていることがよくあります。また鼻が温度変化に敏感な子どもは皮膚も敏感なことが多く、寒くなると乾燥肌になったり痒くなってきたりすることがあります。



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2008年10月

【尿検査の異常について】

健康診断で尿検査をしたところ異常ありといわれました!

 子どもは元気にしているのですが、尿を検査すると異常があるので検査してもらいなさいと言われました。いったいどういうことでしょうか?健診の時期になると受診される子どもさんがおられます。以下に説明させていただきます。

 まず、尿に異常があると指摘されても、ほとんどのお子さんは心配無用です。びっくりすることはありませんよ(後述)。しかしながら稀なのですが腎臓の病気が潜んでいるかもしれませんので、一度は精密検査をうけていただくことは必要でしょう。腎臓に関係する血液検査・さらに詳しい尿検査・腎臓の形を観察する腎エコー検査になります。尿検査は朝1番のおしっこ(早朝尿といいます)の検査も必要です。おしっこは出始めのおしっこは捨てて、中ほどのおしっこ(中間尿といいます)を持って受診してください。もし夕方の受診になる時は、早朝尿は温度の低いところ・暗い所に保管してください。容器にラップして冷蔵庫内がベストなのですが抵抗ありますでしょうね・・・受診時にも検尿はありますよ。検査で腎臓の病気が疑われた場合は小児科腎臓専門医へ紹介させていただくことになります。


最も多いのは無症候性血尿です

 血尿はあるのですが、それ以外の検査でまったく問題がない状態です。心配無用です。尿検査を定期的に受けていただき血尿が悪化しないか、蛋白も尿に漏れてこないかを見ていくだけになります。


体位性(たいいせい)蛋白尿も多いです

 これも心配無用です。寝ていると蛋白は尿に漏れませんが、立って動いていると微量の蛋白が尿に漏れてきます。定期的に尿検査を受けていただき悪化してこないかだけを見ていくことになります。

 検尿で異常を指摘されたお子さんは、無症候性血尿と体位性蛋白尿がほとんどを占めていますといってよいでしょう。悪化しないかどうかを定期的に検尿で確認しますが、まあ悪化はしませんので念のための検査と考えてください。


血尿も蛋白尿もあるのですが…この場合は腎臓の病気が潜んでいる可能性があります

 放置せず必ず検査を受けてください。


尿に糖がおりています

 この場合は糖尿病の疑いがあります。まずは糖尿病の検査をすることになります。



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2008年9月

【あかちゃんのおしりのトラブル】

肛門周囲膿瘍

 赤ちゃんの肛門の周りが赤く腫れて膿(うみ)をもつようになった状態です。赤ちゃんは抵抗力が弱いのでおしり周りにも感染しやすいのです。なぜか男の子に多いです。

原因は2つあって
1:オムツカブレによる皮膚から菌が入り込んでしまう。
2:肛門のなか(肛門と直腸の境目)に菌が入り込んでしまう。

 よくあるパターンは下痢便〜軟便が続いているなあと思っていたら、肛門の周りが腫れていることに気づきます。痛いのでオムツを替えてあげると赤ちゃんは機嫌が悪くなって泣いてしまってかわいそうです。

 治療は、まず便の状態を整えること。おしりの周りは洗って清潔な状態にしておくこと。腫れているところを針で刺して膿を出してあげると早く治ります。洗った後は抗生物質入りの軟膏をおしりの周りに塗っておきます。抗生物質の内服は逆に下痢便の原因になりますので控えることは多いです。

 やっと治ったと思っても再発することは稀ならずあり、根気よく治療することが必要です。1歳を過ぎたら再発しなくなります。逆に1歳を過ぎても繰り返して再発する時は、菌が入りやすいところを手術によって除去することがあります。




みはりいぼ(見張りいぼ)

 「赤ちゃんのお尻に何かできた」と、来られることがあります。ほとんどが女の子です。診てみると肛門の前の方のしわの一部がひだ状に盛り上がっています。(写真)
見張りいぼは、肛門のしわの一部がひだのようにいぼ状にもり上がっていて(鶏のトサカ様です)、肛門の上(時計で12時の方向)にできることが多いです。よく見ると肛門の内側も切れています。

 便が硬いために何度か肛門が切れた結果、皮膚が飛び出てきたものです。心配はありませんよ。便秘にならないように心掛け、ぬるま湯にお尻をつけて清潔にしておけば自然によくなります。切れたところには炎症を抑える軟膏を塗っておけばよいでしょう。



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2008年8月

【ヘルパンギーナの説明】

 毎年、6月ごろからヘルパンギーナにかかる子どもがでてきます。7月には流行がピークになり9月にはなくなります。夏風邪の一種で今年も流行しています。


乳幼児がよくかかる病気です

 ヘルパンギーナにかかる子どもの年齢は4歳以下が大部分です。5歳以上になったらあまりかからないか、すごく軽症です。1歳の頃が最もよくかかります。


ヘルパンギーナの原因は?
 
 夏に風邪をおこすウイルスにコクサッキーA群というグループに属するウイルス達がいます。コクサッキーAの4型が主な原因ですが、6型や10型もヘルパンギーナをおこす原因になります。


症状について

 2〜3日の潜伏期のあと、突然に38〜40度の熱がでてきます。のどが赤くなっており、のどの奥に直径1〜2mmの水ぶくれのようなブツブツがでてきます。写真を見てください。のどの奥に数個のブツブツができています。水ぶくれのような発疹はつぶれると、のどはさらに痛くなります。2〜4日で熱はさがります。1週間くらいで元気になります。




家庭での対処法

 のどが痛くなると食事がとれず、水分摂取すらもできなくなる場合があります。酸味のある食事やジュースを避けて、味の薄く、のどごしが良いものを食べたほうがいいでしょう。1〜2日のことですからプリン・ヨーグルトなどでしのいでもいいと思います。最近は栄養補給として栄養ドリンクも販売されています。水分しか飲まないのならドリンク剤も悪くないと思います。頭を痛がる時、吐き気が強い時、水分を摂取してくれない時、かなりぐったりしている時は以下に述べる合併症をおこしているのかもしれませんので受診してください。熱が下がって、食事も普通に摂取できれば集団生活にもどってもかまいません。


なにか恐い合併症はありませんか?

 ヘルパンギーナの原因となるコクサッキーウイルスは、まれですが髄膜炎をおこしたり、心筋炎をおこしたりします。髄膜炎をおこすと頭痛・吐き気が強くなります。心筋炎をおこすと胸が痛くなったり、心不全症状をおこしたりします。心不全症状とは心臓の働きが悪くなるとでてくる症状のことで、全身倦怠感・尿量低下・手足がむくみ・脈が速くなる・手足が冷たくなるなどの症状があります。



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2008年7月

【アデノウイルスのお話(再)】

 以前にも、月報で取り上げたことはあるのですが、もういちど詳しく説明しておこうと思いましてアデノウイルスを取り上げることにしました。


アデノウイルスって何?

 一言でいうと夏風邪のウイルスです。ただし、夏はもちろんアデノウイルスに感染しやすい時期ですが、夏以外でも感染します。アデノウイルスは50以上の種類があり番号が付いています。だから、「先月は3型にかかって今月は8型にかかったわ!」といったこともあり得るのです。


どこから感染するの?
 
 アデノウイルスに感染している人の唾液・目やに・便などからです。潜伏期は1週間くらいです。


アデノウイルスがひきおこす症状は?

 アデノウイルスは、のど・目・胃腸症状をひきおこします。

@風邪
咳・鼻水・頭痛、発熱・ふしぶしの痛みなど、いわゆる風邪の症状です。

A咽頭結膜炎(いんとうけつまくえん)
急に高熱になり、熱は4〜5日続きます。扁桃腺が腫れて、のどが痛くなり食欲も低下します。高熱が続き、水分摂取が少ない時は点滴して水分補給をすることもあります。経過中に、眼が充血して目やにが出てきたり、下痢が出てきたりすることもあります。夏はプールの後に症状があらわれることからプール熱とも呼ばれます。

B流行性角結膜炎(かくけつまくえん)
アデノウイルスが目に入ると、眼の痛み・目やに・涙目がでたり、目の充血をおこしたり、外を見るとまぶしくて目が開けにくくなったりします。

C胃腸炎
乳幼児に胃腸炎をおこします。腹痛・嘔吐・下痢があります。発熱は軽い程度です。便の中にアデノウイルスがいることで診断できます。

D出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)
おしっこをすると陰部に痛みがあり、血尿がでます。3日くらいで良くなります。

E肺炎
まれに肺炎をおこします。咳がひどく、呼吸困難・高熱が持続します。肺炎のなかには非常に重症になることがあり、時には心臓・脳・内臓全体の働きも同時に悪くなり(多臓器不全)、致命的なことになります。この恐い肺炎はアデノウイルス7型がひきおこすことがわかっています。


アデノウイルスの診断方法

 のど・目やに・便の中にいるアデノウイルスを培養する方法、血液検査でわかる方法もあります。しかしながら、結果がわかるまで1週間以上かかるのでほとんど行なわれませんでした。治った後で「あなたはアデノウイルスですよ」と言われてもピンときませんよね。現在は、のど・目やに・便からその場でアデノウイルスがいるかどうか調べることができます。感度は80〜85%くらいです。(100人アデノウイルスに感染している人がいれば80〜85人はわかります)。当院でも検査しています。アデノウイルスの型まではわかりません。


治療について

 「お子さんはアデノウイルスにかかっています」「でも治療薬はありません」ここでたいがいのお母さんはガクっときます。残念ながらアデノウイルスの特効薬はありません。発熱に対しては冷却シートや解熱剤で対応します。脱水にならないように水分はしっかりと与えてください。咳・鼻水があれば感冒薬を併用します。症状を軽くさせていく対症療法になり、自然にアデノウイルスが出ていくのを待つことになります。


家庭で注意することは?

 家族に感染しないように、食器類・タオルは別々にすることでしょう。残り物を食べたり、同じコップを使わないようにしましょう。咳をしていたらマスクをしたほうが良いでしょう。元気になって(症状がなくなって)2日経過したら登園可能です。園には登園許可証が必要です。



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2008年6月

【EBウイルスのお話】

 EBウイルスってあまり聞きなれないと思いますが、子ども・大人ともにEBウイルスにかかると喉が痛くなり、扁桃腺(へんとうせん)が腫れて、高熱が続くことがあります。今回はEBウイルスについて説明します。


EBウイルスって珍しいの?

 いいえ全然珍しくはありません。3歳までにはなんと約70%〜80%が感染しています。大人では90%以上の人がEBウイルスに感染しています。ほぼ全員が人生のいずれかのうちにEBウイルスに感染します。


どこから感染するのですか?
 
 唾液からです。EBウイルスに感染した人の唾液にはEBウイルスが含まれています。人が一度EBウイルスに感染すると、唾液中には一生涯EBウイルスが混ざっています。大人のほぼ全員の唾液中にEBウイルスがいますよといっても過言ではないでしょう。キスをしたり、おしゃべりをして唾液を飛ばしたり…とEBウイルスが含まれた唾液が口に入ると感染します。EBウイルスを避けて生活すること自体が無理なのです。


EBウイルスにかかったらどんな症状がでてくるのですか?

 3歳くらいまではEBウイルスに感染しても何も症状はありません。熱も出ないし、EBウイルスに感染したことすらわかりません。でも小学生くらいになると喉が痛くなり、熱が長引いたりするのです。EBウイルスが引き起こす病気についてお話します。

@伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)
EBウイルスによる病気のほとんどはこれです。喉は真っ赤に腫れて痛く、扁桃腺も腫れて白い膿(うみ)が付きます。高熱が数日間から1週間以上続くこともあります。高熱はずっと持続していることもありますが、一度下がって治ったかな?と思ったら再び高熱になったりします。首・腋・股のリンパ節が腫れてきます。特に首はニワトリの卵くらい腫れることがあります。肝臓・脾臓(ひぞう)が腫れてきます。肝炎をおこすこともあります。体がだるくて食欲がなく、目の周りがむくんだり、全身に発疹が出たりすることもあります。安静にして対処療法が中心になります。

AEBウイルス関連血球貧食症候群(けっきゅうどんしょくしょうこうぐん)
これはまれな病気です。38度〜39度の熱が持続したり、高熱が数日間下がったと思ったら再び高熱になったり、首・腋・股のリンパ節が腫れたり、上記した伝染性単核球症に似た症状です。経過中に貧血が急にでたり、白血球・血小板が減り始め、骨髄(骨の中で血液を作っている場所)で組織球が赤血球・白血球・血小板を食べています。なぜこのような病気に進行していくのかははっきりとわかっていませんが、サイトカインという免疫に関係する物質が急激に産生されることが原因です。とはいえ、何が引き金になってサイトカインが異常に多く産生されるのかはわかっていません。入院治療が必要な病気です。

B慢性活動性EBウイルス感染症
これは珍しいうえに難治な病気です。EBウイルスに感染してから高熱・全身リンパ節の腫れ・肝臓・脾臓が腫れたりする症状が何ヶ月も持続します。さらには、悪性リンパ腫や白血病へと進行していきます。蚊に刺されると驚くほど腫れあがる体質になることもわかっています。もちろん入院加療が必要な病気です。

ほぼ全員がEBウイルスに感染し、まったく無症状で終わる乳幼児期から高熱がでる学童期、非常にまれではありますが難治な病気の原因になるEBウイルス。まだわかっていない点が多くあります。



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2008年5月

【口腔アレルギー症候群と食物依存性運動誘発性アナフィラキシー】

口腔アレルギー症候群

 「これを食べると、きまって口の中がイガイガ・チクチクしたり、のどが痒くなったりします」というのが口腔アレルギー症候群をもっておられる方の典型的な訴えです。もともと花粉症をもっておられる方が大部分です。果物・野菜・ナッツ類を食べると、1時間以内に口の中がイガイガ・チクチクしてきます。のどが締めつけられて呼吸が苦しくなることさえあります。自然に治ることは少なく、症状を引き起こす食物を除去することが必要です。繰り返し食べているとだんだん症状が強くなってきます。


食物依存性運動誘発性アナフィラキシー

 ある一定の食物を食べた後に、すぐに激しい運動をすると急にアレルギー症状がはじまって、全身に蕁麻疹が出たり、体がむくんできたり、下痢・嘔吐、呼吸が苦しくなったり、ひどい場合はショック症状になり意識もなくなる危険な状態になることすらあります。食物としては、小麦・エビ・カニ・貝・果物が報告されています。食べるだけではおこりません。食べてから、すぐに運動をするとおこるのです。運動は、ランニング・サッカー・テニスのような激しい全身運動であることが多いです。運動前に原因となる食物は食べないことで予防していくしかありません。なぜ、食べてから運動したらアレルギーがおこるのかは、よくわかっていません。

 食後に運動すると蕁麻疹がよく出ますという人は、食物に注意しておく必要があります。



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2008年4月

【ロタウイルス胃腸炎の説明です】

 春先になるとロタウイルスによる胃腸炎が流行しはじめます。おもに乳幼児がかかる病気です。別名、冬季白色下痢症ともいわれますが、寒い冬より暖かくなってきた春先に流行しはじめます。ノロウイルスとは名前が似ていますが、全然違うものです。


どんな胃腸炎かというと

 ロタウイルスにかかると2日くらいで、下痢・嘔吐(おうと)がはじまります。39度くらいの高熱や腹痛もしばしばあります。下痢便の色は白っぽいクリーム色、薄い黄色が特徴で、においは酸味臭(すっぱい感じのにおいです)となることが多いです。3〜6日くらい下痢・嘔吐が続きます。鼻水や咳もでたりすることが時々あります。


どこからもってくるの?

 ロタウイルス胃腸炎にかかっているお子さんの下痢便の中にはロタウイルスがいっぱいいます。それが周囲の人の口に入ることで感染します。便が直接に口にはいかないかもしれませんが、例えば、ロタウイルス胃腸炎の子どもさんがトイレに行った後で手を洗わずにおもちゃで遊ぶと、そのおもちゃにはロタウイルスがいっぱいついています。お友だちが同じおもちゃを触った手でお菓子を食べたら2日後には胃腸炎になってしまうというわけです。オムツを替えたらお母さんの手にはロタウイルスがついており、よく手を洗わずに食事の用意をすると…どうなるかわかりますよね。
 
 ロタウイルスの場合は下痢がおさまって2〜3日後までは、周囲の人たちが感染する可能性があります。


治療について

 脱水にならないように水分補給が最も重要です。小児用のイオン水が適しています。いっぺんにたくさん飲んだら吐くかもしれないので、少量ずつ回数を多くして飲ませてあげてください。食事については、下痢・嘔吐の食事に関する月報を参考にしてください。

 ロタウイルスに効果のある薬はありません。吐き気に対しては、吐き気をおさめる薬を内服します。下痢には整腸剤を内服しますが、下痢止め薬はロタウイルス胃腸炎の回復を遅らせることがあるので使用は控えます。ロタウイルスを便とともに早く体内から出さなければ治りにくいのです。下痢するのは悪いものを早く体内から排出する生体の防御反応なのです。むりやり下痢を止めたら、悪いものはおなかにず〜っといることになりますからね。


予防について

 ロタウイルスによる胃腸炎の予防には、よく手を洗うことが大切です。子どものトイレを手伝った後、オムツを替えた後、調理・配膳の前、食事・おやつの前にはよく手を洗いましょう。同じタオルを何回も使用するのでは、タオルにロタウイルス付着したらせっかく手洗いしても効果がありません。使い捨ての紙タオルが望ましいと思います。


下痢のときのけいれん

 乳幼児は、ロタウイルス胃腸炎の時に限らず、急に下痢が続くとけいれんすることがあります。発熱時のけいれん(熱性けいれん)とは別物です。急に下痢として体内から水分や電解質が失われてしまうのでけいれんするのではないかと考えられています。



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2008年3月

【小児のアレルギー性鼻炎】

 子どものアレルギー性鼻炎は、最近では1〜2歳から始まっており、3歳児ならそんなに珍しくなっています。季節の変わり目に鼻水・鼻づまり・鼻こすりが出始めたらアレルギー性鼻炎かもしれません。

 アレルギー性鼻炎になると、鼻をいじるし、鼻の粘膜は炎症を起こしているので鼻血が出やすくなります。最初は透明〜白色だった鼻水も、鼻の中で細菌の増殖がおこり黄色〜緑色の鼻水になることもあります。夜中になると鼻づまりはさらにひどくなり、咳き込み始めて吐いてしまったり、睡眠不足になってしまいます。アレルギー性鼻炎のお子さんは目の下に“くま”ができていることがよくあります。充分な睡眠がとれていないためです。

 鼻がつまると当然口から息をすることになるので、口はいつも半開きとなり、口で息をしていると咳が痛くなってきて風邪をひきやすくなります。「朝起きたら喉がカラカラ」、「痰(たん)が絡んでいるように思うけどなかなか切れない」、「喉に何かへばりついてとれない」などはアレルギー性鼻炎でよくある症状です。アレルギー性鼻炎は鼻だけにとどまりません。しつこい咳もアレルギー性鼻炎からくることが多いのです。

アレルギー性鼻炎の原因は?

 まず体質があげられます。ご両親が花粉症・アトピー・喘息などアレルギー体質があったら子どもに遺伝しているかもしれません。空気の汚染や、家庭内でのタバコなど生活環境の問題もあるでしょう。アレルギーの原因物質は、やはりダニ・ほこり(ハウスダスト)・スギ花粉が圧倒的に多いです。当院では血液検査にてアレルギー原因物質を調べています。検出率は70%ぐらいです。

 検査でわからないアレルギー性鼻炎も珍しくありません。例えば、毎年冬になると鼻がズルズルで春になると鼻水がおさまった…というお子さんの場合、これは気温が低くなったことによる鼻炎であり、血液検査ではわかりません。温度差アレルギーと説明していますが、正式には血管運動性鼻炎といいます。


治療法は?

 アレルギー体質を治す薬!こんな薬があったら最高ですが残念ながらありません。子どものアレルギー体質は大人になるまでにだんだんと治っていくのが普通です。しかしながら、子どものときに強いアレルギーを放置しておくと大人になっても持ち越してしまう、つまり体質が変わりにくくなってしまうと考えられています。鼻水・鼻づまりがなくなって良い睡眠がとれることが一番ですが、将来の体質改善の邪魔にならないように小児期から強いアレルギー反応は抑えておきましょう。

 まずはアレルギーを抑える薬(抗ヒスタミン剤・アレルギー物質遊離抑制剤)の内服からはじめます。飲み薬だけでは効果がないときには、直接鼻の中に噴霧する薬を加えます。鼻水が黄色〜緑色なら、細菌を抑えるため抗生物質を内服してもらいます。菌が繁殖しているとアレルギー性鼻炎の薬も効き目が弱まりますし、蓄膿症の心配も出てきます。

 薬だけではどうにも良くならない状態では、レーザー治療や手術もありますが、これらは主に大人に対する治療法です。



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2008年2月

【みずぼうそうについて】

 みずぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスが感染しておこる病気です。潜伏期は2〜3週間です。胸・おなか・陰部周囲を中心にして水をもった赤い発疹ができはじめ、手足・口の中・頭皮にも及ぶこともあります。発疹はどんどん数が増えていき、3日くらいでピークに達します。その後、発疹は乾いて黒いかさぶたになっていきます。37〜38度くらいの発熱が2〜3日続くことが多いですが、4人に1人くらいは発熱しません。約1週間で治る病気です。

 みずぼうそうは空気感染でウイルスを吸い込むことによって感染します。感染力は強いので一緒に遊んだりするとお友達も感染します。発疹がでる1〜2日前から他人に感染してしまうのです。(みずぼうそうにかかっているのがわかっているのに友達と遊んでいるお子さんはいないと思いますので…)


みずぼうそうの治療

 みずぼうそうのウイルスに対して効果のある薬を内服します。発症後早期に使うとより効果があり、みずぼうそうが2〜3日は早く治ります。発疹はかゆくなることが多いので、かゆみを抑える目的で軟膏を使います。


家庭での注意点

かゆみ かゆみが強いとひっかいてしまいがちです。ひっかくのはできるだけやめましょう。爪は短めにして皮膚を傷つけないように!

入浴 熱が37.5度未満ならかまいません。発疹がつぶれて化膿しないように皮膚は清潔にしておきましょう。

解熱剤 高熱の時は使用してもかまいませんが、必ず小児用の解熱剤を使用してください。みずぼうそうの時に、解熱剤に含まれているアスピリンという成分を服用すると、脳障害をおこす可能性があるので使用禁止になっています。



こんな時はもう一度診察を受けてください

・4日以上熱が続くとき(みずぼうそうにしては熱が長すぎます)
・ぼんやり、ぐったりして元気がないとき
・発疹が赤くなり、ジュクジュクして化膿しているとき


保育園・幼稚園

 発疹が全部黒ずんでかさぶたになれば登園可能です。目安は1週間です。


 みずぼうそうに感染しても(みずぼうそうのお子さんと接触しても)、48時間以内にみずぼうそうのワクチンを接種すれば、かからなくなるか非常に軽くすむでしょう。絶対にみずぼうそうにかかったら困る場合はご相談してください。

 みずぼうそうが治った後も、みずぼうそうウイルスと人は共存します。老化やストレス、体力が落ちた時など、共存しているウイルスが再び皮膚に出てくることがあります。痛みをともなう水をもった発疹で、帯状に発疹が集まるので帯状疱疹(たいじょうほうしん)と呼ばれます。もちろんみずぼうそうにかかったことのないお子さんにも感染します。

 みずぼうそうの予防接種は任意接種になりますが、集団生活に入る前に受けておきましょう。非常に安全性の高いワクチンです。


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2008年1月

【突発性発疹(とっぱつせいほっしん)について】

 新年あけましておめでとうございます。オりオノクリニックは開院後2年半が経過しました。今後とも皆様に満足していただけるような医療をおこなっていくことを目標にスタッフ一同がんばりますので、今年もよろしくお願い申し上げます。

 さて、新春第一弾は突発性発疹(とっぱつせいほっしん)についての説明です。


突発性発疹

 生後6ヶ月から1歳までの乳児がかかる病気です。突然の高熱(39〜40度)からはじまります。でも熱が高くても、結構元気にしていて食欲もさほど落ちません。高熱以外の症状はなく、熱だけなのです。逆に咳・鼻水・下痢などがあれば、突発性発疹ではない可能性が高いのです。高熱は3〜4日間続いて、その後突然に下がります。熱が下がった同日に、紅色の発疹が体を中心に顔・手足に出現します。発疹は3日以内にきれいに消えていきます。発疹が出たら治った証拠です。
 
 だから高熱が出ている時には発疹が出ていないので、自信をもって突発性発疹ですと僕も断言しにくいのです。


原因は何ですか?

 長い間不明でしたが1988年にヘルペスウイルス6型が発見され、突発性発疹の原因であることがわかりました。でも突発性発疹に2回かかる子どもさんがいることが知られており、1990年にヘルペスウイルス7型が発見されました。これも突発性発疹の原因です。


子どもは全員かかる病気ですか?

 そうです。全員かかっています。3歳までには全員かかっているでしょう。でも、子どもの20〜30%は症状がなく、熱も出ないので突発性発疹にかかったのかどうかは検査しないとわかりません。全員かかるけど全員熱や発疹が出るわけではないのです。


どこからもらってくるのですか?

 突発性発疹にかかったことがある人の唾液の中には、原因ウイルスが混ざっていることが時々あるのです。ご両親は絶対に突発性発疹にかかったことがあるはずです。だから、ご両親の唾液が子どもの口の中に入ることで突発性発疹にかかります。おじいちゃん、おばあちゃん、兄や姉の唾液でも同じことです。すなわち家庭から一歩も出なくても家庭内でもらっているのです。赤ちゃんは、お母さんから胎盤を通して免疫をもらっています。当然、突発性発疹の免疫ももらっているので、生まれて数ヶ月はかかりません。お母さんの免疫がなくなってしまう生後6ヶ月頃から突発性発疹にかかってしまうのです。


治療は?予防は?
 
 熱に対しては冷やしてあげたり、水分補給をしっかりさせてあげたり、特別な治療はありません。とくに予防も必要ありません。


合併症ってありますか?
 
 大部分のお子さんにはありません。すごく稀なことですが、脳炎、肝炎、血小板減少性紫斑病などを合併した子どもさんが報告されています。一方、高熱が出るので熱によるひきつけ(熱性けいれん)を起こしてしまうことは時々あります。


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2007年12月

【秋から冬に流行するRSウイルスについて説明します】

 RSウイルスって聞きなれない名前だと思いますが、実は毎年秋から冬にかけてRSウイルスというウイルスが流行しています。RSウイルスは気管支炎を起こしやすいウイルスです。なんと2歳頃までには100%の子どもが1回はRSウイルスに感染します。それほど全然珍しくないウイルスなのです。1回かかっても十分な免疫ができないので再度かかることもあります。困ったことに、お母さんのおなかにいるときにもらった免疫では感染を防ぐことができません。だから生まれてすぐの赤ちゃんにも感染してしまうのです。


RSウイルスの症状について

 まず鼻水・咳が出てきます。風邪をひいたと思ったら引き続いて38〜39度の熱が出てきます。鼻水や咳は3〜4日かけてどんどんひどくなっていきます。食欲も落ちて元気もないので心配です。ピークを越えたら熱は下がり、徐々に鼻水・咳も少なくなっていきます。8〜12日くらいで治りますが、治ってもしばらくは咳きこみやすい体質になることがあります。
 
 生後6ヶ月以内の子どもがRSウイルスにかかったら特に心配です。なぜなら気管支炎を起こしやすく入院することも珍しくないからです。気管支炎を起こしてくるとゼイゼイ・ヒューヒューと音が聞こえる息づかいになり、呼吸数も早く顔色も悪くなります。このような状態になったら早めに受診してください。


家庭ではどうしたらいいの?

 食欲がないので無理に食べなくてもいいですが、水分だけは脱水にならないよう、こまめにとらせてください。加湿器・洗濯物の部屋干しなどをして、室内の湿度を上げたほうが呼吸は楽になります。寝ているときに咳きこんだら横向きにさせて背中をトントンしてあげるのもいいでしょう。鼻水が多ければ鼻水を吸ってあげるのは効果的です。熱が高いのなら解熱剤を使って身体を一時的に楽にさせてあげるのがいいでしょう。


お薬

 RSウイルスはウイルスですから抗生剤は効きません。でも、二次感染(中耳炎や気管支炎など)が疑われる場合は抗生剤を使うときもあります。残念ながらRSウイルスを直接やっつける薬はありません。咳止め・鼻水止めを使って、できるだけ身体を楽にします。鼻水が多ければ鼻水を吸いに受診してもらうこともあります。


予防

 RSウイルスにかかっている人の咳・くしゃみを吸い込むと感染します。また手についたり、おもちゃについていても5時間くらいは感染力がありますから、手やおもちゃをなめたりすれば感染します。RSウイルスをもらったら2〜4日で鼻水・咳が出てきます。手洗い・うがいをしてRSウイルスを流し落とすことが大切です。


まだわかっていないことなのですが…

 1歳までにRSウイルスに感染し気管支炎が悪くなって入院してしまった子どもは、将来小児喘息になりやすいとする説があります。まったく関係ないとするデータもあり、結論はまだでていません。



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2007年11月

【しつこい咳が続く時にはマイコプラズマ肺炎かもしれません!】
 マイコプラズマ菌は気管支炎や肺炎の原因となる菌として知られています。風邪にしては咳がしつこく長引いて、夜になるといっそう咳が激しくなってきます。そういった場合はマイコプラズマ菌が侵入したかもしれませんよ!

 昔は4年ごとに流行するのでオリンピックみたいな菌と呼ばれていましたが、最近は毎年それも1年中通して(寒くなると多くなります)見られるようになりました。マイコプラズマ菌が喉に入って2週間くらいたつと熱や咳がで始めます。高熱がでる人もいるし、あまり熱がでない人もいますが、とにかく咳がしつこくひどい!昼間も咳がでますが夜になってくるといっそう咳がでます。最初は風邪かな?と思っても咳がしつこいのならマイコプラズマ菌を疑うことが必要です。子供だけでなく成人もかかります。マイコプラズマ菌が原因で肺炎になってしまった状態がマイコプラズマ肺炎です。なんと子供の肺炎の20〜30%がマイコプラズマ菌による肺炎なのです。一度かかっても免疫は長続きしないのでまたかかってしまうこともあります。

 ふつうは、肺炎になると呼吸音(胸の音)がゴロゴロしてきて悪くなってくるのですが、マイコプラズマ肺炎は違います。胸の音が悪くならないのです。『胸の音が悪くありませんから肺炎の心配はないでしょう』というのは、マイコプラズマ菌の場合には当てはまりません。レントゲン検査をしたらすでに肺炎になっていることもあるのです。またマイコプラズマ菌で肺炎になってしまうのは年長児に多いこともわかっています。ほかの細菌では乳幼児のほうが肺炎になりやすいのに、年長児のほうが肺炎になりやすく、呼吸音も悪くならず、他の菌とは性質が違うのでマイコプラズマ肺炎は別名、異型肺炎とも呼ばれています。

 マイコプラズマ菌に侵されている場合には血液中にマイコプラズマ抗体が検出されます。またマイコプラズマ抗体が血液中に存在していればマイコプラズマが体に入っていると診断できます。でも結果がでるのに数日かかり、結果を待ってから治療をするのでは手遅れになることがあるので、マイコプラズマに効果のある薬を内服しながら結果を待っていただきます。

 治療はマイコプラズマ菌に効果のある抗生物質を点滴したり内服したりします。状態が悪ければ入院して治療することもありますが、きっちり抗生物質を内服していたら1週間で治ります。学校へは熱がなくなり咳が少なくなってきたら行ってください。

 


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2007年10月

【抗生物質について考えてみましょう】
 
 たくさんの種類の抗生物質が使用されています。セフゾン、バナン、フロモックス、メイアクト、トミロン、クラリス、クラリシッド、ジスロマック、サワシリン、エリスロシン、ファロム 等々きりがありません。。

 今回は抗生物質について少し考えてみたいと思います。風邪(かぜ)にかかったときに風邪薬といっしょに抗生物質を処方された経験はよくあるのではないでしょうか?しかしながら、ほとんどの風邪はウイルスによって起こります。抗生物質は、細菌を殺すための薬でウイルスには効果はなく、鼻水を止めたり咳を抑えたりする効果もありません。つまり抗生物質は、基本的に風邪には必要のない薬と考えていいでしょう。

 お母さんたちにアンケートをとった最近の調査があります。「ウイルスには抗生物質が効かないので無意味」と答えたお母さんは10%、「そんな話を聞いたことがある」と答えたのは55%、残りのお母さんは「はじめて知ったわ!」というものでした。もちろん、原因がウイルスが細菌であるか区別できない場合には、抗生物質を処方する場合もありますし、また『風邪は万病の元』という言葉があるように、風邪の時に細菌の二次感染が起こることもあります。二次感染とは、中耳炎や肺炎を併発したりする場合で、経過中に抗生物質が必要になることもあります。

 しかし抗生物質を長期に投与すると、からだに必要な細菌まで殺してしまい、下痢を起こしたり、抗生物質の効かない細菌(耐性菌)をつくったりと様々な問題も起こってきます。黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌は肺炎などの原因となる菌です。それらの菌はMRSA、PRSP、BLNAR と呼ばれる耐性菌となり治療しにくい菌へとどんどん変化してきています。抗生物質は風邪薬とセットではありません。当院ではウイルスか細菌か迷うような場合は血液検査をしています。結果はその場ですぐに分かります。検査せずに無意味な薬を飲むよりは良いと思うのですが……血液検査なのでチクっと痛いです。(>_<;)


 『そんなこと言っても抗生物質を処方してきたのは医者じゃないの?』

 その通りです。患者さんが決めることはできないのです。残念ながら、無意味な抗生物質の処方を繰り返している医者は少なくないのです。耐性菌をどんどん作り出してしまったのも安易に抗生物質を処方し続けてきた医者全体の責任と言えるでしょう。抗生物質を内服する時は、その必要性について医師の説明をよく聞いておくことが必要でしょう。必要な時に必要な期間だけ抗生物質を内服することが重要です。医師から説明が『お子さんは風邪ですけど、念のために抗生物質を飲んでください。』・・・・・・このような説明なら飲まないほうがいいのではないでしょうか。



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2007年9月

【熱性けいれんの説明】
 
 『熱性けいれん』とは?

 38度以上の発熱に伴って乳幼児(6ヶ月から5歳)はけいれんを起こすことがあります。突然体が硬くなり、手足をガタガタ震わせます。眼球は上方を向いて白目になり、意識はなくなっています。ほとんどが3〜4分でおさまり、あとは何もなかったかのようにスヤスヤ眠っています。熱が上がる時に背筋に寒気を感じてブルブルと震えるのは悪寒(おかん)と呼び、けいれんとは全く別です。


 なぜ熱が上がったらけいれんするの?

 実はなぜ熱が上がったらけいれんするのか、はっきり分かっていないのです。脳は神経細胞のかたまりです。神経細胞は電気を発して体中に指令を出しています。乳幼児は熱が上がると異常な電気が神経細胞から発火し、けいれんが起こると考えられています。熱いお風呂に長く入っていると突然体温が急に上がります。そうなった場合にけいれんするお子さんもいます。入浴けいれんといいますが、やはり急に体温が上昇するためと考えられています。


 熱がでたら乳幼児はだれでもけいれんするの?

 5歳までの乳幼児のうち、約8%が熱性けいれんを起こしています。一度熱性けいれんを起こしたお子さんの3人中1人は2回目を起こすことが分かっています。3回起こす子は10人に1人です。どうも熱性けいれんを起こしやすい体質があるようです。(詳しくはまだわかっていません。)御両親、祖父母、いとこや兄弟に熱性けいれんを起こした方がおられると本人も起こす可能性が強くなります。


 熱性けいれんが起こったときの家庭での対応

 あわてないで下さい。熱性けいれんの大部分は5分以内でおさまります。舌を噛まないように口にスプーンや箸、指などは入れないで下さい。衣服をゆるめて、吐いた物が気管に入らないように横向きにしましょう。けいれんんが5分以上続いたり、一度止まっても再びけいれんするなら救急車を呼んで医療機関を受診して下さい。


 熱性けいれんを起こしたけど今後の治療はどうなるの?

 ほとんどの熱性けいれんは、単純性熱性けいれんと呼ばれているものです。放置しても差し支えありません。きびしい先生のなかには例え単純性の熱性けいれんでも検査をしたり、ダイアップ予防(後述)をするかもしれませんが、多くの小児科の先生は経過をみるだけでしょう。(私もそうです。)でも、以下の特徴がある熱性けいれんは複雑性熱性けいれんと呼ばれ放置はできません。

● けいれんの時間が15分以上
● けいれんが治まっても長い間、意識がもどらなかった
● けいれんに左右差があった
● 24時間以内に2回以上けいれんを繰り返した
● 生後6ヶ月未満や6歳以上でけいれんした
● 熱が38度未満でけいれんした
● 半年間に3回、1年間に5回はけいれんする


 熱性けいれんの治療ってなに?

 ダイアップという座薬を使ってけいれんを予防するのです。発熱時(37.5度以上の熱に気がついたら)にダイアップを入れます。8時間後に38度以上の熱があればもう1回ダイアップを入れます。それで予防は完了です。もしダイアップ予防をしているのに熱性けいれんを起こす時は脳波検査などをしてもらいます。


 ダイアップ予防っていつまでするの?

 ダイアップの予防を始めて2年間けいれんが起こらなければ予防を中止します。また5歳以上になれば中止を考えます(5歳以上では熱性けいれんは起こりにくいので)。熱性けいれんを起こしやすいのは1歳〜3歳です。


 将来てんかんになるのが心配だけど大丈夫ですか?

 将来てんかんと診断される方が熱性けいれんを起こした子どもの3〜5%にいるとされています。もともとてんかんがあり発熱とともにけいれんが誘発されたと考えられます。今後の経過をみていってあげることが大切です。


 熱性けいれんを起こしたら将来学業などに差し障りありませんか?

 大丈夫!心配ありません。



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2007年8月(一)

【溶連菌(ようれんきん)についての説明】
 
 A群β溶血性連鎖(れんさ)球菌が人間に感染して起こる症状を溶連菌感染症といいます。

(1)溶連菌性咽頭炎

 溶連菌が喉に侵入した後、平均3日くらいたって、突然の高熱、頭痛、吐き気が起こり、喉が痛くなってきます。39度以上に発熱することもあります。扁桃腺は赤く腫れて、時に黄白色の膿(うみ)がついたりします。4歳以上のお子さんは症状が明らかですが、3歳未満のお子さんの場合は案外微熱や何となく機嫌が悪い程度で、風邪と区別するのが難しいことがあります。家族にうつさないために一週間は食器の共用を避けましょう。


(2)猩紅熱(しょうこうねつ)

 溶連菌性咽頭炎にかかっている時に、熱がでて2日目くらいにザラザラした紅い発疹がでてきます。とくに首、脇、股のあたりに発疹がでやすく、かゆい発疹です。苺舌(いちごじた)といって舌の表面に紅いブツブツがでてくることもあります。熱が下がって元気になったころに手足の先から皮がめくれてくることもあります。


登園の基準

 溶連菌性咽頭炎と猩紅熱は溶連菌に効果のある抗生物質を3〜5日くらい飲むと症状は改善して元気になります。熱が24時間下がったら保育園や幼稚園に行ってもかまいません。


溶連菌感染症の合併症

 溶連菌の感染を受けて2〜3週間してから発病する稀な合併症があります。

(1)糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)
 急に腎臓が悪くなり血尿、おしっこの量が少なくなり、むくみが起こります。血圧が急に高くなります。

(2)リューマチ熱
 関節が痛くなってきたり、心臓の弁の働きが悪くなって心不全を起こしたりします。稀な合併症ですが、もし合併すると入院して治療する必要があります。合併症を起こさないために抗生物質を二週間くらい内服し、溶連菌を徹底的に除去しておきます。



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2007年8月(二)

【夏は『とびひ』が多くなります】
 
 夏になると『とびひ』が多くなります。正式には伝染性膿痂疹といいます。『とびひ』は、皮膚の細菌による感染症です。すり傷、蚊に刺されたり、あせもなどで皮膚が痒くなります。アトピー体質があると夏には痒くなりがちです。掻きこわした部分から細菌が入り込んで化膿していきます。水ぶくれができてジュクジュクしてきます。ジュクジュクした内容物には細菌がいっぱいです。他の部分へ次々にうつっていきます。『とびひ』の原因には、黄色ブドウ球菌(きゅうきん)が大部分ですが、少数に溶連菌(ようれんきん)によることもあります。溶連菌の場合は合併症として腎炎が起こることもあるのです(上記【溶連菌についての説明】を参照)。このような化膿菌は鼻の中に普段から常在していることが多いため、鼻をほじった後にその手で皮膚を掻きこわすと『とびひ』になりやすいわけです。


治療

 抗生物質が入った軟膏を一日に2〜3回ぬります。同時に抗生物質を飲んで体内から化膿菌をやっつけます。


家庭で気をつけること

・お風呂には入るようにして石鹸で体のよごれを落とし清潔にします。
・爪は切りましょう。次の『とびひ』の原因になります。
・何回でも手を洗いましょう。化膿菌がついてくるかもしれません。
・プールは『とびひ』が乾いてくるまでやめましょう。
・『とびひ』があまり強い場合は保育園等を数日お休みする必要があります。
・登園する場合は、ジュクジュクしている『とびひ』はガーゼで覆いましょう。
・鼻はあまりほじらないようにしましょう。


耐性菌の出現

 MRSAって御存じですか?抗生物質が開発されてからは抗生物質の発展とともに、細菌も種族を維持していくためにいくつかの抗生物質に耐性を獲得している場合があります。すなわち効果がない抗生物質もあるわけです。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)はその代表です。治療してもなかなかよくなってこないのです。その場合は抗生物質を変更したり、抗生物質を点滴する場合もあります。



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2007年7月

【はしかについての説明】
 
 はしかが今年流行していることがニュース、新聞で報道されています。「熱とブツブツがでてきました。はしかでしょうか?」と聞かれることが時々あります。
 はしかについてご説明します。

最初は風邪のような症状からはじまります
 はしかの原因となるウイルスはのどに浸入したのち10〜12日したら症状を出してきます。まずは38度前後の発熱とともに鼻水・くしゃみ・咳・目やにが多くなり、3〜4日間くらい続きます。この時期は風邪との区別がむずかしいのですが、ほっぺたの裏に白い発疹が出ていることが多いので、はしかと診断できることがあります。ほっぺたの発疹が出現していなければはしかと風邪を区別するのは実はむずかしいのです。


風邪のような症状の後に発疹がでてきます
 3〜4日間、咳・鼻水・くしゃみが続いた後に、引き続きブツブツがでてきます。紅い大小不同のブツブツです。首すじから始まり24時間以内に顔・胸に広がり、次の日には腹部・手足へとさらに広がります。ブツブツが出るころから、熱はさらに高くなり40度くらいになります。咳・鼻水もさらにひどくなってきます。かなりしんどくて水分すらとれないほど食欲が落ち、動けないほどの倦怠感です。そのような状態が2〜3日続いた後に、熱がすっと下がり回復していきます。熱が下がるとともに体も楽になっていきます。最初は紅かったブツブツは次第に茶色に変色していき、ブツブツが消えるのには1週間以上かかります。


はしかの合併症
 中耳炎・肺炎などいろいろな細菌に同時におかされます。
はしかにかかっている時は体力が落ちています。はしかには免疫力を弱める働きもあるので大気中の細菌に次々と感染します。肺炎は高率に起こしてきます。肺炎のほとんどは細菌肺炎の合併です。中耳炎も起こしてきます。まれに本当にはしかウイルスが肺に侵入して肺炎を起こすことがあり、これは極めて重症です。

はしか脳炎
 はしかが脳に侵入します。はしかにかかったら1000人に1人くらいかと言われています。これも重症です。

SSPE(亜急性硬化性全脳炎)
 はしかにかかったあとに10年くらいしてから脳が徐々におかされていきます。言語不明瞭、学力低下、異常行動から始まり、1〜2年で昏睡状態になり死亡します。はしかにかかった人の10万人に1人と言われています。有効な治療法が少ない非常に珍しいが恐いはしかの合併症です。なぜ10年間もはしかが身体に潜み続けるのかについてははっきりとわかっていません。


予防
 やはり予防しかありません。はしかワクチンを接種しておくことです。大人でも接種したかどうかわからないときは接種しておいたほうが個人的には安全です。はしかにかかっている人と接触してしまい、はしかに感染するかもしれない場合は、感染の機会のあった後6日以内にグロブリンを注射すると発症を阻止できます。それ以後でも軽症化が期待できるでしょう。



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2007年6月

【お薬を上手に内服できる方法あれこれ】
 
 お薬が嫌いでなかなか飲んでくれません。どうしたらうまく飲んでくれるのでしょうか?いままで喜んで飲んでいたのに突然に薬嫌いになりました。なにかいい方法は?お母さんからよく相談されます。
 相談に対するお答えをまとめてみました。

水薬の場合は
 水やジュースに薄めてもかまいません。パンやカステラ、ウエハースにひたして食品として食べてもいいです。練りつぶしたバナナやヨーグルトに混ぜてもかまいません。臭いが嫌いな場合はストローで飲むと苦になりません。最終方法は凍らせてシャーベット状にして食べる方法ですが手間がかかります。1歳未満のお子さんには哺乳瓶やスポイドを用いることが多いです。


粉薬の場合は
 少し湿り気を与えて粉薬を指につけ頬の内側に塗り付けて、その後水分を与えます。少量の水を滴下して団子状もしくはペースト状にして口に入れます。団子状にまとめる時には、粉ミルク、粉クリーム、きなこ等をつなぎにしてみればどうでしょうか?3歳以上になってくると、どうして飲めないのか、嫌がる理由を聞き、また飲む必要性も説明することが必要です。どうやったらがんばって飲むことができるか本人と相談し服薬動機を与えるようにすることも必要でしょう。
 粉薬を溶く時には熱湯を使わないで下さい。薬効が失われます。体温以下のぬるま湯にして下さい。


飲ませ方の工夫
 食品と混ぜて食感を改善します。以下の食品と混ぜてうまくいく場合があります。

1)ガムシロップ、かき氷用シロップ 8)かき氷のなかに混ぜる
2)ジュース 9)アイスクリーム
3)コンデンスミルク、ジャム 10)プリン、シャーベット
4)バナナ、リンゴのすりおろし 11)マックシェイク
5)チョコレートクリーム 12)海苔のつくだ煮
6)ヨーグルト 13)コーンスープ
7)ミニシュークリーム、カスタード 14)服薬用ゼリー:2歳以上


動機を与える
 ・お母さんと一緒に飲む(お母さんには薬効のない乳糖の粉などを飲んでもらう。)
 ・うまく飲めたら、塗り絵やシールをあげることで動機を与えてあげる。

それでもなかなか薬を飲まないお子さんがおられますが…
参考にしていただければ幸いです。



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2007年5月

【赤ちゃんの食物アレルギーが関係する皮膚炎について】
 
 赤ちゃんの皮膚炎は、大きい子どもや大人にくらべて、食物アレルギーが関係する率が高いのが特徴です。まず、赤ちゃんの皮膚炎に食物アレルギーが関係しているかどうかを、医療機関できちんと調べてもらって下さい。検査は、血液を採ったり皮膚テストをして、食物に反応してアレルギーを起こす抗体(アイジーイー抗体;IgE抗体)があるかどうかを調べます。もし、特定の食物に反応するIgE抗体が見つかれば、実際にその食物をやめてみて皮膚炎がよくなるかどうか、食べると悪化するかどうかを調べ、本当にその食物が原因かどうかをはっきりさせます。

 血液検査や皮膚テストが陽性にでる食物でも、食べた時に何も起こらなければ原因ではありませんので、食べても大丈夫です。逆に、血液検査や皮膚テストで陽性にでなくても、食べた時に明らかに症状が出る場合は、その食物が原因と考えられます。すなわち検査は絶対正しいことではないのです。最終的には食べてみないとわからないことになるのですが、しかしながら食べると悪化するかどうかの試験は、強いアレルギー症状が出るおそれのある時は危険なために省略されることがあります。

 もし、特定の食物がアトピー性皮膚炎に関係している場合は、その食物を食べないようにします。母乳を飲ませている場合には、お母さんにもその食物を食べるのをやめていただくことがあります。これは、お母さんが食べた食物の成分が母乳中に出てくるため、結果的に赤ちゃんがその食物を食べたことと同じになるからです。一方、赤ちゃんの時に食物アレルギーがあっても、2〜3歳頃には良くなることが大部分なので(腸のはたらきが成熟して食べ物の分解力が強くなるから食べられるようになります)、いつまでも食物除去を続ける必要はありません。医師といつまで除去を続ける必要があるのか、よく相談して下さい。

 特定の食物に対してアレルギーがあっても、生で食べるとアレルギーが出るが、よく加熱してから食べれば大丈夫なことがありますので、調理法などを工夫して食べられる方法があれば食べても大丈夫です。多くの食物に対するアレルギーがあって、その症状も強いために多くの食物が食べられない場合には、カロリー不足や栄養素のバランスが乱れることのないよう、必ず医師や栄養士さんの指導を受けて、害のない除去食をして下さい。

 赤ちゃんの食物アレルギーの原因としては、卵が最も頻度が高いことが分かっています。食物アレルギーのある赤ちゃんの場合、今は卵アレルギーがなくてもそのうち卵アレルギーが出てくる可能性があり、離乳食として卵を与えるのは、生後12ヶ月頃以降でいいと思います。生後5ヶ月までの赤ちゃんでは、その時点では食物アレルギーがはっきりしない場合でも、やがて食物アレルギーがはっきりしてくることがあります。

 皮膚炎はほっぺた・くび・ひじ・ひざ・耳の周りなどに好発し、かゆみもあります。掻き過ぎて出血したり、感染を起こしたりするのでスキンケアーは重要です。汗・あかをとるのは大切です。よく洗ってあげた後に保湿剤や皮膚炎用の軟こうを症状の程度に応じて使い分けていくことが必要でしょう。スケンケアーは体質自体を変えていくものではありませんので、油断していると皮膚炎は再び悪くなったりします。かゆみを少なくするためにお薬を内服することもあります。体質を変えていくような根本的治療があればいいのですが、残念ながらありません。成長に伴い自然と体質が変わっていくまで上手に皮膚炎とおつきあいする必要があるのです。


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2007年4月

【おたふくかぜについて】

おたふく風邪の説明

 おたふく風邪は季節に関係なく保育園・幼稚園などの子どもの集団生活の場で流行します。おたふく風邪にかかると子どもは全員発症するのではなく、約30%はおたふく風邪にかかっても発症しません。すなわちおたふく風邪なのに元気なので保育園・幼稚園にいつもどおり来園しているのです。もちろんお友達にうつすことはできます。だからなかなか流行が終息しません。おたふく風邪にかかった子どものだ液にはおたふく風邪の原因になるウイルスが認められます。だ液を直接またはおもちゃなどを介して間接的にウイルスを口からもらうと、2〜3週間後たったらおたふく風邪が発症します。

 
 耳の下にある耳下腺(だ液をつくるところです)が両側性または片側性に腫れていき、その名のとおりおたふくのような顔の輪郭になります。1〜2日で顔の腫れは最大になり、その後3〜5日かけてゆっくりと腫れはおさまります。腫れている時は痛みを伴い、酸っぱいもの(酢・酸味のあるジュース・梅干しなど)を食べるとさらに痛くなってきますので控えましょう。発熱は38度以上でることもありますが、全然発熱しないこともあり個人差が大きいです。発症後約1週間で治ります。

 
 残念ながら特効薬はないのです。痛みが強い時は鎮痛剤を内服することがあります。以下に記載しておりますおたふく風邪による合併症を効果的に予防する方法も残念ながらありません。やはりワクチンで予防することが一番効果的です。

おたふく風邪の合併症


おたふく髄膜炎:

おたふく風邪が髄膜炎(ずいまくえん)を起こすことがあります。髄膜とは脳を包んでいる1枚の膜の名前です。脳を包んでいる膜に炎症が起こると、ものすごく頭が痛くなり、同時に吐き気も強くなり食事ができません。数日でおさまり後遺症もありませんが、家では看病しきれずに入院することが多いのです。100人に1〜2人髄膜炎で頭が痛くなると報告されています。


睾丸炎:

男性におこることが報告されていて睾丸が腫れあがります。男性不妊の原因の一つとも言われています。


おたふく難聴:

15000人くらいに1人に難聴がおこることが分かっています。一過性で治ることもありますが、残念にも一生続くこともわかっています。おたふく風邪による一生続く後遺症なのです。これがあるから僕はワクチン接種を勧めています。


膵炎(すいえん):

内臓のひとつの膵臓(すいぞう)に炎症をおこし腹痛の原因になることがあります。

おたふく風邪と数回いわれていますが…


子どもさんが2〜3回おたふく風邪といわれましたとおっしゃるお母さんがおられます。おたふく風邪は基本的に1回しかかかりません。何回もおたふく風邪といわれている子どもさんは、口の中の細菌が耳下腺に入る反復性耳下腺の可能性があります。


追記


平成24年4月1日からは、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)に罹った場合、出席停止期間は、現行の「耳下腺の腫れが消えるまで」から、「腫れが出た後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」に変更されます。



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2007年3月

【子どもの長引く咳について】

 風邪にかかって咳がでていました。だんだん咳がひどくなって気管支炎や肺炎へと悪化してしまう。このような状況では咳は確かに長引きます。感染による長引く咳といえるでしょう。しかしながら長引く咳の原因は他にもいろいろ考えられます。咳の特徴はどうでしょうか?咳は昼間に多いですか?走ったりしたら咳が多くなりますか?お布団にはいって寝ようとしたら咳がでてきますか?深夜または朝起きた後に咳が多いですか?痰は多いですか?痰の色はどうですか?ゼェーゼェーとした呼吸音が聞こえませんか?鼻はつまっていませんか?一口に咳といっても多くの咳のタイプがあり、咳の特徴を知ることが重要です。例えば、咳喘息ではゼェーゼェーとした呼吸音はまったくありませんが咳だけが続きます。アトピー体質と関係するアトピー咳があります。アレルギー性鼻炎からの咳があります。いずれもアレルギーを基盤にした長引く咳なのですが治療法は異なります。稀ながら先天性に血管が気管の回りに巻き付いており、血管が気管を圧迫することで咳が長引く疾患もあり手術しなければ治りません。安易に咳止め薬を長期間飲み続けるのではなくて、咳が長引く場合には、なぜ咳が長引いているのか?その原因に向けてアプローチしていくことが必要な場合があるのです。
 



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2007年2月

【子どもの熱性けいれんについて】

 乳幼児では(主に6ヶ月から5才くらいまで)、急激な発熱に伴ってけいれんを起こすことがあります。小さいお子さんは急激な発熱に対しては身体の準備が間に合わないようです。発熱以外にも熱いお風呂で急に身体が暖まり、けいれんを起こすことを入浴けいれんと言います。熱がでたことが脳細胞を刺激してけいれんを起こすとされています。この体質は遺伝する傾向があり、両親や兄弟に熱性けいれんがあった子どもさんは起こす可能性が高くなります。多くは両方の手足をつっぱった後で、手足をガクガクとふるわせます。その時意識はなく、目は白目をむいていて、唇が紫色になることもあります。


けいれんが起こったら


 びっくりするでしょうが、慌てず観察してください。熱性けいれんは普通数分でおさまるので、けいれんしている状態はご両親しか見られないのです。舌をかまないように、物をくわえさせることはしないほうがいいのが日本小児科学会の考えです。それより、吐いていたら口の周りを拭いて、衣服をゆるめて横を向かせて吐いた物を吸い込まないようにしてあげましょう。けいれんは両手、両足でしたか?片手、片足だけ?何分続いたの?目はどっちを見ていた?熱性けいれんで搬送されてきたお子さんのお母さんに病状を聞くと、慌てていたので子供がけいれんしたことだけしか覚えていないことがよくあります。両側か片側けいれんか、けいれん持続時間などは、熱性けいれんかそれ以外のけいれんかを区別する時に役立ちます。けいれんした時は既に治療をうけている場合は別にして、小児科医に相談してください。




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2007年1月

【インフルエンザの季節】

 例年インフルエンザの流行は12月下旬からはじまり、1月に入ると急に増加していきます。今年は暖冬なので、インフルエンザは現在のところ流行しておりませんが、1月下旬から2月にかけて冷えこみ、インフルエンザにかかる人が増加していくのではないでしょうか。流行をおこすインフルエンザにはA型とB型があります。A型による流行は規模の大小はあれ毎年起こりますが、B型は隔年で流行する傾向があり、今年はA型だけでなくB型も流行するのではと予想されていますが、どうでしょうか?

 症状は急激な発熱、関節痛、筋肉痛や強い倦怠感です。乳幼児では極めて稀ですがインフルエンザ脳症をおこすことがあります。発熱は3〜5日続きます。咳、鼻水をともなうこともあります。のど、鼻をぬぐってインフルエンザがどうかを調べる検査を受け、陽性ならインフルエンザです。効果的な治療薬がありますが、発症後48時間以内に内服することが望ましい薬なので早めに受診してください。熱がさがっても、まだ2日間は他人にうつすことがあると考えられるので、集団生活を控えることが必要です。また家族内でインフルエンザが発生したとき、慢性病をかかえる同居人に対しては予防的に薬を飲んだほうが良いこともあるのでご相談してください。

 一般的な予防としてはワクチン接種以外に、帰宅後のうがい、手洗い、外出時のマスク使用は効果があります。


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2006年12月

【背が低い心配】

 身長は高い方が好まれることの多い現代では、お子さんの背が低いことを心配されるご両親は少なくないように思います。背が低いことが心配なお母さんはおられましたが、高くて診察を受けに来られた子供さんは経験しませんでした。低身長の考えかたについて私見を述べてみます。

1. 身長が低いと思う場合には、主観的、希望的な要素も入ってくると思います。まず同性、同年齢の小児のなかで、お子さんの身長を標準偏差(SD)で表せば、集団のなかでどの程度の身長であるかを知ることができます。一般には-2SD以下を低身長として考えます。ここで大切なことは、その時点だけでの評価をしないことです。例えば、お子さんが3才時は-2SD5才時は-2SD7才時で-2SDであったとしますと、低身長ではあるが身長の伸びは-2SDの伸び率で保たれていることになります。このような場合は、お子さんの体質によることがほとんどで、背が伸びない病気であることはめったにありません。逆に3才のとき+1SDだったのに5才では-1.5SDであれば、いまは-2SD以上ですが今後-2SD以下となる可能性が高く、検査をうける必要があると思います。小児科医に相談される時には、必ずお子さんの今までの身長の経過を一緒にもっていきましょう。出生時の状況、出生体重、出生週数を確認しておきましょう。お子さんが両手を横いっぱいに伸ばした時の長さも計ってみて下さい。ご両親の身長、お父さんはいつから声変わりが始まりましたか?お母さんはいつから月経がありましたか?思い出して下さい。また年齢には暦年齢のほかに骨の年齢があり、暦上は7歳でも骨は5才なら身長は暦年齢5才のお子さんとして考えてあげる必要があり、骨の年齢が若いとまだまだ伸びていく事が期待できます。

2. 低身長の検査には、成長に必要なホルモンが不足なく血中に分泌されているか検査したり、骨の年齢を調べる他にも、身長の伸びが悪くなる病気について頭や内臓を検査することがあります。数日間入院して検査することが多いです。身長の伸びが悪くなる病気が見つかったら、もちろん病気の治療が最優先。病気がないのに成長ホルモンの分泌が少ない場合には、成長ホルモンを補充していく治療を受けることになります。成長ホルモン補充療法を行なう場合には、成長ホルモンを専門にしている小児科医と相談していく必要があるでしょう。


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2006年11月

【子どもの喘息:いつまで薬が必要ですか?将来どうなるの?】

 喘息発作をおこさないように予防治療が大切ですと言われても、いつまで薬が必要なのか、将来的に治るのか、心配されているご家族は少なくないと思います。また経済的負担も無視できません。子どもの頃は喘息だったが大人になったら治ったよという事はよくあり、医学的にアウトグロー(outgrow)と呼ばれます。今から20年以上前は喘息の予防薬がほとんど開発されておらず、多くの喘息児は予防治療を受けられませんでした。これらの児に対して現況の聞き取り調査を行ったところ約50%しかアウトグローしていませんでした。すなわち当時の喘息児の半分は成人喘息へ移行してしまったわけです。繰り返し喘息発作をおこしていると発作をおこしやすい状態へと気管が変化していく事が証明されており、リモデリング(remodeling)と呼ばれます。リモデリングが進むとアウトグローしにくくなります。“やけど”をイメージして下さい。やけどした皮膚はしばらくの間は明らかに他の部分と色も張りも異なっていますよね。そのような状態で再びやけどを繰り返していったらどうなるでしょうか?最終的にその皮膚は一生黒ずみ張りもなくなるでしょう。“やけどを繰り返す”ことは“喘息発作を繰り返す”ことに置き換えれば理解しやすいのではないでしょうか。小児喘息ではリモデリングが完成してしまい成人喘息へ移行したことと近い意味になります。現在、種々の予防治療薬が開発され小児喘息の9割以上が治療により予防可能と考えられています。一定期間の喘息予防が達成できたならばお薬は段階的に減っていきます。小児喘息は早い段階で予防治療を開始し、リモデリングを防いでアウトグローを促進させ、成人喘息へ移行させないようにする必要があります。


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2006年10月

【子どもが発熱したときに自宅でできること】


 なぜ発熱するのでしょう?感染すると身体の中でウイルスや細菌と戦うための物質が作られます。これらの物質は敵と戦いながら、同時に発熱させる作用も持っています。だから熱がでるのは正常反応で、逆に熱がでない方が要注意です。理論的にいえば熱を押さえる物質を減少させる熱をさげる薬は、敵に抵抗する物質を減らすようなものだとする考えがあります。しかしながら、私は熱さげる薬を使わない考えは持っていません。高熱があれば倦怠感も強いことが多く、食欲もでません。必要時に使用し一時的にでも熱が下がったとき水分・食事を摂取した方が良いように考えています。


熱がある時: 水分は十分に与えてあげましょう。熱の上がり始めは、寒がったり震えたりして体から熱を作り始めます。寒がる時は暖めてあげて下さい。熱が上がり切ったら、うすめの服装にし室温も高すぎないようにすることが大事なことだと思います。冷却シートはおでこ以外に、わきの下や足の付け根などの動脈拍動が触れるところに置くと効果的です。入浴は体力を消耗するので避けた方が良いでしょう。熱の高さと病気の重さは必ずしも関係ありません。高熱でも機嫌が良くて、水分がとれていたらあわてて夜に受診する必要もないと思います。

熱をさげる薬(解熱剤)について:一時的に熱を下げて身体を楽にしますが、熱の原因となる病気を治すものではありません。38.5度を目安にし、もう一度使う時は6-8時間の間隔をあけるのが良いと思います。必ず、小児に適した薬を使う必要がありますのでお薬の成分を確認しておく必要があります。



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2006年9月

【おねしょの日常生活での気をつける点について】


 夜尿症の治療に当たっては、日常の生活指導が極めて重要です。まず「おこさず・あせらず・しからず」の3原則のもとに、水分摂取リズムの調整、排尿抑制訓練や排尿中断訓練、冷え症状がみられる場合には、それへの対策も必要となる。以下に主要な生活指導について記載します。


1)中途覚醒を強制しない

 夜間に強制覚醒させてトイレで排尿させると、"トイレおねしょ"としてみかけ上の夜尿は消失するが、実際には夜間の多量遺尿を固定してしまうことになります。これは、強制覚醒によって睡眠リズムが乱れ、夜間睡眠中の抗利尿ホルモンの分泌が抑制され、多量遺尿状態が悪化するためである。また、中途覚醒を強制し排尿させることにより、睡眠中の機能的膀胱容量も不安定となり、夜尿の自立へブレーキをかけることになります。

2)水分摂取リズムの調整

 夜尿症に対しては、夜間の水分摂取の制限がよく行われている。単に夜間に制限するのみならず、意識的に摂取水分の日内リズムを形成することが大切です。水分摂取量の配分としては、朝から午前中には、飲みたくなくてもたっぷりと摂取させ、午後から多少控え目にし、夕方からきびしく制限することにします。例えば夕食に汁物や果物の摂取はやめ、朝に与えるなど、リズム形成に留意することがポイントです。

3)冷え症状への対応
 冷え症状は夜尿を悪化させやすいです。冷え症状、とくに手足が冷たい、しもやけが出来やすい、足腰がすごく冷えるといった症状、あるいは秋から冬にかけて夜尿が悪化しやすいといった夜尿症に対しては、就眠前にゆっくり入浴させ、寝具も少し保温することが必要です。浴剤を用いる場合には、炭酸浴剤が毛細血管を拡張させ冷え症状を改善するので、夜尿の改善にも効果的です。

4)排尿抑制訓練
 排尿機能未熟型の夜尿症には、機能的膀胱容量を拡大させるための排尿抑制訓練が効果的である。帰宅後、尿意を感じた際に排尿をぎりぎりまで抑制させる訓練である。目安としては、6?7歳で 150cc以上、8?9歳で 200cc以上、10歳以上で 250cc以上溜められるようにします。400cc以上溜めるといった極端な抑制訓練を行わない限り、尿路感染症になることはありません。

5)排尿中断訓練・肛門収縮訓練
 昼間遺尿を伴い、しかも潜在性二分脊椎が認められる場合には、排尿中断訓練や肛門収縮訓練が必要となることもある。排尿中断訓練は、排尿中に一旦排尿を中断させ、10数えてまた排尿する訓練であり、毎回排尿時に行うようにします。
一方、肛門収縮訓練は、肛門をギューと収縮させる訓練です。10回繰り返すように指導している。これらの訓練は、尿道・膀胱括約筋の強化を意図したものです。

6) 宿泊行事への配慮
 夜尿があるために宿泊行事に参加できない、あるいは参加させないといったことは、夜尿症児に対する差別的な処遇となります。積極的に宿泊行事に参加するように励ますことが大切です。担任の先生には、夜尿を不安がっている子どもの気持ちを受けとめ、宿泊行事で失敗させない工夫について助言することが大切です。例えば、他児に知られないように、夜間にそっと起こして貰ったり、万一失敗していたら、他児が起きる前に着替えさせる、一晩に何回も夜尿がある場合には、他児が寝静まってから保健室に移すといったような配慮も必要となります。



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2006年8月

【夏に流行する代表的な病気の家庭での対応について】


 ヘルパンギーナ・プール熱や手足口病は夏に流行するウイルス性の感染症です。


■ヘルパンギーナとは

 乳幼児の間で流行しやすい夏かぜので、38?40度の高熱が2?3日続きます。のどの奥に小さな水ぶくれができます。これがすごく痛いので、飲んだり、食べたりができなくなることもあります。水分が十分にとれないと、脱水症になることもあります。

■プール熱とは
 夏にプールを通して子どもたちの中で流行することが多いので「プール熱」と呼ばれています。実際には、プールに入らなくてもうつります。アデノ・ウイルスという仲間がこれを引き起こしますが、何種類かの型があります。突然の高熱で始まり39?40度の高熱が4?5日続き、のどの痛みが強く(咽頭炎の症状)、目が赤く、目やにがでます(結膜炎の症状)。さらに、腹痛、下痢などを伴うこともあります。

■手足口病とは
 その名のとおり、手のひら、足のうら、口の中に小さな水ぶくれができる病気です。おしりやひざにできることもあります(特に年齢の小さな子)。乳幼児の間で、主に夏場に流行します。これをおこすウイルスは多数ありますので、何度でもかかってしまいます。熱はないか、あっても微熱程度。手足の水ぶくれは痛がりませんが、口の中にできると、痛くなることがあります。

■家庭での対応
 残念ながらヘルパンギーナ・プール熱・手足口病の「特効薬」はなく、症状をやわらげる治療が中心になります。高熱が続きますが、機嫌が悪くてぐったりしていないならば、解熱剤の使用はできるだけ少なくして、冷却シートを使うなどで涼しくさせてあげるようにして下さい。
 のどの痛みが強いため、よけい食欲がなくなります。栄養は少なくても、少しずつとれていれば大丈夫。のどごしの良いものを与えてあげて下さい。(すっぱい物や、醤油・ソースはのどがしみるので嫌がることが多いです)水分補給は大切です。水分はお茶、イオン水などで十分にとらせてあげて下さい。一回の水分摂取料が少ないなら回数を増やして与えて下さい。
熱があっても、とくに具合が悪そうでなければ、汗をシャワーで流すことはかまいません。
 プール熱、ヘルパンギーナはきっちり治るまで保育園等はお休みです。手足口病は熱がなく症状が軽いのなら登園可能です。

以下の場合はもう一度診察を受けて下さい

のどの痛みが強く、水分もまったくとれないとき。

高熱が4、5日以上つづくとき。

元気がなく、ぐったりしている状態が続く時。

頭痛が強くなり吐いている時。

■(参考)夏かぜのいろいろ
 このほかにも、名前はついていませんが、熱だけの夏かぜも多く見られます(冬のかぜと違い、咳・鼻水がなく、寒気もあまりありません)。発疹(ブツブツ)のできる夏かぜもあります。
 いずれの夏かぜも、中枢神経(脳や脊髄)の中に入り込みやすい性質があり、髄膜炎をひきおこすことがありますので、頭痛が強くなってきたり、吐き気が強くなってきた場合は注意が必要です。



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2006年7月

【ステロイド軟こうについて】


 アトピー性皮膚炎を代表にした皮膚炎や湿疹ではステロイド軟こうを塗ることがしばしばあります。ステロイド軟こうについては、ホルモン剤であり副作用があるということもあり、御両親から質問を受けることがよくあります。


代表的な質問について解説しました。


Q1: ステロイドには強いものと弱いものがあるのですか?

A1: ステロイド軟こうには5段階の強さによる分類があります。最も強い、非常に強い、強い、中等度、弱いとランク付けされています。それぞれのランクで効き目が違いますので、適切な使い分けが必要です。


Q2: 長年アトピー性皮膚炎を患っている人は、皮膚が黒くなったり厚くなったりしてますが、あれはステロイドの副作用ですか?

A2: ステロイドの副作用ではありません。アトピー性皮膚炎の治療が長年中途半端であったり、まったく治療しなかった場合にみられる現象です。このような方でも、適切に治療すればもとに戻っていきます。


Q3: ステロイド軟こうの副作用はどのようなものですか?

A3: ステロイド軟こうは皮膚に塗っているのであり、内服しているのではないので副作用は内服と比べて随分違います。何ヶ月も連用して塗り続けていると皮膚がうすくなったり、毛深くなったり、毛細血管が拡張してくることがあります。皮膚線条といって妊娠線のような模様が生じることがあります。


Q4: どのようにステロイド軟こうを塗るのが良いのでしょうか?

A4: その人に合わせた適切な強さのステロイドを数日から数週間塗って、きれいにな皮膚を回復させて、それからは週に何回かは保湿剤だけにして、ステロイドを塗る日を少なくしていきます。きれいになってきても、すぐにステロイドを中止してしまうと、もとに戻りやすいのです。顔以外の部分では、強いステロイド軟こうでも週に2?3回程度なら、半年から1年使用しても、副作用が生じないことが報告されています。


Q5:
ステロイドの塗る量は?

A5: 大人の人さし指の先からひとつ目の関節の線までを取り出した量が、その大人の両手の範囲と考えて下さい。


Q6: 掻くと悪くなるのはわかっていますが、1日中手をしばるわけにもいかず困っています。どうしたらいいですか?

A6: 痒いのに掻くなというのは難しいことです。やはり適切なステロイド軟こうを使用して早くアトピー性皮膚炎を良くすることが必要です。かゆみ止めの内服薬を使用することもあります。



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2006年6月

【最近増加している夏風邪について】

 最近、アデノウイルスやコクサッキーウイルスによる夏かぜが増加してきました。

アデノウイルス咽頭炎
 プール熱とも呼ばれる感染症です。5?7日の潜伏期間があり、突然の高熱で始まります。数時間前まで元気にしていたのに急に38?39度に発熱します。のどが痛いことがありますが、咳や鼻水はあまりでません。目が痛くなることがあり、片側からはじまり両側の目が痛くなることが多いです。発熱は4日間くらい持続します。
アデノウイルスの特効薬はありません。安静、十分な水分補給、発熱に対してはクーリングや解熱剤を使用します。食欲がまったくなくなり、点滴をすることもあります。結膜炎に対しては目薬を使用します。


ヘルパンギーナ
 コクサッキーウイルスが原因の大部分です。2?4日の潜伏期間があり突然に発熱します。のどの奥に小さな発疹が数個でます。発疹はつぶれると痛みが強くなります。2?3日で熱が下がり、約1週間でのどの痛みもなくなります。
特効薬はありません。対症療法になります。のどの痛みが強い時には、しみないものを少しずつ食べさせてあげます。


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2006年4月

【ダニ回避について】

 子供の気管支喘息やアトピー性皮膚炎の原因として、ダニが関係していることは良く知られています。自宅でのダニ回避について書いてみました。
子供がダニに最も多く接触するのは布団などの寝具です。ダニを減らす方法は、一言で言えば頻回の清掃ですが、具体的には晴れた日に布団を干して、たたき、その後布団の表面を掃除機で吸ってください。1?2週に1回行うと効果的です。アレルギーはダニの死骸やフンでも起こりますので、吸い取るというのが大事です。布団の丸洗いも効果はあるのですが、費用の面などで一般的ではないでしょう。ダニが居ても布団から出さなければ良いという考えで作られているのが防ダニ布団カバーで、効果は認められています。

 子供がダニに接触する場所として、布団についで多いのは寝室や居間の床です。色々な床のダニの量を調べてみると、じゅうたんが一番多く、フローリングが一番少なく、たたみはその間でした。じゅうたんは、かなり頻回に掃除機で吸引しないとダニの量が減りませんし、じめじめした部屋などではダニが増えやすい環境と言えますので、アトピーの子供さんのお宅ではできれば使わないほうが無難です。フローリングが一番良いのですが、生活していく上でたたみも捨てがたい面がありますし、たたみでも頻回に掃除機で清掃すれば許容範囲になると思います。

 案外見落としがちなダニの住み家は、ぬいぐるみです。子供がかわいがっているぬいぐるみを悪者にするのは抵抗がありますが、アトピーの子供さんにはできるだけ買わないようにするか、防ダニの布で作ったものにするなど、工夫してください。もちろん丸洗いは効果があります。もちろん、室内でペット(犬、ネコ、ハムスター)を飼うのは止めた方がいいです。


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2006年1月

【新年あけましておめでとうございます】

 オりオノクリニックも開院してようやく半年が過ぎようとしています。地域の皆様のお役に立てているかどうか不安なところが多々ありますが、精一杯がんばりますので今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 昨年末の急激な冷え込みからインフルエンザ流行が始まっています。昨年12月31日に泉北急病センターへ診察出勤いたしましたところインフルエンザA型の患者さんが数人おられました。頭痛・関節痛・筋肉痛・全身のだるさを伴う発熱ではインフルエンザの可能性が高くなります。ふだん滅多に発熱しない人がこのような症状を呈した場合はまずインフルエンザと考えられますので早めの受診をお勧めいたします。

 インフルエンザの特効薬としてタミフルがありますが、インフルエンザが増殖するのに必要なノイラミニダーゼという物質(インフルエンザはこれを利用して増殖します)を阻害する薬です。だから体内で増殖が終了した状態では効果が乏しいのは当然で、インフルエンザにかかってから48時間以内にタミフルを服薬することが体内での増殖を早期に中止させるのに最も効果的です。

 また一方で、早く受診すると鼻水からインフルエンザを調べても検出できないことは珍しくありません。発熱初日では鼻水からのインフルエンザ検出率は約50%とも言われています。鼻水検査でインフルエンザが検出されないことは、インフルエンザではないことを意味しないのです。その場合は症状からインフルエンザを診断することになります。


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2005年11月&12月

 毎年冬場になると感染性胃腸炎(ウイルスによるおう吐下痢症)にかかる人が多くなります。今年も堺市では患者数の1位は感染性胃腸炎です。子どものおう吐・下痢について書いてみました。よろしければ参考にしてみてください。

【子どものおう吐について】

 小児は大人とちがってよく吐くことがあります。胃腸の問題からおう吐することが最も多いですが、中枢神経(脳)からくる嘔吐、内分泌(ホルモン)からくるおう吐、心因性おう吐などがあります。新生児では生理的にも認められます。子ども達は、夏場はふとんを蹴っ飛ばしてお腹をほうり出して寝てしまったり、冷たいものを飲食することが多く、胃腸は弱りがちです。子どもがおう吐した時、自宅ではどのような点に注意してあげれば良いのでしょうか。

1. 吐いたものをよく見て下さい(色・性状)
血は混じってませんか?緑色や黄色になってませんか?

2. 他の症状は伴っていませんか?
下痢・腹痛はどうですか?便秘はしていませんか?頭痛・発熱はどうですか?
咳をしたことによる咳もどしではありませんか?発疹がでていること  はありませんか?

3. おう吐の後は胃の動きが弱くなりますので1時間くらい何も口にせずに様子をみるのも一つの方法です。
その後、暖かい湯冷まし・お茶・イオン飲料などを少しずつコップ一口ずつ何回かに分けて飲ましてあげましょう。
寝ている時におう吐すると、吐物をすいこんで肺炎になったり、窒息したりする危険があります。
顔は横に向けてあげましょう。

4. このような時は小児科医の診察を受けた方が良いと思われます。
頻回のおう吐。吐き気が強くて水分がとれない。吐いたものに黄色・緑色の液が混じる。
頭痛が強くぐったりしている。高熱が出ている。6時間以上   尿がでない。便に血が混じっている。
一定の時間毎に機嫌が悪くなる。腹痛が歩くと痛みが増す時。

子どもの下痢(げり)の時の食事について
 下痢の原因には色々ありますが、冬場?春先にかけてはロタウイルス・ノロウイルス・SRSV群はおう吐げり症の原因になり、毎年の様に流行しています。げりをしている時はどのような食べ物がいいのでしょうか?私の考え方を書いてみました。

1) 母乳の時:このままでいいと思います。でも下痢が1週間以上も長引く時は乳糖不耐症になっていることもありますので、一時的に乳糖除去ミルクやアレルギー用ミルクを試してみることも良い方法かもしれません。

2) 人工乳の場合:いつもの濃度より少し薄めて与える方法もありますが、小児科医の指示に従って下さい。上記のミルクに変えてみることも良い方法でしょう。離乳がほぼ終わっていたら、ミルクにあまり頼らずに下痢がおさまるまで避けてはどうでしょうか?

3) 下痢によい食べ物(おなかにやさしい)
水分補給は一番大事ですから、湯ざまし、薄いお茶、甘くないイオン飲料が適していると思います。それほどひどくない下痢なら、お粥・軟らかく煮たうどんなどで炭水化物中心のメニューを、また薄い味付けのみそ汁、野菜スープ、おろしりんごなども良いと思います。下痢が良くなり始めたら白身魚もいいと思います。

4) 以下の食べ物はすすめられません。
冷たいもの、脂肪分の多い揚げ物、ヨーグルト、糖分の多いケーキ・プリン、肉類。

 下痢が良くなってくると食欲が出てきます。食事量が多くなると一時的に下痢が悪くなることがあります。弱っていたおなかが食欲アップについていかないのでしょう。でもこの場合は心配ないと思います。


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2005年10月
 日々、肌寒くなってきました。日中と夜間の気温差も大きくなってきています。そのような季節になると、子供達の中には鼻水を出しはじめたり、咳をしだす子がいます。特に夜間や明け方に強いことが多いです。1日の気温変動が大きくなってくること以外に、雨がふる日が多くなってくることも関係していると思います。一見、咳・鼻水は出ているものの、本人は元気なことは元気なのですが、そのような状態では鼻の粘膜の働き(感染に対するバリヤ機能)が弱くなってしまって、風邪を引きやすくなるようです。1週間前から鼻水が出ていたけどとても元気でした。でも今日から熱がでてしんどそうです。こういう訴えはお母さんからよく聞くことです。夏から秋にかけての季節の変わり目に、鼻水・咳が明らかになりやすいお子さんは、軽いながらでもアレルギー体質を持っている事も少なくありません。一度、相談しに来て下さい。

 インフルエンザワクチン接種を始めています。私は勤務医時代に3人のインフルエンザ脳症のお子さんの主治医をしました。2人は一命を取りとめましたが、残念ながら1人は亡くなってしまいました。3人ともワクチン接種はしていませんでした。他人事のように考えがちですが、確実に毎年インフルエンザで亡くなる人がいるのです。インフルエンザはワクチン接種することで、ある程度予防可能な感染症です。是非、ワクチン接種を考えて下さい。


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2005年9月

 夏型感染症も減少し、この時期、発熱する小児は比較的少ないようです。しかしながら、季節の変わり目に近づいて行きますので、体調の変化に気を付けて下さい。喘息発作が起きやすいこともあるでしょうし、咳が長引いたりすることもあります。

 さて、来年4月より麻疹と風疹の接種時期が1歳時のみ(生後12?23か月)となります。両者を混合したものを1回接種する予定ですので1度で両方が接種できます。従来のように7歳半まではいつでも可能という訳ではないので、来年4月までに2歳になる方は必ず接種しておいて下さい。また平成23年に就学する児(来春出生する児)からは、就学前にも2回目の接種が行われます。つまり麻疹も風疹も2回接種することになります。同時に日本脳炎の第3期(14-15歳で接種)が廃止されました。

 クリニックではインフルエンザ予防接種の予約の受付を始めております。小児だけでなく、大人も高齢者インフルエンザワクチン接種も行なっております。



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2005年8月
 7月13日からオリオノクリニック小児科・内科を開院いたしました。はじめまして。院長の黒飛俊二です。病院勤務医としてずっと勤務して参りましたので、開業医師としての経験が不足しており、診療以外の諸々の件で時間をとってしまい、患者様の迷惑になっているかもしれません。もうすぐ慣れますので御容赦下さい。

 夏場は、エンテロウイルス属を主とした夏風邪が流行します。エンテロという言葉は腸を意味しており、口から入り込んで腸の中で繁殖するウイルスの代表です。人から人へ唾液や便を介して伝染します。お手洗いの後はしっかり手を洗って下さい。ヘルパンギーナ、手足口病もエンテロウイルス属によるものです。夏風邪といえども、髄膜炎(頭痛や吐気が強くなります)、心筋炎(エンテロウイルスは心臓に侵入しやすいのです。心臓の働きが悪くなるので緊急的な処置が必要になる場合あり)をおこす事が稀にありますので要注意です。

 いろいろな心配事に関して、お気軽に御相談下さい。E mailでも全然構いません。私の手に負えない内容なら、その道の専門の先生に相談させていただいた上でお答えいたします。oriono-clinic@miracle.ocn.ne.jp
今後ともよろしくお願い申し上げます。


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